Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》ZOO OF MUSIC-2
252.
8/11(土)
『楽器の動物園〜きららの村』秋吉台国際芸術村(その2/クリスとショーコ)
さて、『楽器の動物園〜きららの村』の核となるクリストファー・ハーディ&新谷祥子パーカッションデュオのワークショップとコンサートについて書こう。
ワークショップは、11時が小さい子どもと父母のグループだった。13時と14時半にはもう少し大きい子どもを対象としていたみたいだ(と感じたがチラシをよくみると、13時は小学校の1年から3年、14時半は4年から6年という仕分けだったようだ。これはちょっと機械的すぎるように思う)。
それに、夕方に演奏があるのに3回もワークショップがあるというのはしんどすぎないか?1つ2つ減らせて、たとえば、アトラクションのミュージックズーが緊張感には至らないアマチュア音楽家が多かった様子なので、ここに登場することができたのではないだろうか(格差が大きすぎる?)。
13時のワークショップがちょうど食事時ということもあり、今日は人数が少なかったようだ。ただ、12日も同じように3回ワークショップがあってそのときは13時は募集を締め切るぐらいの人気があった(これは明日のところで軽く触れるが、50人ほどになり、リピーターも多く、二人も場の様子が分かってスムーズな進め方をしていた)。
11時のワークショップを覗く。12時前まで。一番感動したのは、お母さんが車椅子で障碍のある女の子を連れてきて一緒に床に座りワークショップの輪の中に入っている姿だった。他に知り合いがあるのでもなく静かに参加して車椅子を押して静かに芸術村を下りていった。話しかけたいなと思ったがせっかくのワークショップでの体験をゆっくり歩きながら二人が反すうしている感じが後ろ姿に感じられたので、じっと後ろから眺めていた。
クリスが顔のような模様が書かれた「タール」と呼ばれる太鼓を自分の顔を隠すようにしてやってくる。太鼓人間のようだ。祥子は「悪魔のバイオリン」と呼ばれる一人で色々な楽器を演奏できる剽軽な頭のついた楽器を持って登場。
祥子はマリンバに移ってバロックの小品を演奏する。
始める前、参加した子どもたちに西アフリカのジャンベを配っていたが、それは一度回収し(静かに聴く環境をつくるためだろうか)冒頭に演奏の後に配られる。ジャンベを使ったワークショップのテーマは動物たちの叫び声と歩き方をジャンベで表現する遊び。これは楽器の動物園とうまく連動して作られている。
マリンバのマレット(ばち)を1本で使うところから、2本になるとどういう風に変わっていくか、それを3本、4本と使ってみせる。9歳の男の子を出して叩かせてみる。ちょっと恥ずかしそうだ。全体に山口の子どもたちやボランティアの若者は遠慮がちである。(特に12日のエンディングで踊り出そうというシーンで全然踊れないのには驚いた)。
キャベツの中から青虫が出たよ、ニョキニョキ。これに一番ハンディを持つ女の子が反応を示していて、白い歯がこぼれてくる。その前にみんなでした「親から子へのタッチ」etc.から身体がむずむずしてきたのだと思う。
一人の女の子(姉妹は参加している)がずっとワークショップに参加しなかった。最後の方になって静かにしているときに、かってにジャンベを叩き出す。そばに父親がいるのだが完全に彼は無視している。この真ん中の娘に手を焼いて無視するようになったのかなあ、フシギなこと・・。
続けてクリス&ショーコ・パーカッションデュオの本コンサートを書いておこう(様々な体験コーナーを今日も観察したが、それは12日にまとめて書くことにする)。『音と出会う旅』。
ワークショップをした同じホール。2階3階は凸凹だらけのけったいなホール。最大480席ということだが300人ぐらいがちょうどいい感じだ。思ったより残響が長く(現代音楽のためなら、もっと音の響きはデッドの方がいいのではなかっただろうか)場所によったら死角になるし変な反響音もありそうだ(実際、かなりリハーサルで工夫したようである)。
もちろん、ノーノの「プロメテオ」をオープニング本邦初演しようという構想の下に作られたといういわく付きのホール(奈義町の美術館とまるで同じ発想である、出来上がったときが一番いいということになりがちなのね、こういう発想は)。
あったのかも知れないが、この17時から始まる演奏をメインとしたチラシを作り、時間があればおまけとしてアトラクションも楽しんでくださいという感じで、音楽を聴取する歓びを知っている市民へも遡及すべきではなかったかと思った。
もちろん、ワークショップによってコンサートへと誘われる人が多く出現することは大事だし、アトラクションからここまでやってくる導線を無視すべきといっているのではけしてない。ただ、緊張感が演奏する方としても欲しいのも事実。
17:04〜18:08(アンコールは「七つの子」)。
『音と出会う旅〜A JOURNRY TO SOUND』。二人が楽器を演奏しながら登場。始まりはチック・コリアのジャズ『スペイン』(アランフェス協奏曲第2章から)。マリンバの新谷祥子、カホン(木製の太鼓、クリス製作)をメインに色々叩くクリストファー・ハーディのデュオの始まりだ。
丸山真樹さんが、朝、反響が体育館みたいにあらゆるところから聞こえてリハーサルの時苦労したと言っていたが、1階真ん中で聴いてもそんなに違和感がなかった。
次の曲『ブーハン ミュージック』(ロバート・ロイド作曲)では、反響音がホールの音として楽器とは別に響いたが、打楽器が、これぐらい強度を持って叩かれるとこういう音が聴こえるのは当然だとこちらは納得してしまっているから気にならなかった。
『ブーハン ミュージック』はミニマムな音楽を珍しい、でもシンプルな楽器(4本の竹の筒を組み合わせた楽器)を使って二人が演奏するもので、クリスの方の楽器の方が音程が低くなっている。
クリスの解説があり、このように打楽器でも筒状になっているとピッチがとれる、と。これは、マリンバの板の下にある筒と同じ原理だという指摘であり、実際に楽器が目の前にあるだけにくっきりと印象づけられる。
3曲目。イーゴリ・ストラヴィンスキーの『3つの舞曲〜「兵士の物語」より。タンゴ〜ワルツ〜ラグタイム』。これを二人が編曲して弾いていく。ワルツがかわいい。擦る太鼓。タンバリンとか手で二つの木の板を合わせて叩くものとか多彩な編曲。エキゾチックな断片の聞こえ方もまたオリジナルとは違った感じがする。
次はクリスがスヌーピーのつぶやきを話し(英語なので、祥子が日本語で繰り返す)、それが音になっていく感じの二人の作品。『スヌーピーな夜には』。ブリキのバケツが活躍する。水嶋一江も糸電話の前にはブリキのバケツをヤスリで弾いていたから、アメリカはこの楽器?がポピュラーなのかも知れない。
『足踏み踊り』(ヘラ・バルトーク)。もちろん二人の編曲による。2拍子がベースだが、時に9拍子になったり7拍子になったりするという。でもそんな拍子は専門家でないと数えられない、と思っていたら次の日のコンサートで足についた楽器が踏むリズムを数えればいいと教えられて数えてみた。9拍子はよく分かった、が7拍子は聞き取れなかった。
最後は、クリスの曲『タイム アウト』。二人が向かい合って打楽器をひたすらたたき上げ高揚したのちに、すっと和むくだりが快感である。客席にも石琴を渡し、初めの方で客席と即興的な演奏をする。この部分は12日の方が事前の説明もよかったし、2階席から届く聴衆の石琴が効果を強めていた。
祥子が石を二つ使って、掌のなかの石を握ったり離したりすることで石がおしゃべりをしているようだ。フシギ。
向かい合って叩くとき祥子がクリスの首に3本の竹の楽器をかけて、それを演奏し出す。何とも面白い。相手を眺めてそれに感応してノックすることってあるよな。相手は自分のよさが見えていなくて相手がそれに気づいて叩いてくれてやっといい音がする(才能に目覚める)。そんなインターラクションの比喩のように思ったりした。
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