Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》CONTEMPORARY DANCE in KONOHANA
現金なものだといえばそうなのだが、劇評を書くということで今月はいつもよりもきちんと芝居を観た気がする。その面白さを再発見したなんて言うと、いつもそんなに観ていてどうして?って言われそうだけれど、やっぱりマンネリになってお芝居を観ていたのだなあと反省することしきりなのである。
他方、昨日(春秋座「門」)がその典型なのだが、踊りについてピンとこなくなっている気もする。どうしてだろう、あんなにダンスを観ながらさまざまなイメージが浮かんだり、言葉が踊って自動速記のように出てきたりするときもあったのになあと、不思議で仕方がない。きっとまあ、演劇とダンスは同じステージアーツでもちょっと違うところを刺激するので、鑑賞者に与える影響にもトレードオフの関係があるのかも知れない。
そんなことを思いながら、初めての此花区民ホール(四貫島)へ向かう。ちゃんと路線図を見ておけば、京橋から西九条までJRで行き、そこから阪神電車西大阪線で一駅(千鳥橋駅下車)なのに、尼崎から引き戻したので時間がかかってしまった。此花区民ホールは千鳥橋駅からはすぐ。
『CONTEMPORARY DANCE in KONOHANA〜ダンス新発見〜』。大阪市芸術文化アクションプランのなかの地域文化振興事業の一つなので、主催は大阪市文化振興事業実行委員会、共催が(財)此花区コミュニティ協会と此花区役所。そして、企画制作がNPO法人DANCE BOXというふうになっている。
千鳥橋駅でJAM West(+OBPアーツプロジェクト学生交流会リーダー)の近藤さんが案内に立っている。受付にも立命館の青木さんがいて、みんなJAM Westの学生会員が手伝っている(アルバイト)。15:05〜16:48。会場にはコンテンポラリーダンスではあまり見かけないタイプの若い男の二人組もいて、ストリートダンスをしている感じの出で立ち。
その他にもアートシアターdBに集まってくる層とは違う客層が見受けられる。小さい子連れが3組ほどあって、あやすのは大変そうだったけれど、こういう場には気楽に連れて来れることが大切。できれば、子守りサービスなども検討の余地がいるだろう。今回は事前のワークショップのうち、「親子のためのダンス教室」もあったが小学生以上だったそうで、幼児と親という組み合わせもまたあればいいなと会場のお母さんが話してくれた。
大谷燠さんによると、はじめはホールの舞台が狭いので真ん中にステージを作るなど色々考えたが予算が少なすぎたので断念したという。照明もあまり吊ることができなかったという。確かに一番はじめに踊った北村成美『i.d.』は赤いお尻の移動につれて暗くなったりして、えらくダークな演出に変えたものだなあと思ってしまったのだった。
それに奥行きがないので(ステージ部分は昔の小学校の講堂のようで、赤いカーテンの上に「澪つくし」=大阪市マークがあったりしてなかなかにレトロな雰囲気が漂っている)、影の投射の部分が映像に変わっていて、あれれっと見ていたが、そんなに違和感はなかった。
逆に北村成美の影がそのスクリーンに映って2重の影が生まれ、いままでとは違った趣でもあり、一番面白かったのは、ホールのドアを開けて光を入れたところで、なかなかにサイトスペシフィックな面白い演出だと思った。客席で観客と絡んで応援歌をその人のために踊るありようも、実にキャッチでいままで少し引いていたくだんの男子二人組もがぜん乗ってくるのが手に取るようで、選曲(trf)に「やられた」と声を出したりと客席の観察も実に面白いものである。
次は、エメスズキ『Hibiscus Zyanose in KONOHANA』。この題だけを見るとえらく此花区と不似合いな学術的な(あるいは衒学的な)匂いがするけれど、実際の舞台は、ちょっと抜けてしまった美人の踊りというもので、そのずれに心が動く客席ではなかったかと思う。
こういうアラブ攻撃のさなかにハワイアンでマリリンモンローのような笑い顔を見せること自体が十分な批評性を持っているし、これは実に社会政治的なダンスなのではないかと思い出す。(それにしてもダンスからはいま言葉が生まれないなあと朝思ったぼくはどこに行ってしまったのだろう。)
最後は森美香代『記憶の水』。いままでのステージは正直、見る方としてはダンスを観る場としては見づらい個所があって(特に横たわってしまうダンスにおいては)、照明も十分ではないから、できればフェスゲでまた十分に見て欲しいなと思っていた。ところが、さすがは森美香代で、下手の階段から上がるところで照明を効果的に使ってうまく少ない光を活かしたステージしていた。
エメスズキの赤いカーテンのバックも美しかったが、バックをホリゾントにしたから、それも明るさを増してステージを観やすくする。後半は打ち込みの音楽で力動的な踊りを見せてくれた。手と手のなめらかな交感などの動きは東洋的なエキゾチックな以前からのイメージを持ちつつではあったが。
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