Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》Rosa YUKI 2003'1.2.


vol.418.
1/16(木)
Rosa ゆき『2003’1.2. 雪』アートシアターdBなど

大阪のディープみなみ、動物園前駅下車。新世界フェティバルゲートのアートシアターdBへ。昨日もダンスセレクションがあってとても行きたかったのだけれど(無理だった)。森美香代、TORSO(栗棟一惠子)、千日前青空ダンス倶楽部が昨日で、今日は、金眞姫(KIM JINHEE)、はっぴいすまいる、Rosa ゆきの3組、それぞれが約20分間。ぼくの2003年初ダンス鑑賞。珍しく前の席に座った。

DANCE BOX SELECTION 9。20:06〜21:20。

まず、金眞姫「魂の詩」〜夜のやさしい矢車菊の束よ〜。金眞姫と遠藤加奈のデュオだが、ほとんど独立していてあるときに二人(人間ではなくちょっと妖怪みたいでもあるが)出会う。情念が長いつけ爪マニキュアとか背中のタトゥー的描きものになっているのだろう。

音楽といい衣装といい、かなり毒々しい感じがあって(原色系)、劇画とか妖精ものアニメかテレビゲームキャラクターのように見えた。ただ、前の席ではなくもっと後ろだったら二人の関係や緊張具合をよりきちんとつかめたのかも知れない。

はっぴいすまいる『inner mind』。作・演出:TEN。バレエ、モダンダンス、ヒップホップとジャンルの違う3人、TENとKAORU、RANが集まって結成されたグループ。若々しい。Wall Paintistの山口智美がまず出てきて、4枚の白いボードに黒い線を引く。一人のダンサーの動きに合わせて。それを2枚ずつにして、まず全面の2枚に青系統の絵の具を、そしてまた4枚にして残った真ん中の2枚に赤系統の絵の具を塗るというもの。

ステージ美術が踊りに合わせて出来ていくというアイディアで、踊りとある程度即興的にコラボレーションするあたりが見所。ダンスは色彩が豊かになるのと同時に途中から動きが音楽に合いだして、それからが楽しく見れた。それまではメソッドを呼吸に注意しながら練習しているという感じ。無印良品のようなカジュアルな服にペイントする部分もあった。

Rosa ゆき『2003’1.2. 雪』。老人介護を続けていると、日常の一こま一こまが相手のリズムのなかでゆっくりと貴重に刻まれていくのだろう。それが彼女のソロのなかに、その散らされる紙のきれぎれに微分化されて映っている。透明な日常のダンス。

魂の行方とその実在について。
あるときは、身体のバネの変化と物体化によって呻吟する苦行の限りの末(あるいは咆吼するシャウトなソウルミュージックの果て)に、やっと鎮魂されるような情熱と放浪と怨念とともにあると思うこともある。

でもそのようなダンスや音楽ムーブメントとは対蹠的に、道ばたに座り込んで13秒間そっと手を合わしたり、パンのかけらを鳥に巻いたりする一瞬・・・というような、浮かんでは消えるそんな限りある仮象風景に、普遍的にいまそこで震えているあなたとぼくだけの魂を見つけることも出来るのではないか、と気づかされる踊りもある。今日彼女の踊りとその隙間を見つめながら、そのことを実感した。以下、また下手な行分け文を書いてしまうと:

 《13秒間の散華、合掌》
Rosaが眠るゴジラのナイトウェアのしっぽで
Rosaが涙を拭いながらおどけてお別れをする仕草
泣き笑い ポッケに入った赤いてぶくろに
指を通すときに感じるこそばゆい感覚
Rosaが眠るゴジラのナイトウェアを脱いで
歩みをしばし止め、壁に頭をあてて数秒想えば Rosa
椅子に上って骨片を撒くように花びらを撒き Rosaとともに
その散骨が、いや散華のいくらかが顔に掛かって少し噎せたりする
Rosa!散華する薔薇と睡蓮
アベマリアの音楽が葬送の葬列リズムを刻んでいる

それにしても
今日も全国で幾体もあっただろう人身事故がお昼の研究室で話題になった 合掌
電車が遅れますと告げる車内放送を、ああまたかと平静に聞き流しながら 寡黙
自殺は迷惑をかけないでやって欲しいものだと思うときも正直あるけれど 瞑想
やっぱりちょっと目を閉じてしまった人たちも幾人もまた全国の郊外にいただろう

目の前にあるダンスが多くを語らず(観客のさまざまな思いの糸口になって)
ダンサーはそれ以上何も解説したり饒舌に話さないまま、
気づけば 大きな(過去からやってくる)歓声のなか、
舞台からいつのまにかいなくなって
その不在のなかで客席で少し大仰に人生の最期の美学を感じてもいいし
あるいはまた、身近に起こった出来事のディテールを一つ
(排水溝に消えていきそうになっていた学生たちが作った雪達磨の欠片のように)
拾い上げても(野辺焼きの骨拾いのごとく)
それも同じぐらい 素敵なことだろう

Rosa ゆきの今宵のダンスはそんなダンスだった。


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