Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》PROJECT NAVI-last


vol.446.
5/18(日)
プロジェクト・ナビ『青いインクとトランクと』アイホール

『月下美人ライブ』SINGLESなど

濃い一日だった。
午前中は学習系。午後はみっちり芸術鑑賞系。

さりげないお芝居ながら30年間がその隙間から溢れてきて宮澤賢治までが降臨しまたトランクに入って去っていく演劇と、ベースのネックが顔をかすめる音楽。傍にある音、傍音ライブと名付けられた生音のこのライブは同じ所(堂山町10丁目のSINGLES)でそれもダブルヘッダーだった(この単語、若い人はプロ野球ファンでも知らないかもねとイゴシさんと話していたな)。

そうそう、10年間活動してきた月下美人さんが名前を変えたけれど、それは1ヶ月ぐらいの一瞬のことで、また元に戻した。「月下美人」はもう彼女たちだけでなくなっているから、新たに「びあらお」と変えましたと言われてもおいそれとは親しめないファンが多かったからかも知れない。

それに輪をかけてこのラオスのお酒の名前らしい「びあらお」というのは、まず覚えるのにとても厳しい名前で、家でもビアダルとかビアンカとか言いながら、どうしたら覚えられるか悩んでいたところだからほっとした。ぼくは「美しい荒尾市(大牟田市の隣にある三池炭坑の町)」とでも覚えようかと思っていたところだった。

あと10年後に40歳になったらCMソングが大ヒットするのが夢だと言っていた月下美人の山本さん。まあそんな悠長な話をしながら確実に彼女たちはこれからどんどん活躍していくわけだが、それでも。

何事も終わりがあるということ。その終わり方がいかに難しいかということ。北村想さんが演劇師★団という名前で劇団活動を始めたのが1973年ということで、ちょうど30年の区切りの年。

アイ・ホール自主企画第146回、作・演出・舞台美術:北村想、プロジェクト・ナビ第72回公演『青いインクとトランクと』14時から15時40分まで。このプロジェクト・ナビの最終公演に駆けつけながら、ラストの一瞬によって、この難しい終わり方をプロジェクト・ナビのみなさんと北村想さんは実に軽妙にやってみせた。すーっと肩の荷が下りていく「臨終」があってこそ、再生を願う儀式も故人を偲ぶ告別式も自然とうまくやってくるのだろう。

逆にこの世に未練を残し非業の死を遂げた者たちのために芸能とりわけ演劇は起こったのだということも考え合わしながら、神戸浩演じる「ミ、ケ」(2003年に確かにいた宮澤賢治)はそんな菅原道真みたいな心境だったのかどうかなどとも思いつつ、きっとそうでなくとも追悼する気持ちはあり、それは祈りであって、「ミ、ケ」への祈りは自分たち自身の祈る姿そのものなのだ(と岩田宗一先生の講義を思い出しながら思ったりした)。

(このぼくが見たはずのラストシーンはもちろん台本には書かれていなかったから、今日ここで観た人しか分からないことなのかも知れないし、来週のナビ・ロフトでは違うラストがあるのかも知れない、知っているのは神戸浩さんだけだろう、いや、降臨する「ミ、ケ」さんだけか。)

歌うことはそのまま祈りである(こともある)からなあと、伊丹駅からの電車の中でまだ自分には消えずに鳴り響いていたジャブジャブサーキットの岩木淳子さんのソロや劇団員の2部合唱(作曲:ノノヤママナコ、歌唱:金良華)を思っている。

カエルの傘を持ったカエル役の木村庄之助が、「赤城の山も今宵限り」を一くさり。すべてすべて解散のことにつながっていく。伊沢勉と小林正和の会話(「植物医師」と看板屋)は絶妙な味わい。ホントに味わい深い喜劇的役者さんたち(今日のC・ペイトンは特に東北弁そのものだった)に出会えたこともナビのおかげだったと思う。

神戸浩が鞭か何かを床にたたきつけていたこととか、もうどんなお芝居のどんなシーンか何かすっとんでいても、彼の存在そのものは消えないのだから、彼が「ミ、ケ」であるのは肯ける。

が、若い女の子のメンスを啜ろうとしていたりしていた小林正和の「ミ、ケ」も中年の嫌らしい「ミ、ケ」で、そういう悪い「ミ、ケ」(ケンジのジケン、ケンジの大ジケン)とか色々あったし、そんな多面体が「ミ、ケ」であり北村想であり、プロジェクト・ナビだったし、アイホールそのものでもあり、簡単な結論だけど、お芝居ということなのだろう。ナビの話は終わりそうにないので、とりあえずそれ以外を簡単に以下記しておく。

・・・この忙しかった一週間、何も芸術鑑賞をしていなかったので、今日はやっと本来の自分になったような気持ちで町を歩くことができたように思う。それにしても昨日に学生とともに外の音に敏感になっているので、どうも周囲の音に意識が向かっていて、それも気がつくと耳が聴いている状態が続いていた。

『アーツに関する基礎知識チェック(1)〜伝統芸能編』という記号選択問題を朝つくったことが災いして、5分遅れでOBPへ。JAM West例会。8月8、9日の芸術見本市への出展について。ブース2万円というのはとても安いことが加藤義夫さん(来年3月の大阪府企画のプロデューサに選ばれたということ)の話で分かった。手作りでできるだけ経費をリーズナブルにやって対費用効果をよく考えたマネジメントにしたいものだ。

アイホールには13時25分に着いたがもうかなりの人が入っていて、当たり前だろうが、いつもこんなに入っていたらこの劇団ももっと長続きしたのに(ノルマ制を取り出してだめになったということだったので)と思う。終わってから北村想さんが今日の台本にサインしていたので、台本と『青空と迷宮〜戯曲の中の北村想』(安住恭子著、小学館スクウェア、2003.5.25)を買う。安住恭子さんの本もなかなかによく書かれている(まだちょっとしか読んでいないが)。

それから、シングルズへ。最近行っていないのでピンク街をぐるぐる。入るとはなが歌っていた。14曲歌ったという。昨日もイタリア料理店で歌ったそうで、ちょっと低音とかしんどそうだったが、「涙出る人」が久しぶりに聞けてよかった。19時からは月下美人のライブだったので、ずっとシングルズにいた。月下美人もアンコール2曲入れて13曲。堂々としたものだ。

面白かったのは、月下美人の山本さんが東南アジアの旅に出て(そこで出来たのは「女に生まれてよかった」という曲でそれも披露された)いい意味でぐちゃちゃになったそうだが、その間石田さんはベースの先生になるためにおさらいをしていたという話。

で、二人は夫婦(めおと)系デュオって自分たちも読んでいたけれど、二人の相性がいい(外さまと内さまのペア)からこのデュオは長続きしているのだろうだろうなあと思って聴いていた。アンコールで昔の歌を歌うが、この辺りの曲はぼくは知らないので新鮮。特に歌詞がシンプルで若々しくキュートな感じがした。


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