Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》HIROS'BANSURI
今週は竹づくしである。また音楽ばかりを鑑賞した週末というのも珍しい。
今朝は、地下茎のみなさんと小鹿ゆかりさんに任せて、ゆっくりと竹の横笛(インドのバーンスリー)を聴きに行こうと思っていた。ところが、さきら(栗東)のダンスづくりが佳境に入ったと見えて、小鹿さんが竹の打ち合わせに出れないことになる。
それで、辻義巳社長(竹材店)にお会いするのに、ひょっとしたら誰も面識がないのではないかなあと思って出かける。出かけていって、よかった。とてもうきうきする体験だったからだ。実際は、地下茎の吉田さんがここの竹材店(竹久)へ毎週トラックで配達しているということで、ぼくの心配は無用だった。でも、やっぱりゼミ生の大川さんや石野さんも来ていたので少しは先生的な仕事もあった。
11時の予定だったが、ぼくたちが早く来たこともあって辻社長も顔を出してくれる。彼は竹藪に入るのは何十年ぶりだろうと言う。今日のためにわざわざ切り倒した竹の枝を切る刃物の道具を研いでいていただいていた。
竹屋さんももちろん社会的分業が進んでいるから、竹を切り倒すことが専門のお店や、辻竹材店さんのように、防虫加工や染色という特殊専門技術の会社などに役割分担がなされているのだ。
地下茎の天満さんと山田さんが竹を裁断する。竹屋さんにいるだけあるな。でも社長はずっとかっこよく竹を縦に割ってみせる。これがかなり大変そうだ。そうめん流しのためにはこれがうまくワークショップとして出来なくてはならない。吉田さんらは切った竹をうまく寝かす役目。これは男の仕事だろう。
ホントに竹の間引きは必要らしくて、特に古い竹を伐採するのはウェルカムらしい。はじめに、辻竹材店の倉庫に案内してもらって辻社長から、竹産業の歴史を少し聴く話してもらうことになった。
それから竹藪へ。ヤブ蚊が多いので虫除けスプレーが必要。雨降りが心配だ。竹ってイネ科だということを知らなかった。実際に切り取った竹を担いで大学へ。楓林(中華料理店)で昼食。みんなを残してぼくは、CAP HOUSEへと急ぐ(13時半出発、もうちょっとあとでもよかったが)。
今日は、HIROSこと中川博志さんのバーンスリー(インドの横笛)のコンサートなのだ。2枚目の彼の宇宙のCDが出された記念コンサートである。
『あの日、いつものように朝のラーガが聞こえていた・・・・・そして今も。』〜january 17,1995 HIROS'BANSURI。タブラーは、クル・ブーション・バールガヴァさん。ぼくの隣に、お父さん似の彼の娘さんがお母さんと一緒に聴いていた。
15時半開場。さっそくビール(300円)を頼む。まだ人がまばらな会場はホントにいい日曜日の午後っていう顔をいっぱいしている。ダンボールを脚にした大きなテーブルは神戸大学の人たちが作ったのだという。後ろの席もいい感じだが、そこは通りの車音がちょっと気になるかも知れない、と下田さん。
椅子などは閉校になった小学校などの椅子を集めてきたもの。でも、やっぱり神戸は神戸だ。どこか空気がモダン。それは坂の高台にあるからでもあるし、なにげに集まっている人が国際的だからでもある。碧水ホールの中村館長がHVSのメンバーと一緒にビールを飲んでいる。うちの学生も一人碧水ホールのボランティアスタッフになったらしい。誰だろう、18歳って言っていたっけな。
さて、コンサート。16:06。下田展久さんの司会。始まりは山形県出身のHIROSが世界で一番が美しいと信じている最上舟唄から、5分間。中ぐらいの長さの横笛の独奏(これはこの曲のみ、確か)。2曲目からはもちろんCDの曲が中心となる。
「1.17」。これは震災の証言を聴いてから吹いたラーガであるという。朝のスケールである。装飾音が少しずつ出てくる。インドの音楽というのは、長大にもできまた短くもできる、即興的な要素の強い変奏曲みたいなものなのだろうか。15分間。
タブラーのブーション(端正な顔立ちが宮廷音楽家の血筋を感じさせる)が入って、ラーガ・デーシュ。タブラの調律はまずタンブーラ(HIROSの弟子、西沢輝彦君が無報酬で演奏するが、調律は前に座った二人がする)を合わせて、それを聴きながらトントンと金槌みたいなもので行う。右手の五指で叩く(つま弾くような感じさえあるが)タブラーの方は、頻繁にチューニングする必要があるようだ(左側のタブラーは一度だけ枠をトントンしていたぐらい)。
17時がまわったところで休憩。カラダが軟体動物のようになってくるのが分かる。時間が線型から円形、あるいは螺旋状になってとぐろを巻いていく。空間も少し歪んでくるのが分かる。いつ終わるのかを意識しない音楽というのは何と安心感があるのだろう。そしてトリップしてしまいやすいのだろう。
後半の最初はタブラーのソロ。独特の擦る演奏が効果的な左手の使い方はきっとなかなかに難しいのだろうな。でもあの太鼓の真ん中の黒い部分は何で出来ているのだろう。ブーションが右手につけているのは白い粉だった。汗が出てくるからだろうか。タブラーというのはどんなに早く叩かれても粒ごとの間がキレイに素粒子のように空いている感じがする。空中を舞っている音の素粒子が混じり合って滲まない感じが、乾燥するインドの音なのだろうなとかってに想像する。
次にまた合奏となって、キールワーニというロマンチックなラーガ。南インドのものでイラン音楽風なのが特徴だという。ジャズ風な日本の歌謡曲の間奏を聴いているようでもある。
最後にベンガルの舟唄(サーランギー奏者ゴーシュがプレゼントしてくれた曲)。ちょうど最上舟唄とペアとなって構成されている。途中でバースリーが短くて高い音を奏でるものに変わる。また長い横笛に持ち直すのだろうと予測していたら違っていた。アンコールも同じゴーシュの作品(バスリアとかいったな)。18:08。
この前からカレーの匂いが漂っていた。演奏は終わったが、本格的なスパイスのカレーを食べないうちは、HIROSのライブは終わらない。
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