Arts Calendar/Art's Report site/《FUKUI EIICHI no towazu-katari》Earth from above

vol.70
「ヤン・アルテュス=ベルトラン写真展」(うめだ阪急)

2000年も押し迫った12/27(水)に大阪・梅田の阪急百貨店で
スタートしたのが「ヤン・アルテュス=ベルトラン写真展」(20001年
1月5日(金)まで)。

1946年、フランスに生まれた彼は、30歳でライオン研究のために
ケニアに移住。ある日、気球から見た自然の美しさに圧倒されて航空写真に開眼。
以後、10年余をかけて5大陸・76ケ国の空を飛び回り、
10万点を超える作品を生みだした。
本展は新たに撮影された日本各地の作品を含む約150点が出品されている。

山、河、海、湖など大自然の織りなす造型と色彩のハーモニーが観る者を包み込む。
が、それ以上に印象的なのは、大自然に仕向けられた人間の営為の醜さと狭小さ。
むごたらしく掘り返され、形状を歪められた地面は、
満身創痍の病人の皮膚を思わせる。地球の悲鳴が聞こえてきそうである。

彼の鳥瞰的な作風は、日記風のチマチマした作品が横行する写真界にあって、
一服の清涼剤である。

ただ、無い物ねだりを承知で一つ言っておきたい。
何故に晴天の折の写真ばかりなのか。
何も「暴風雨の最中を狙って、死ぬ覚悟で飛行して撮って来い」と
言うつもりはない(もちろん、本当に撮りたければそれも辞さないという
写真家も居るだろう)。
もし、明暗の絶妙のコントラストと鮮やかな色彩の競演を掴まえたい
という気持ちが先行して、予定調和的な穏やかな日和の下でしか撮影
しない事態に至っているのなら、志が低いと言わざるを得ない。
荒ぶる地球、人間に牙を剥く地球にも、美は有るのだから。

七五三やら入学式やら結婚式やら、妙にかしこまって収まりかえった
写真を何枚並べてもその人の本当の人生は見えてこないのでは
ないでしょうか、ベルトランさん?


福井栄一の問わず語り」の扉へ

無断転載禁止 掲載:アーク編集室