Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》CASABLANCA

327.
3/10(日)
劇団マグダレーナ『カサブランカ/フォーエバー』セントラルホール「wing」(高松市内)


たかまつアーツの人づくりプロジェクト/クロージング公演、劇団マグダレーナ『カサブランカ/フォーエバー』がマチネであり、次のソワレを準備している間に、受講者だけでない公開講座《検証[いま、演劇!]》を行う。公演と同じく高松市教育委員会主催のこの公開講座が私のお仕事である。

午前中、おかやまアートファームの大森誠一さんとレクチャーについての打ち合わせ。「スローフード」(ファーストフードの対極ある食文化についての思想)に強い関心を持ってもらえたので、レクチャーの締めくくりイメージがスムーズに出来ていく。
そのあとは、ずっとお芝居を巡る四方山話。よくこういう雑談的情報交換が次の動きのベースになったりする。7月の犬島での公演はなんとしても出かけなくちゃ。

劇団マグダレーナの幅の広い支持層については、満員になったセントラルホール「wing」(地元百十四銀行によるホール)を見ても実証されることではあるが、たまたま大森さんとお茶をしていた喫茶店のおかみさんから逆に今日の公演を薦められたことでもよく分かる。

『カサブランカ/フォーエバー』自体は、2時間を超える作品(14:13〜16:23)。受講者の一人小西金太郎さんに作/演出の大西恵さんが出会うことで実現した物語。

客入れの中心は、私たちの受講者たちである。なかなかにてきぱきと空いた席を見つけて誘導している。芝居の作りの骨格は、どこか松竹新喜劇を連想させるような人情色の強い内容とテンポが特色で、前回にみた芝居(ぱっと、ああこれはつか芝居だと判断した)とはかなり違う。

終わってからの受講者や参加者の感想にもあったが、年輩の人たちが恋を続け命を張って生きている姿がよく描かれている。なにせ、(数々の日活ロマンポルノの絵も事前に制作した)小西金太郎さんは映画看板の絵を舞台上で実際に描くわけで、台詞を覚えるだけでも大変なのに、高度な技術を要求されじつに見事に応えている。

お金と芸術、コピーとオーラ、贋作とオリジナル。演劇と映画、大豆の味のする豆腐にスーパーの水っぽいトーフ、グローバリズムと地元ぐるみ運動、シネコンに対抗できない地方単一館・・。
対となるテーマや素材がここにはいっぱいある。

この劇団は社会派である。でも恋もお笑いも入れたい。それにほろりとしたいという観客にも答えたい、ということから、いつもどうしても盛りだくさんになるのではないだろうか。そこで、本公演とは別に、若手にもフリンジ的作品づくりを行わせるなど、可能性を広げることも大切なように思った(地域劇団の雄、弘前劇場はそういう試みをすでにしているわけである)。

私がトークする公開講座は、受講者(12名ほど)以外は2〜3名ほどだったので、みんなから感想を聴いてそれに反応する形を予定よりも多く入れた。みんな半年を経過して、昨日から今日にかけてもこのお芝居を手伝うことを率先して行っているし、話す内容にも格段の進歩が見られていて嬉しい限りである。

アーツ日記もまた付けようかと思っているという人もいたし、事前にオリジナルの「カサブランカ」をビデオで観るという鑑賞準備をした受講者もいた。この人たちはきっと、これから2004年にオープンする新高松市民会館を「空っぽのホール」にさせないように取り組む人たちの中心になってくれるだろうと思う。

マチネ鑑賞のあとは、スローフードの3つの目的(“郷土食を大切に”“地域の小生産者を守る”“味の教育を、子どもを含めて行う”)になぞらえ、「スロー・シアター」(ゆっくり作りあげる劇場=演劇)の3項目なるものを提案して、私のトークのとりあえずのクロージングとした。

1)“郷土食を大切に”→郷土の劇団、アーティストを大切にする。固有の味は即席に余所から買ってくる味とは格段に違うものだ。今日のお芝居でもお豆腐の味に触れられていた。長い時間をかけて作りあげるお芝居、そして劇場を目指そう。
2)“地域の小生産者を守る”→それは演劇なら演劇の素材、あるいは土壌となるものを指す。たとえば、稽古場や使われる地方言葉、衣裳などの地域の数々の文化、伝統、遺産への眼差し。手づくり舞台の継続環境を大切にすること。
3)“味の教育を、子どもを含めて行う”→演劇についての味わい学習を行うこと。とりわけ演劇鑑賞の癖をつけ味わい方を自然と身に付ける教育現場づくりが大切である。それには家族の団らんによる共食と同じように、同質のグループだけではなく多様な芸術の味わい方が「自然と」小さいときから身に付くような環境づくりがないと、同一文化の強制となる。

今回のトークにあたって強く影響され参考にした本については、次のこぐれ日記328.で別記します。


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