Arts Calendar/Art's Report site/《FUKUI EIICHI no towazu-katari》Treasures
vol.96
「ベルギーの巨匠5人展」(大丸ミュージアム梅田)
大丸ミュージアム梅田では、2/25まで「ベルギーの巨匠5人展」を
開催中。
お目見えするのは、ジェームズ・アンソール、レオン・スピリアールト、
コンスタント・ベルメーク、ルネ・マグリット、ポール・デルヴォーの5人。
アンソールは「死神と仮面」が有名。謝肉祭の街の雰囲気を彷彿とさせる
画材が特徴で、異形の者たちがひしめく様は21世紀の初頭にあってなお、
「世紀末」の薫りを湛えている。シュニッツラーの「輪舞」の趣。
スピリアールトの作品は、一見すると日常の風景のスナップショット。
次の作品に目を移しかけるが、何か気になる。もう一度、視線を戻すと、
切り取られた日常からジワジワしみ出す不安定感と憂鬱。
消音された阿鼻叫喚が実に怖い。
ベルメークはベルギー表現主義の立役者。筆致は素朴だが、野卑でない
生命力に裏打ちされている。美術界という密林を、名刀ではなく鉈を引っ提げて
進んだ格好だ。
マグリットは日本でも人気。パロディをも寄せ付けない奇抜な構成は、「事物では
なく関係性を描く」というシュルレアリスムのテーゼそのもの。
彼の影響を受けた作品として、映画「エクソシスト」ばかりが挙げられるが、
フーコーの奇書「これはパイプではない」も忘れてはならないだろう。
もう一人の人気者はデルヴォー。抑圧されていたエロティシズムが
静かに昇華される画風で、現代人の感性を美しく腐食する。
裸身を晒す女性たちの表情は文楽人形を思わせる。透徹した眼差しは、
地球を一周して自身の後頭部を見つめる様だ。
ベルギーを、ワッフルとポアロの国と侮ると痛い目に遭う。
「福井栄一の問わず語り」の扉へ
無断転載禁止 掲載:アーク編集室