Arts Calendar/Art's Report site/《FUKUI EIICHI no towazu-katari》happy-go-lucky
vol.72
「新春天空狂言」(OAPタワー・スカイプラザ)
正月三賀日、狂言界の暴れん坊・茂山一族が地上一八〇メートル(三十八階)で
揃い踏みする「新春天空狂言」(OAPタワー・スカイプラザ)。
1/2(火)は、「お正月トーク」「筑紫ノ奥」「千鳥」「梟」。
トークは、当日の核・茂山千之丞と孫の童司。理論派の祖父と現代っ子の孫の
掛け合いがイイ味。名優の口から飛び出す蘊蓄に素直に「ヘー」「ホー」と感心
していたのは、何も舞台の上の童司だけではあるまい。観客もつい引き込まれる。
「ボクが今後、歳をとらず、キミだけが歳をとって今のボクと同じ歳になったら、
是非共演しよう」という千之丞。奇想天外な冗談に、自分と同じ
道を歩んでくれている孫への深い慈愛が溢れていて、胸をうたれた。
「筑紫ノ奥」では、筑紫・丹波の二人の百姓(茂・正邦)(網野善彦センセイ、
すいません)が気難しい奏者(千五郎)を何とか笑わせようと腐心する。
舞台に登場しない領主を生々しく感じさせたのは千五郎の腕。
最後は三人でめでたく笑い納める・・・と思いきや、
笑い終わった奏者が一転して元の苦々しい表情に戻り、観客をアッと言わせる。
「千鳥」では、トークでいい絡みを見せていた千之丞・童司コンビが再登場。
主人の命を受けた太郎冠者(童司)が、酒屋の亭主(千之丞)を何とか丸め込んで、
酒樽をせしめようと、伊勢の祭り見物の話にかこつけて、酒樽奪還に挑みます。
そうはさせまじと突っ張る亭主。しかし、根がお人好しゆえ、まんまとしてやられます。
と言うか、太郎冠者の人柄にほだされて、わざと計略にはまってやったのでしょう。
太郎冠者の奮闘に目を細める亭主の目は、同時に孫を慈しむ祖父の目。
「梟」では、梟にとりつかれて奇声をあげる病人に茂が扮して熱演。
祈祷で治そうと挑む法印は千五郎。この人、真面目な顔で真面目なことをする
時ほどおかしい。天性の狂言師だ。
弟の奇病は兄(丸石やすし)にもうつり、二人して法印を取り囲み、奇声の大合唱。
法印の健闘空しく、やがて彼も・・・。
力無く奇声をあげながら、振り返り振り返り、舞台を去る千五郎の背中は「おもしろうて
やがてかなしき」風情。
「福井栄一の問わず語り」の扉へ
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