Arts Calendar/Art's Report site/《FUKUI EIICHI no towazu-katari》The coat makes the man
vol.29
「アンドレイ・ガヴリーロフ/ゴルトベルク変奏曲を弾く」(ザ・シンフォニーホール)
聴衆の少なさに怒ってタキシードに着替える気にもならなかったのか、
全身黒づくめのラフなスタイルで登場。
黒いサングラスを着用し、長髪を後頭部でくくっている。
ポスターやCDジャケットで見慣れた好青年然とした風貌とは
随分違う。
これではイタリアン・マフィア、それも三下奴だ。
おもむろに楽譜を見ながら演奏開始。
ご自慢のサングラスがずれてくるのをしきりと手で上げる。
その間、片手はお留守、演奏は流れを欠く。
聴衆は終演までに、彼のその仕草を少なくとも90回は見せられただろう。
私は途中から「正」の字を書いて数えようかと思った。
ゴルトベルク変奏曲は、カイザーリンク伯爵がクラヴィア奏者ゴルトベルクに
弾かせるため、バッハに作曲を依頼して出来た由。
伯爵は夜な夜なこの曲をゴルトベルクに弾かせ、不眠を癒したそうな。
出自は争えないもので、私もガブリーロフの演奏を聴いていて、
しっかり眠くなった。
おやすみ・・・。
「福井栄一の問わず語り」の扉へ
無断転載禁止 掲載:アーク編集室