Arts Calendar/Art's Report site/《FUKUI EIICHI no towazu-katari》Every dog has his day.

vol.14

「山藤 顔博」(阪神百貨店)

真夏のバーゲンでごった返す阪神百貨店8階催事場で開催中の「山藤 顔博」(16日まで)。

現代に於いて、諷刺という営為は実にシンドイ。
対象が狡猾でその術策にすっかり絡め取られると諷刺の精神は扼殺される。
現代日本がその悪い見本だ。

どんなに晴耕雨読に憧れても、
生意気な新人類の部下どもと会社の地位をかなぐり捨てて、
山に庵を結ぶ中間管理職など居ないし、
嫌味な姑を張り倒して、不倫の逃避行に身を任せる主婦が続出するほど、
今の日本は甘くない。
みな、じっとりと日本社会に順応しているのだ。
諷刺の対象と密着してしまっているのである。

そうした人々から、ほんの1mほど身を退き、
諷刺かを気取ってみたところで、それこそ五十歩百歩であろう。
最近の山藤がはまり込んでいる陥穽はそこにある。
(彼と針すなおは、ほんの数歩しか離れていないのではないか。)

独特の毒で売り出した才人が、
いつしか自分を「イラストレーター」と呼ぶようになり、
似顔絵の大家と崇められ、
複数の大出版社から何冊も作品集を出す・・・彼に諷刺画家としての
大成を期待したのは、八百屋に鰯を買いに行く愚であったか。

池田栄泉の如く、枕絵に興じる彼を見てみたい気もする。


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