Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》NARA-MACHI*HIKITAMA
346.
5/11(土)
ひきたま(with 船戸博史)「2nd 十念寺てら小屋劇場心音ライブ」
ほんとはひきたま音楽をより切望していたのは女房の方だった。けれど、事情があって、由良部正美さん(毎日曜日、十念寺の本堂で「銀河鉄道の夜・想」をオジジ、デカルコ・マリィとともにロングラン公演)の奥さんに送ってもらった「2nd 十念寺てら小屋劇場」のリーフレットの地図を見ながら、ならまちを彷徨った。
奈良駅から降りていくとすぐに分かるのだけれど、竹之内淳志ツアーの途中に若草山から下って行ったのでずっと南の方をえらくぐるぐる歩いてしまった(ならまち格子の家とか奈良市音声館などを越えた所と思っていたから)。やっと方角を修正、石畳の小径を入ってこぢんまりした所に、目指す十念寺があった。
ひきたまと船戸博史による演奏「2nd 十念寺てら小屋劇場なら心音(こころね)ライブ」16:05〜18:03。
2時間のライブを二人だけでずっと行って、退屈させずあっという間のことに思わすなんて、なかなかに出来るものではない。サポートの自在さももちろんのことだが、それほど、ひきたまの音楽にオリジナリティがあるということだろうし、カバー曲に親しみやすさとひねりがあるということだ。
本堂は広くはなく、すぐ目の前がステージ。そして阿弥陀様が奥に鎮座しているらしい。
その前にコラ(西アフリカの弦楽器、それ自身工芸品)をお腹にかかえたひきたまとベースの船戸博史が、演奏するのだ。照明は本格的なので客席は暗く演奏者には見えない。
今日は落ち着いた感じの曲を選んできたということだった。
1)窓から外を見たら、青い月と目が合った。満月が誇らしげで今日の私は自信がないの。幻想的でアンニュイな感じもある。低音の響き。私はひきたまの歌をダンスとともに懐かしく精華小劇場で聴かせてもらったぐらいなので、とても新鮮。大人の女性の深い心の揺れがそこにある。
2)カリンバ(親指ピアノ)に持ち替える(コラから電気コードをカリンバの裏の板に付けかえる)。手首をちょんぎってしまえばと思う。中音域の声。船戸は深海みたいな音効を、ぞくっとするほど。幻想的な物語性に満ちた歌。
3)この曲もカリンバ。カリンバを演奏しながら歌う人はほんとに数少ないはずだ。確か男の人(山田晴三さんとかいったっけ)がいはったけれど。ドライアイスに虫をのせて殺生をした残酷な裏庭の話。ベースが3連符でカリンバが4連符のようなリズムが心地よい。
4)Kunang Kunang。タイトルは、インドネシアはバリ島のホタルのこと。椰子の木の間に星のように飛んでいた。コラに持ち替える。アルペジオが香る。1999年に出したファーストアルバムのタイトルにもなっていた。
5)コピーダンドゥット、カリンバ。コーヒールンバ(日本では西田佐知子が歌っていた)をインドネシアの人が歌ったもの。ここからカバー曲が数曲続く。馴染みの曲などを一ひねりして歌うところが心憎い。インドネシアのコーヒーは粘っこくてどろどろした感じなのだろうか。
6)干瓢(かんぴょう)。北原白秋作詞。早くて短い曲。干瓢、干瓢、干瓢という繰り返しが微笑ましいもの。題名のない音楽会で聴いてこれは歌いたいと思ったらしい。
7)東京ブギウギ。ひきたまが大好きな笠置静子さんの曲。コラ。これはオーソドックスに。ここで休憩(16:46〜)。
8)MUSPA(祈り)。セカンドアルバム(トリイホールでの2000年のライブアルバム)の題名になっているもの。カエルの声が聴こえる。月の光の中に。バンブーが私を呼んでいる。幻想的な光景が匂い立ち消えていく。
9)因数分解。複雑なリズムが組合わさった曲。ケニアの楽器を初めて見た。針のように並んでいる、研ぎ澄まされた冷たい目。
10)コムダビテュード。「マイウェイ」の原曲はフランス語で、歌詞の内容は、仮面夫婦みたいな会話だという。ホエ〜。
11)あなたが水をあげるのよ、あなたが自分の花に。きれいに育てるのよ。・・・・。小粋なメロディー。
12)極楽浄土。この曲は自分が作曲したもののなかでも思い入れがある。というのは、数年自分が死ぬということをテーマに作りたいものだと思って出来た曲だからだ。ゲンジェックというケチャみたいなものでより庶民的な声の合唱を彼女がバリ島で習ってきて、それをお客さんたちも伴奏で入れる。
さあ行こう、極楽浄土へ、旅立ちの極楽浄土へ。
わたしたち聴衆のパートは、「ゲゲ、ゲゲ、ゲゲ、アー」を後打ちで繰り返すという単純なものだが、何せ、私たちお客数がかなり少ない(地元の関係者が多かったみたい)ので、それに気づかせると悪いなと思って、途中むせながら必死で続けた。
13)アイヨアイヨ、イエーという風に聴こえる歌。これで最後の曲。月に寝転がって、あくびをしながら。踊ろう、輪になって。
花が贈呈される。
アンコール曲は、「ありがとう、またくるね」。地球は窮屈なので宇宙で遊ぼうというようなものとか、月や星など自然の歌が彼女には多い。そして、人と人の関係の曲は少ない。そのなかで、珍しくトムヤンクンをわざわざ作ってくれて歓迎してくれる岡山にあるエスニック料理のお店に感謝して作った曲で、この優しい小さなお寺のライブにぴったりだった。
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