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vol.361.
6/30(日)
劇団ジャブジャブサーキット『しるくさんど』AI・HALL
&『全地蔵洗濯機』京大西部講堂(その2)


劇団ジャブジャブサーキットの『しるくさんど』については、少し舞台内容にも触れておかなくてはならない。14:08〜15:55。
真ん中にステージ。その回りに客席が作られている。

完全に四方とも客席というのははじめてらしい。ただ、1面だけ少し背面ぽいかんじで客席数が少なく、そのそばに役者が登場するスロープがある。車椅子のはしぐちしん(客演、この会員施設の経営者で博士)はいつもここから登場。ここは、個室やゲストルーム、所長室などにつながる橋掛かりのようなものだ。

スロープと反対側の出口(開演前はここから客入れ)は会員が散歩する下界に通じている。この扉から自衛官(彼はここを「知的ホスピス」と呼ぶ)も面会の人とその友だちもやってくる。元妻も。この広場には監視装置もなく(会員は自殺未遂の人たちなので常に微妙な心の状態になっているはず)会員のオアシスになっている。

天井に丸い提灯のあかり。始まる前は気が付かなかったが、4つのシュレッターが上からプランターのように吊されていて、会員ごとに割り当てられている。シュレッダーで裁断された紙くずは水槽のような所に集められているのだが、開演前は花壇の緑みたいに見えていた。

冒頭のシーンでは、会員の一人、元写植デザイナー実塚(荘加真美)が自分が作ったデザインを打ち出した紙をシュレッターしている。
会員は毎日30枚をばらばらにして記憶を軽くしているのだという。同じく会員の羽長(栗木己義)はもとベストセラー作家で、彼の自殺の原因は元妻のようだ。実塚の方が病深く、もうすぐ、羽長がここを出ていくことを予感している。がどうしても口に出せないでいる。

もう一人の会員は家族よりも会社の方が大切だった元営業部長。ところがそんなに大切だった会社が彼を見離す。つまり部下の裏切りがあって死のうとした。娘がそれ(父にとって家族の価値が余りにも低いということ)にこだわっている。この「知的ホスピス」のスタッフふたり(岡浩之、岩木淳子)は、とぼけてどじな役。でも憎めないキャラクターである。

自衛官は少し悪役ぽいがそこまで鮮明でもない。何がこんな施設を必要としているのかは、会員の言葉や行動だけからぼんやりと漂っているだけだ。実塚は世界が見えすぎる病のようで、彼女についてが一番興味深くもう少しつっこんでもらいたい気がする。

残念ながら死んでしまったのが、調査で訪ねてくる矢島自衛官(小山広明がりりしい)の同僚(矢島との関係は同僚以上の関係だったことが最後に分かるが)、菊池である。この菊池の遺書?と、所長夫妻の亡くなった息子の霊が現れてくるところがジャブサーらしいミステリーの味付け。

車椅子に乗ったはしぐちしんと咲田とばこが自然体で学者夫婦を演じていた。
亡くした子どもへの悔恨、愛着、哀惜を結婚記念のプレゼント(ヘビの人形というフェイントも交えていて、大人の趣向となっている)と絡ませるシーンでは少しほろっときた。

菊池は有事立法反対者だったようで、機密漏洩問題と絡む。当日パンフの「ごあいさつ」にあったように、今回ははせひろいちもいまの時代へのメッセージを少し明確に出そうとしたわけである。

ただ、さらりとした点景が続くこの芝居のなかなかでは、彼のメッセージもほんの一滴にすぎない。声を荒げない作風はやっぱり健在だしそのままであって欲しいと思う(せっかちに見ようとする観客には肩すかしになるけれど)。これをいまという時代にそっと提示していく姿勢を続けることの方が大切だから。

ソワレの『全地蔵洗濯機』では、「おかま」の話が冒頭の肝試しとしてまず持ち出される。感じの悪い人物という作り方は、まずおかまになった振りを劇中で演じる高橋良明が、続いて他大生竹井愛果が、そしてよく分からないサラリーマン役の先輩が受け継いでいる。

他方、かわいらしい少女のようなおかまとして、小島聡太(演劇実験場下鴨劇場)が登場。彼の演技はナチュラルでなかなか味わい深いものだった。


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