Arts Calendar/Art's Report site/《FUKUI EIICHI no towazu-katari》climb-down

vol.84
「三尾公三展」(京都市美術館)

2000年6月28日に急逝した三尾公三の企画展が
京都市美術館で開かれている(3/31まで)。

三尾は写真雑誌「フォーカス」の表紙を永らく手掛けた。
アクリル絵具とエアーブラシを駆使した作風は
国際的にも評価が高かった。
曰く「現代人の疎外感や倦怠感を表す」「エロチィシズムが漂う」
などなど。

しかし、彼を評するのに、その種のclicheはもう止めたい。
「現代」というと直ぐに「疎外感」「倦怠感」が持ち出されるが、
最初から何ものにも帰属したことが無い日本人に「疎外」など
無縁だし、物欲と所有欲に駆られて突進する働き蜂の群れには
倦怠感もへったくれも無い気がする。
また、女性の顔やヌードが配されただけで「エロティシズム漂う
幻想的な作風」と評されるのであれば、「フォーカス」は表紙ならず
本文そのものが、シュールレアリストの聖典「ミノトール」顔負けの
「幻想的」雑誌となろう。

日本画を専攻して山口華楊や池田遥邨らに師事しながらも後に
画壇とのしがらみを絶ち、しかし終生京都を愛し続けた三尾の
含羞を、あの透き通った画風にみてあげないと、如何にも気の毒。
私には森村泰昌に比べるとよほど叙情的な作品に見えて
仕方が無い。


福井栄一の問わず語り」の扉へ

無断転載禁止 掲載:アーク編集室