Arts Calendar/Art's Report site/《FUKUI EIICHI no towazu-katari》Paternalism

vol.83
「父親〜前田龍央写真展」(ギャラリーナダール)

南船場のギャラリーナダールでは、2/4(日)まで
「父親〜前田龍央写真展」。

「甘えの構造」がベストセラーになって以来、「日本社会=母系社会」論が
すっかり定着し、日本型会社主義、教育の荒廃、果ては家庭内暴力や
社会的不適応の問題までが、「母性」との関係で語られる様になった。

「夜泣きする我が子を絞め殺す10代の母親も居る昨今、
『母親=癒し』「母性=温情主義』でもあるまい」と思っていた所に、
今回の写真展。
タイトルはズバリ、「父親」。

ただし、「父性の復権」を声高に叫ぶ社会派の写真ではない。
些かの衒いもなく、普段通りの落ち着いたトーンで、父親との二人旅を
撮ってゆく。
息子とのぎこちない沈黙に戸惑いつつも、一緒に居るのが嬉しくて仕方ない
父親の横顔がいい。照れながらも、父親としての沽券(もう死語か?)に
こだわる背中がいい。
くわえタバコの煙は、ゆらゆらと揺れながら、後を往く息子に付かず離れず・・・。

ギャングもブロンド娘も出て来ない、穏やかなロードムービー。
対向車が、見知らぬ街の景色が、ゆっくりと流れてゆく。
二人が旅で得たものは、もちろん、この写真だけではあるまい。


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