Arts Calendar/Art's Report site/《FUKUI EIICHI no towazu-katari》so-so
vol.74
「双葉寄席〜東の旅(お伊勢参り)」(近鉄アート館)
年始恒例の双葉寄席(近鉄アート館)。
今春は、お伊勢参りの道中を題材にした噺を一挙に聴かせる好企画(1/4)。
大抵の噺家が入門早々教え込まれる「発端」と「煮売屋」は若手の林家染雀。
滑舌が勝負の「発端」は、二、三箇所言い淀んだものの無難な出来。
続く「煮売屋」は、「発端」の余韻が残っていたためか、テンポが早過ぎ、
全体にせわしない。
田舎の煮売屋のけだるい風情をもう少し出して欲しかった。
「軽業」は桂小米朝。桂三木助の衝撃的な自殺事件に絡め、
偉大な親を持つ子の苦労をマクラに仕立てたが、生々し過ぎて笑えない。
稽古不足が発声に出た。落語の声ではなく、素のしゃべり声になってしまっている。
「七度狐」は笑福亭仁昇。なでつけた髪、銀ぶちのメガネという容貌は一見、銀行員風。
しかし、悪い狐の妖術に翻弄される少し間抜けな旅人二人を実に楽しげに演じ、
愛嬌を見せた。今後、「化ける」かも知れない噺家。
田辺寄席の常連・桂文太は「桑名船」。
よく思い出してみると、最近あまり聴かなくなったネタ。
「兵庫船」「矢橋船」など類似のネタの一部をわざと入れ込んで笑わせる
うまさは油断がならない。高座で高座をパロディに仕立てる芸当は見かけほど
容易ではない。
仲入り後は、笑福亭三喬の「三人旅」から。何せ勢いが有る。気の荒い馬方を演じて
不足が無い。所謂、「ニンにあっている」格好。
この人で「軽業」を聴きたかった気がする。
トリは人気の笑福亭仁鶴で「三十石」。会場の期待も大きかったのに、
登場早々から元気が無い。
見るからに憔悴していた。声に張りが無いし、いつもの華が感じられない。
体調不良か。満場の観客は肩すかしを食らったままの幕切れとなった。
全体としてテンションが低い会だった。正月疲れかは知らねども、
観客のせっかくのお屠蘇気分が醒めてしまう高座は残念至極。
猛省を促したい。
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無断転載禁止 掲載:アーク編集室