Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》HOSTUNKNOWN/metal brain
TORII HALL DANCE BOX Vol.79。ああ、ここでダンスボックスの見れなくなるのか!と思うと、隣に出来たパチンコ屋も疎ましくなる。鳥居ビルの1階が閉まっているのも寂しい。2つある近くのラーメン屋も競争するかのように値下げしている。
とりあえず、大谷燠さんや文さん、それに芦田さんとか横堀さんの顔がいつものようにあるから、ここは変わらずコンテンポラリーダンスの中心であり続けると錯覚してしまう。タフのポスターを渡すと早速窓に貼ってくれた。黒子さなえさんの2/22(file1)の動員が心配なので、トリイホールにはお世話にならなくちゃいけない。
HOSTUNKNOWN「metal brain」(原案が宮北裕美、演出・構成・振付・出演は彼女の他、黒子さなえ、山下残)。
主催者が知らないこと、知られていない亭主・・・HOSTUNKNOWNというのがどういう意味合いでつけられたのかを知らない。結成されて4年目を迎えたという。宮北裕美が中心のユニットであることだけを知っている。黒子さなえも一緒にいるようだ。山下残は特別出演らしい。
ひょっとすると、宮北裕美をコアに、黒子さなえとともに映像と音楽、衣装のメンバーもコアに近いのかも知れない。
音楽はnova express(Last MomentとMariaのところに、ORGANというクレジットもあり、Mariaにはメゾソプラノ3人の名前も)、英語の数字カウントなどコンピュータ音楽満載。
映像はセキミハル(宮北裕美も一部関わっているようだ)。
かなり抽象的で忙しいもの。切れ切れでギザギザ。でも何かが映っていることを感じさせるし、単なる模様でもないようには思う。映像は半分ぐらい照明とも重なることがよく分かる。何かを私たちに浮かび上がらすための光の切れ端なのだ。
衣装は石田朋子。壁にも生成の生地。生成でも有機的な自然主義とは限らない。布を巻くこと。白い半透明の袋に入ってしまうようなもの。顔まで隠すアラブの男仕様。山下残の衣装は長い布が必要だっただろう。金色の布が印象的。でも、最もインパクトがあったのは、海底のシーンだった(構成に宮北の他、石田の名前もある)。
携帯電話の注意も声が半分ロボット化している。ぎこちないエコー。
19:37〜20:34。7つのセクションから分かれているから、90分ぐらいのものを覚悟していた。実際は1つ1つかなり短いシーンから構成されていた。
Silent Storm〜東に嵐が来る〜。演出/構成は山下残。宮北裕美のソロ。
レントゲンの中で動く未熟児のような、間接が外れた歩行ロボットがUFOから操られているような動き。確実に新しいと宮北をかつてマークした、その身体をここでまず確認する。12分ほど。
足の長い昆虫がいて、それも弱々しい初冬の光の中で、障子の隅でゆらゆらしていると、突然風が吹いて、足が縺れるほど激しく動かしてしまった、そんな感じのダンス。ぎくしゃくとロボット風なのに、それがバラバラに引っ張られているように動く不思議。統制されていないようなのに、どこか繋がっている。
Last Moment〜有機的崩壊〜。抽象的で加工された映像。
Requiem〜砂の声・風の叫び〜。
戸口から黒子さなえがやってくる。衣装と音楽は初めの宮北とあまり変わらない。そうそう、髪の毛も短くなった気がする。でも、黒子さなえは全体に丸さや膨らみがある。床から始まる。ひざまずきダンスへ。
面白いのは、脚の内側にひっついた腕の不自由でおかしなダンスが、こちらを自由な気持ちにさせてくれること。これも一人コンタクトインプロヴィゼーションって言えるかも知れない。自由にならない、ばらばらの脚と腕の対話。そうそう、どこか自由ではない自分のカラダというのがこのダンスたちの基調の1つかも知れない。
宮北裕美には肉の付かない少女、あるいは筋肉のない少年の中間にある非現実的なカラダがある。が、黒子さなえのカラダには、そこを通過しつつも、すでに重ねた肉体の記憶が張り付いている。
Microcosmos〜素晴らしい世界〜。これが、海底の光る蛸。イソギンチャク。すごい衣装だ。欽ちゃん仮装大賞すれすれ。でも強いインパクトが頭部分までの覆う発光する斑点にあった。
Wisdom〜美しき孤独。
山下残が、アラブの砂漠に砂を避けているように覆われて誰かすら分からず立っている。立ちつくすというよりも、気が付いたらそこにいたという風情。でも、誰も何も彼を見ていない、そんな風景。星も太陽も月も、彼には気づかないかも知れない。ただ、砂が舞い散っている。
Maria〜永遠にかわらぬ愛を〜。やはり歌に和む。黒子さなえの演出。宮北とのデュエット。片足のアンバランスはやっぱり起きる。どこかほのぼのコミカル。目を剥いたりするから、ただの癒しではない。
Return to Chaos〜再生〜。Mariaとの境は少し自分の中で曖昧。白い布を抜けるのは、こちらの再生なのだろう。透明のねばねばの袋みたいな衣装というか細胞膜。
やっと人と人の出会いが生まれる。でも、ぎこちない。びっしりとカラダを抱え込む。でも、抱擁ではない。なんだろう、それは、密着?蛸同士はきっとこういう風に交尾するのかも知れない。
断片的な想念が見終わった今もこのパフォーマンスに関して起きてくる。アフガンのことを『インパクション』で読みながら、山下残が立っていた顔の見えないアラブ人のような存在について。あるいは、そこに実際に黒子さなえや宮北裕美が存在するのに自分の眼球内では揺らめいて固定できず、映像のようにしか見えなくなってしまう「リアル」ということ、について。
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