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vol.376.
8/17(土)
KPOキリンプラザ大阪『大阪難波しりあがり寿歴史資料館』

近鉄小劇場『義経伝』満遊戯賊プレゼンツ

近鉄小劇場も久しぶり。松原利巳さんはきっと夏休みをとって海外にでも行っているのだろうと思っていると、劇場の中で出会ったのでびっくりしました。提携公演だからでしょう。

満遊戯賊プレゼンツ『義経伝』。15時すぎから17時15分まで。チャンバラ活劇という面白いショーの要素もふんだんにあるお芝居でした。原案・構成・演出の表雄一郎がカーテンコールに出てきたのですが、それは小劇場の中では珍しいことだなあと思いました。携帯電話はマナーモードでもいいという注意からこのお芝居が音楽ガンガンということが分ったります。

ぼくの席が端だったこともあるのでしょうが、初め台詞が聞き取りにくく、満遊戯賊のみなさんは大きな劇場に慣れていないのかなと思いましたがそのうちにそうでもなくなったようです。前に座った人の頭が大きかったのでそっと横のベンチに座らせてもらいました(広々と見やすいのです)。

未来来シゲルというおかまの猪八戒と武蔵坊弁慶をやっていた役者がコメディアンとして光っていました。
あとは劇団新感線的なロック音楽とかエンタテインメントをふんだんに入れた舞台で、満席。子どもが騒ぐので困っている父親がいたり、結構年輩の人たちが来ていたのが特色です。義経ジンギスカン伝説を使いつつ、タイプスリップ物語の方はTVのトレンディドラマ的な台詞使い。USJとディズニーランドねたが出てきたことを憶えています。

道中、雑誌『ブルータス』9/1号を買いました。会田誠と狩野派を比べるなどのスーパーフラット的な特集です(『日本美術?現代アート?』)。もちろん村上隆や奈良美智、大岩オスカール幸男、ヤノベケンジ、宮島達男、小沢剛などが登場します。

特に面白いのは、杉本博司やホンマタカシなどの話題性のある写真家が比較の対象になっていたり、ジョージ秋山、赤塚不二夫、梅津かずお、そしてしりあがり寿(墨絵の「双子のオヤジ」が例示されている)というマンガ4人衆(どういう基準かはよく分かりませんが)まで登場して、仏像や禅の絵と比べられるところです。

というわけで、KPOキリンプラザ大阪『大阪難波しりあがり寿歴史資料館〜二十一世紀稀代の漫画家しりあがり寿公の起源をディープに紐解く』へとなだれ込みます。
美大時代の課題として描かれたものなどを見ていると美大というところの実態(もちろん20年以上前のものですが)が分かります。展示についてはまちの偉人とか創業者の生前を回顧する形式を面白がって採用しているので、博物館を学ぶ学生などにもぜひ訪れてもらいたい、パロディと遊び精神に満ちた展覧会です。

無闇と参加型ということ、触ったり慣らしたりボタンを押したり、隠されている扉を開けたり(トイレの中の偉人のユリイカ姿あり)、ジオラマ式になっていたり、やけにうるさい解説の声、寿公の故郷紹介ビデオ、動く実物模型。ご幼少から才気があった、天童だ、まるで天才だということを示すマンガやデッサン、落書き、作文のかずかず。

ちらりと写った彼のお母さんがとても可愛い人という印象が残っているですが、もちろん彼自身の偽造以外にも、そのお母さんがきちんと保管していたものもあるはずです。それにしても、サービス精神旺盛でとてもいい人だというキリンビール時代の評判そのまま、そういう優しい過剰な精神がこの展覧会を動かしています。

キリンプラザでの展示というのは考えてみれば何だか奇妙ですが、キリンビールという株式会社の社員として13年間、ハートランドや一番絞りのデザインを社員として担当しつつ、強烈なナンセンスで叙情的なマンガを描いてきた人の半生記がおもしろ可笑しく展示させていて、最後にはお土産としてどばっとマンガやエッセイを買ってしまう仕掛けになっています。

間違って寿公が会社を辞めるときに3部作として発刊されたものの一つ「流星課長」を2冊も買ってしまいました(だったらヒゲのOLものを買えばよかったにと悔やまれて仕方があしません)。きっと流星のように通勤電車に座ることができる中間管理職の彼のマンガなのですーっと2冊も滑り込んだのと思います。でも名作だから許します(誰を?)。

それにブックオフとか生協注文で買う方がお得なんですけれど(サイン会にも出ないですし)、それでもここで買いたいと思わされる気持ちになります。そういうところまできっと博物館における展示とミュージアムショップの連携、欲求刺激相関性の研究という勉強になります。

いまはちょうど熱闘(変換すると他に「熱湯」と「熱湯」がありました)甲子園のときなのでか、弟が持ち帰ったという甲子園の砂があったり、彼の小学生時代の作文(それは偽造ですと臭わされているのですが)があったり。本当の資料とあとからの偽造とが渾然一体として彼のワールドになります。

ひっぱると鎧の裾がめくれてブリーフが見えるところからトイレを開けると彼のフィギュアが飛び出すところまで、感動につぐ感動です。記念スタンプも過剰にあるので決め打ちでない多産で脈絡や秩序をもかく乱させる寿公のマンガを踏襲しています。もちろん、その模造と実物の混在が、「真夜中の弥次さん喜多さん」に代表される壮大な幻想を巡るドラックワールドへとつながっていくわけです。


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