Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》UAMACHI-KARAHORI


vol.449.
5/31(土)
空堀を歩いてみた&上町台地からまちを考える会発足式、cocoroomのオープン

颱風は少し逸れた。
谷町六丁目で下りて、空堀というまち一体を散歩する。颱風が蠢いているとき特有の空気の重さ。突然雨粒が思い出したように落ちてくる。太陽の熱さに塩分が交じっている。

ここには、そこかしこに長屋が残っている。でもどんどんマンションに変わっているのも事実だ。東西屋さん(チンドン通信社)のオフィスを見つけて、チンドンのことをまた聞きに行きたいなと思う。石畳の路地を通り、レンガ壁の表面を舐めるように見つつ、真っ赤なお稲荷さんを曲がる。

下町のフランス料理屋さん(からほり倶楽部)が準備をしているのをのぞき、まだ閉まっている楓ギャラリーの奥の“ポコペン”というカフェになった長屋の前まで行く。

今度は谷町筋を渡って、まず丸芳食堂をめざして歩く。途中に立派な銭湯がガレージに成り代わっていて、それでもタイル絵が当時の湯気と裸の男女の交流の面影を残している。かってに中にはいると、なぜか水の音がする。

大邸宅だったところを「練」という10ほどの店の集まりにした所へ。おばんさいやでごはんを食べれば良かった。変わったコーヒーを庭の竹の椅子で飲む。入ったところの店は50〜70歳代の女性好みの商品だった。2階は着物暮らしのコンサルタント的な店。クレープ屋は別の入口にある。

空堀商店街を通って、「惣」へ。潰されそうになった長屋2軒が、その面影を残しつつ可愛い小さな店の集まりとなった。代官山の(株)かまわぬの手拭いが並んでいて、江戸ぶりの模様(傘)とかもある。ぼくが一番最初に手拭いがいいなと思った店だ。3つ選んでゲット。これをあとのシンポで使うことにする。

あとの会合で知ったのが、ここは西の代官山って思っている若者もいるのだそうだ。
代官山は東の上町台地なのだろう、歴史的には。でも上町台地はちょっと地名としては広すぎるし、コトバとして固く長すぎる気がする。

タニマチは昔のメセナ、パトロンだし、ナガホリもカラホリも街のブランド名としては問題なく素敵なようにも思う。ウエマチでもいい。ホリエみたいに、あるいは南船場のように親しまれる地名の候補はどれだろう?ぼくはこの中ではカラホリが可愛いだろうと思う。カラフルなカラホリ、color holy。「空」は唐で韓、加羅、殻、そして、身体のカラ。「〜」でもあるし。

ふいに、実家のある野田を思い出す。昔は路地にはレンガが敷いてあった。2つある井戸には西瓜を冷やし、床机で涼むおじいさんがステテコ一丁で夕刊を読んでいた。藤棚はいつまで花をさせていたのだろう。あの藤棚は一体誰のものだったのだろう。

ぼくは日がな一日、一人で飽きもせず電車ごっこを繰り返す。銭湯の横、引っ込み線を走る(中央市場へと向かう)貨物機関車を想像しながら。でも、この路地のなかはほとんどが女の子たちだから、ままごとにまたつき合わされるのだろうと思うとちょっと気が重い。

夕方、豆腐屋は門の中までやってきてラッパを吹く。いや鈴だったか(記憶があいまい)。チンドン屋は大野町商店街のところを練り歩いているのだが、その音が聞こえると無性に門を超えて出かけたくなる。春江おばあちゃんのスカートの裾を引っぱって連れていけとせがむ。

恵比寿神社の方に消えていくチンドン屋の音。どこまでもどこまでも練り歩ける人たちだと感心する。ぼくらは、チラシを手にきびすを返して帰りにいくつかあるお地蔵さんにあいさつする。恵比寿神社の獅子舞も1月の15日にはうちの門を超えた。お金をあげて早々に帰ってもらう。

お祭りのだんじりは門の前を通り過ぎる。太鼓の音が大きくなってまた小さくなるのが耳の穴に心地よい。紙芝居屋は門のすぐそばで駄菓子を売る。ぼくのおばあちゃんは紙芝居屋を敵視していて絶対に買ってはいけない、見てもいけないといっていたからお金をもらえない。お姉さんたちの後ろで声だけを聴いている。ときおりちらりと絵が変わるのを盗み見する。

こんな話はとっても昔のことで、どうでもいいようなことだ。ところが、「上町台地からまちを考える会」の最後の交流会で、ゲートのある長屋は珍しいといわれて、はっとした。表札は並んでいたかと聴かれて、それは覚えていない。あったような、なかったような。何とか長屋とかいうような通称があったかどうかも知らない。そういう愛称があったりするのが面白いことだと日本で思うようになったのは、たとえば、渋谷のパルコ通りとかが出来てからだったのだろう。

生魂神社での「上町台地からまちを考える会」発足会にぼくはゲストで呼ばれて、應典院の秋田さんらのお話のあとで、CELの客員研究員、弘本由香里さんの司会で、阪大の渥美公秀さんと一緒にちょっとしたトークをしたのだ。そのトークのためにカラホリを午前中に巡ったのだが、とても昔を懐かしむひとときを送らせてもらうことになったわけである。

アートと学びをキーにこの会はやっていかれるのだという。大阪府や大阪市、神戸市のお役所のかたもいっぱいこられた。120枚持っていったコンテストのチラシが足りなくなるほどの盛況だった。また飲んでしまう。升酒は美味しく感じる。交流会でアートとデザインの違いについて話している。互いにアウトリーチは難しいなあといいながら。

cocoroomオープニングパーティ+上田假奈代レコ初ライブ『ぽえ犬わん』。フェスティバルゲートの4階。ここはremoだけだったのに、一挙に三軒、面白いお部屋が並ぶことになった(もう一つはスピカとかいってインディーズのレコード屋さんである)。

19時45分から開始、詩の朗読はエコーがいっぱいだったりするために、生声が逆に新鮮に聞こえたりもする。つき山いくよさんとのパフォーマンスは力強い、動きのある連詩である。映像もキレイな出だしだった。

立ち見が出るほどの盛況。50名ぐらいがちょうどいい定員だろう。ポエムリーディング以外にもいろいろと使ってもらいたいとのこと。
また、ビールを2本。生魂神社の発会式にいた人がこちらにも来ていて、梁塵秘抄の話をする。


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