Arts Calendar/Art's Report site/《FUKUI EIICHI no towazu-katari》Iron Curtain

vol.53
「アレクセイ・リュビーモフ ピアノリサイタル」(ザ・フェニックスホール)

独特の企画センスで鳴るザ・フェニックスホールが11月初日に
繰り出した秘密兵器は、アレクセイ・リュビモフのピアノ演奏。
グリンカ「ベッリーニの主題による変奏曲」、シューベルト「4つの即興曲
D.935作品142」、ブラームス「幻想曲作品116」、シルヴェストロフ「エレジー」、
ドビュッシー「前奏曲集第2巻」より「酒の門」「妖精たちはあでやかな舞姫」「風変わりな
ラヴィーヌ将軍」「月光が降り注ぐテラス」「花火」という、知的抑制の効いたプログラム。


オープニングは、グリンカの楽しげな編曲作品。ただ、編曲作品と言っても、
人気のリストではなく、渋めのグリンカを持ってくるあたり、ロシア音楽に寄せる演奏者の
深い愛情が感じられる。

次にシューベルトの即興曲が4曲。即興曲という名称にだまされてはならない。字面通りの
即興や思いつきで作られた作品ではなく、何れも驚くべき緻密さに満ちている。運指は的確
だが、音楽のうねりが感じられない。

休憩を挟んで、現代音楽の雄シルヴェストロフの「エレジー」。
初演者であるリュビーモフが果敢に挑んだ。会場の反応が心配されたが、却って前半の曲よりも
上首尾。ブラボーの声も飛んだ。

ドビュッシーをもって、いよいよ彼の面目躍如。
響き、和音が美しい。出来れば「喜びの島」も聴きたかった。

リュビーモフは響きのピアニストで、推進力はいまひとつ。
モーツアルトあたりを得意にしているのはそのためだろう。


次にはショパン、リストなど、狂おしいロマン派の作品が聴きたい。


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