Arts Calendar/Art's Report site/《FUKUI EIICHI no towazu-katari》sweet tooth

vol.71
「絶対尾道 中山久幸展」(ギャラリーナダール)

2001年1月14日(日)まで開催中の「絶対尾道 中山久幸展」
(ギャラリーナダール)。
尾道に惚れ込んだ中山が、港の突堤で露地の片隅で
民家の軒先で、尾道という「最愛の恋人」と抱擁し、
傷つけあい、慰めあった記録の数々。

気づいたことが二つ有る。
まずは、登場人物のおおらかさ。それでいて、強い。
大地に自分の二本の足ですっくと立つ潔さが滲み出る。
骨太で、かつ優しい。
会社に、学校に、家庭に精気を吸い取られ、
ただ息をしているだけの都市住民に無いオーラだ。
呵々と笑う老婆の大きく空けた口、ずれた入れ歯までが
人なつっこい。

二つ目は、そうした尾道の風景の中ですら、中高年の男性の影が薄いこと。
元気なのは、女性であり、老人であり、子供なのだ。
オジサンはどこの土地でも、しょぼくれていて、侘びしくて、
悲しい。
赤いランドセルを路上に放り投げて興じる女の子の生命力は、
彼らを十人はなぎ倒すだろう。

「絶対尾道」というからには、今後も尾道が題材なんですよね、と
月並みの質問を投げ掛けた。
すると、作家からは「いや、他の土地を撮りたい」という意外な答え。
深く愛した故の永遠の別離なのだろう。


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