Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》HAYASI style & AME-NI-UKABU
「ベトナムからの笑い声」12回めの公演、『ハヤシスタイル』14:08〜15:28。作/黒川猛、演出/ジラフ教授。特殊美術/宮崎宏康。宮崎はなにかフィリップモリス賞とかを取ったらしい、すごい。衣裳・小道具:東川原菜緒(今回唯一の女優さんでもある)。
アトリエ劇研はいい感じでいっぱいになる。おもしろいからなあ。丸井重樹(=ジラフ教授)が今回は下手側から笑いが起きますから、下手側に詰めてくださいと前説でいう。初めは下手が面白い良い席だといいかけて、上手側の人たちににらまれたのでとっさのアドリブだ。
題名からしてことば遊びをしたくなる。林にスターいる?、ハヤシライス、ヒヤシンスシスター、ハヤアシスイマー。カシスカクテル、コモエスタクロッコダイル。ハルハタノシヤ、ヤシキノスイセン・・・。
NHK朝ドラにあった「オードリー」を思い出す設定。時代劇のテレビ撮りはもう風前の灯火。特撮ヒーローものもなんだか二番煎じどころか、煎じすぎて違う毒素が出てきている。スタイルエース(宮崎宏康)というとてつもなく大きな人形と、ドラム缶みたいな珍奇なちゃっちいロボチン(堀江洋一)。もう、やけくそな菊葉撮影所。勢い重視のみね。
中央テレビ(名前もまあ言いたいことがまんまにでている)のプロデューサー役の久保(徳永勝則)はお決まりの無能ぶりだ。が、ここにカリカチュアされて書かれていることが、実際のテレビ局でもかなりにそうらしいから、怖いことである(それは広告代理店とかそういう同じような大手の会社で実権を握っている「プロデューサ」さんたちも、えてしてそうなのだ)。
どんなに久保プロデューサが間違っていても、その久保の言うとおりシナリオを書き換える荒木(黒川猛)と菊葉の林社長(樋口真)。フリーの樋口のオジサンぶり、自分だけが大声でしゃべる説教ぶりがおかしい。黒川はいつも情けない役だ(こういう感じで本を書けば、一番みんなに動いてもらいやすいからかも知れない)。
加糖旅団からの高木俊輔は、時代劇の大部屋男優役。中央テレビの久保から理不尽に嫌われるのがおかしい。スタイルエース(20kgでかつ背が高いので、腰がやられそうだという)は久保に惚れるし。ばたばた。DカップとFカップつけたロボコ?(東川原菜緒)は失職のすれすれで生き返るのだが、まあ、最後のオチはまだあかせないので、あとは、みなさん、せいぜい笑ってもらいましょうということで。
絶体絶命からの脱出。意外な解決。まあ、窮地を切り抜けるのはウェルメイドコメディの定番である。あとは、そこでのウィット。ここの特色はそんな定番を扱っていても、ふと変な顔が登場したり、やりすぎたりすることだろう。女優があと二人ぐらいほしいな。ロボチンの北野男一という暗いキャラクターが嘘つくやつを告発するのだが、そのコスサは一筋縄ではいかない。
2/11(月、休日)は、扇町ミュージアムスクエア。
芝居屋坂道ストア商品第16号『雨ニ浮カブ』13:03〜14:28。作・演出の角ひろみのオリジナル原点であるのは間違いない。1995年の原案をリメイクしたという。芝居屋坂道ストア制作の近藤のり子さんと挨拶。ここからは太っ腹に多くの学生を招待してもらっていて感謝である。
その招待でうちのクラスのふたりの学生が8日に観たのだが、彼女たちはどう思ったのだろう。私としては、これを京都橘女子大学バージョンにしてやってみたい(あるいは、学生にやらせたい)気がしてならない。
舞台は喫茶店、いまのカフェよりももちょっと昔の景色。三方から客席が取り囲む。私は下手の側面。上手の側面はイスが少なくて一人の女性だけ。こちらから観ると、劇の節目ふしめに彼女の感動する顔、特に目の表情がよく見える。ふと大野一雄をトリイホールで観たときと同じだと言うことに気づく。
冬子(大木なつ美、音楽担当でもある)は大学の薬学部を卒業しても就職する気はない。美味しいオリジナルのコーヒーを開発してお店を出すという。就職が決まっていたしっかり者の流石(日名子知佐)もそちらに乗り換えることに。二人が憧れていた先生に相談して?スーパーブレンドコーヒーを開発する。
話は飛んで、冬子が一人で経営するカフェアンコール。6〜7年が経過している。あとで流石が変装して来ていたので分かることだが、冬子が先生にアプローチして独り占め、カフェに出資した流石はいたたまれず立ち去り、ずっと冬子一人で経営してきた。
冬子は美人ママとして評判になり、このコーヒーを飲んだり肌につけると美しくなって男に持てるという評判も噂されるようになる。
今日は、11杯ほど結局飲むことになるリクルートスーツ姿の武田(吉田有香子/太陽基地アパッシュ)がずっと粘っている。ここのコーヒーと雰囲気のファンのようだ。
22時で閉店です。そこを、もう1杯。武田は帰りたくない。
これも後で分かることだが彼女は就職の面接をすっぽかしたのだ。大学卒業の日が迫ってで迷い出した冬子と流石を、武田がいま反復している。そこに突然の雨。雨女たち。はじめ18歳だといっていた美奈子(本多真理)が飛び込んでくる。
美奈子は愛媛の田舎の町から3日間で歩いてきたという。無銭飲食。元気がいいが空元気。明日、好きだった男の家に行くという。初めは最後のヤイコオーディションに受けるということで田舎を飛び出したというが。
本多とともに、水野かなえ(角ひろみ)も雨をついてやってくる。コーヒーの秘密を脅迫して最後のチャンス(お見合い)に臨みたいのだ。
本多と角のけなし合いがコメディとしての山場となる。角ひろみは貫禄を見せるが、本多真理という小さな女優さん(少年になることも多い)の成長ぶりがうかがえて、彼女のような体型の人がクローズアップされるのは重要だと思う。ダンスというのではないが、「守ります」と言いながら片足を胸につけて抱えるポーズがみんなに最後に伝染するのもおかしい。
サティのピアノ曲が流れながらの展開がどたばたを少し上品にしている。主題曲はテネシーワルツ。ここの女優さんの条件は音楽が好きで歌うことが好きなことだと思う(下手でもいいけど)、踊ることも含めて。
もちろん、かっこ悪いほど真剣でどたばたする演技をするっとするには経験や稽古や資質もあるのだろうが、学生がふっと手の届くかも知れないと思える世界がそこにある。特に今回のような等身大の思いが溢れた世界に触れると、いつも誰でもそこにターニングポイントがあるんだと思わせてくれる。
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