Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》saxophones OSSIA


vol.425.
2/20(木)
『オッシア・サクソフォン五重奏コンサート』テアトロ・マロン

昨日に続けて音楽ライブである。今度はいわゆる「クラシック」音楽畑の人たちの演奏なのだが、ジャズのテイストが溢れたサキソフォンだけのタンギングも軽やかな重奏。スイングする曲も多くて、だから、昨日とは打って変わって、タバコの煙もなく健康的な環境でライブハウス的な音楽を聴いた(ということになる)。

地下鉄北大路駅からバス(北1)に乗り常徳寺前で降りると雨がみぞれに替わっていた。ここは北区だけに気温が1度ぐらい山科などより低いのかも知れない。早く着きすぎたが、ちょうどリハーサルが終わったので入っておいてくださいと朝倉さんに言われる。

テアトロ・マロン。アサクラコンサートプランニング。たしか朝倉泰子さんにはじめてお会いしたのは、サントリーホールでの集まりでだった。徳島は日和佐町の小林陽子さんが企画したもので、確か「ホール世間話」とかいうタイトルだった。もう10年以上経ったのだろうな、ぼくも国土庁にいたはずだから。

朝倉さんにはいろいろお世話になっている。まだぼくが地域創造にいるときには、テアトル・マロンの上階にある自宅に泊めてもらったし、大津に来てからも大文字国際音楽交流祭のときにこのビルの屋上で大文字焼きを見せてもらったりした。

NPOとかいうことばが日本には存在しない頃からずっと個人宅をサロンとして開放してきた朝倉さん。ここで自分たちがしたいから音楽のレッスンもし、自分たちが必要な音楽を必要な人にちゃんと届けるという当たり前なことをしているだけよ、それも楽しいから、と聞けば(聞かないけど)きっと言われるだろう。

おっと、昔話は日録だけにしておかなくちゃ。
ジャズも一つの音楽上の古典になったのだなあと思った。オッシア・サクソフォン五重奏コンサート。19:08〜20:24。9曲の演奏のあと、2つのアンコール。並ぶは渋いフランスの男たち。ネクタイ姿だけど、黒シャツとか着ていて、ルックスでもクラシックとジャズとのあいのこで、ちょっとシネマ・ノワールに出てくる暗黒街の人たちぽい。

パリ国立高等音楽院(チラシでは「音学院」となっていて、こちらがひょっとしたら正しいのかも知れないが、やっぱり音楽院だろうなあ)を卒業した4人と、作曲家でジャズサクソフォン奏者のパトリス・フードン、全員がブルゴーニュとローヌ=アルプ地方の国立音楽学校の教師、5人組である。

客席は20数名というところ。この前remoでも板井さんに紹介された関西日仏学館(あるいは大阪日仏センター=アリアンス・フランセーズ)のフランス人の人(所長だったかも、どうもいい加減だね)がいて挨拶。

1)「アーラープ」と2)「ネゲスワラ」は続けて演奏される。はじめに日本語で流ちょうに紹介したアルトサクソフォンのジャン=ポール・ブヴァティエの作曲。インド音楽を学んでいてその関係で作ったということ。東洋的エキゾチックという感じなので、インドかアラブかその辺の印象はずいぶんと曖昧な感じもする。

旅に出て演奏してその印象を作曲したり演奏したりする人たち。即興的な部分も一部あるらしい。演奏中に指パッチンを見るのはクラシックでは珍しい。完全なジャズ演奏ではないが、客席にいても身体が自然に揺れてくる。それはとくにバリトンのジャン=ミシェル・ピロレのおかげかも知れない。

タンギングというのかそうではないのかよく知らないが、ジャズのウッドベースのつま弾きに匹敵するリズムをサックスで出しているのだ。それは結構派手。こうして口をぱくぱくして出しているのだなあとサロンコンサートならではの近しさで見とれている。

3)「ナンキン・ロード」。ピロレの作曲。台北旅行後に出来たものらしい。このあたりほとんど連続して演奏しているので、前に座っている3人組はどの曲を演奏しているか迷ってしまったみたいだった。ジャズぽくはなく、でもサックスのアカペラ演奏だなあこれはとか考えている。

4)「ピョンヤン・シティー(或いは、無情の太陽)」。これからさきはすべてテナーサキソフォン(彼の楽器だけ銀色)を演奏しているパトリスの作曲か編曲。これは、北朝鮮のピョンヤンシティでの大変に奇怪な経験によって生まれた曲。政府主催の春のフェスティバルに出たときの印象だという。
一番現代音楽ぽい。ソロと合奏が繰り返される。半音以下の音の揺れとかが多用され、ポルタメントが蚊の泣き声みたいだったりする。やっぱりこういう演奏をたまに聴かないとぼくは音楽を聴いた気がしないのだなあと思う。

5)「ラッシュ・ライフ」。ビリー・ストレイホーン作曲のバラード。それをオッシア(これは日本語で「よっしゃ」という意味らしい)のためにワルツ風に編曲されたもの。優しい気持ちになる曲。この頃ホールもサックス操作やも暖まってきたのか、いい感じに鳴り出す。

6)「K.W.」。ケニー・ウィーラーへのオマージュということ。バリトンのイントロ、循環呼吸奏法である。夜明けが始まる感じがした。みんなが集まってくるステージングも微笑ましく。
7)「タイムレス」。ジョン・アバークロンビーの作曲によるもの。スイングそのもの。シンプルなテーマが重なるように繰り返される。全体にハーモニーも少し不協和音ぽかったりするが、同じ音質なののと慎重に鳴らされるのでそれが気持ち悪くさせない。

8)「シャーリー」。当日パンフには紹介されていなかった曲。やっぱりパトリスの作曲。くそ真面目なジャズ。でも素直な気分になる。ソプラノ(ディディエ・ヴァドロ)が美しいメロディーを吹く。このディディエともう一人のテナー(ジャン=シュック・ミトー)は、田舎の堅物先生というような風貌で、髪の毛の長い愛嬌たっぷりのプヴァティエとかとは対照的。

9)「キャラバン」。これはジャズをあんまり聴かない人も知っているデューク・エリントンの名曲だよね。スペイン風のタッチで編曲したということ。アルトのプヴァティエがソプラノサックスに替えて演奏。

アンコール1曲目はフランス映画の主題歌かなにかよく聴いた曲(ゲンズブールということばが聞こえた)。2度目のアンコールは譜面台の前に来て演奏。これは客席へとより近く5人がやってくるサービスである。歌謡曲ぽい素朴さ。


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