Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》dance therapy-tachibana&arts competition
土曜日の朝。
京都橘女子大学の体育館(小さい方のアリーナ)の窓を開け放って雨の中やってくる子どもとお母さんを待っている。対象:山科地域の育成学級・作業所(養護学校生も実際は来た)に通うひととなかま。定員:当事者10名、その仲間たち15名。
進行役:ごしまともこ(ワークショップナビゲーター。通称「ごじら」)。主催:TAM研、後援:京都橘女子大学文化政策研究センター/東部地域生活支援センター(市役所から委託をうけて山科学園の方々が実際の運営をしているということをはじめて知る)、企画:Dance&People/アネモネくらぶ山科。
自分が主催するワークショップが続く。でも、この『からだをつかってあそぼ〜からだをほぐしたりのばしたりみんなでころがったり』(10時すぎから12時前まで)は、五島智子さんとアネモネくらぶ山科の濱田さん、そして東部地域生活支援センターが実際の募集からやってくれているもので、ぼくはただその場に参加しつつよく見届ければよかった。
うちの学生は4名。彼女たち一人ずつに担当すべき子どもさんを予め決めてもらっていたが、そうおいそれとなついてもらえるとは限らない。でも、途中からうまく身体で安心感を与えることに成功しているような学生もいたし、このディスコミュニケーションの深さを実際に体験したことは、何にも変えられないことだろうと思う。
ワークショップで身体をほぐしてもらう子どもたちの年齢は小学校1年生から中学3年生(それ以上の作業所の人もいたが、その人たちは作業所の人が介護している)までいて、自閉症の子から多動の子まで様々である。輪の中に入れない子どもももちろんいる。独自でマンガを読んでいる子、気がつくと体育館の階段をどんどん上っていく子など、介護するお母さんたちを少しでもリラックスしてあげたいという目標にはなかなか達せられないのも事実だ(予想以上の参加者であったことや、私たちが初顔合わせだったことなども原因している)。
ホントに大宅小学校育成学級はじめ地元なので、出来ればこのようなふれあいの機会が続いていって欲しいなあと思う。学生の成長がきっと見られるというのはぼくの商売柄思ってしまうことだけれど、お互いにプラスにならない限り、福祉もアーツも続いてはいけないということも事実だからだ。
小鹿ゆかりさんとスロースタイルのこれからを打ち合わせてから、西陣ファクトリーガーデンへ。京都でのアーツコンペティションの2回目。5組とも実にジャンルがさまざまでいい感じの観客の入りでもあり、11月23日の3回目がまたとても楽しみになった(でもぼくは近江八幡で障碍者ギャラリーに関わるシンポジウムのパネラーになる予定だから残念ながら出席できないかも知れない)。
16時すぎから17時35分。どうしても遅れて(迷って)来る人がいるので、はじまるまでの10分、出演者の告知タイムとする。
木原アルミ「宇宙人セールスマン2」。彼女の世界は大道芸としてもユニークだということをサイト検索で分かった。風船が頭の上で割れるのはとても怖いと彼女はいう。大道芸の人たちってみんな火を噴いたりして結構蛮勇者だと思っているけど、そうでもないのだなあということが話していて分かったりしてオカシイ。
藤田一(作演出)×仁科正之(一人芝居)「疲れたら深呼吸しなさいよ」。ダンスを踊る藤田が並行して演劇もすることで(裏バージョン)、あるバランスと緊張を作ることを自分に課しているような実験的ステージ。自分の靴を臭ったりズボンを脱ぎかけたり。
仁科の靴下の穴が謙虚な感じがした。藤田が演出者であるとともに出演者でもあるかのように隅にいてCDを操作し、物音を出している。言葉は常に自分も他人にもウソをつくことがどうしようもいやになるということがよくあるが、ぼくにとっては、そういうときのことを思い出させてくれるものだった。
池田宏子「はらむ2003夏」、創作民俗舞踊。
もちろんこれは「民族」舞踊ではない。夏には盆踊りをハシゴする池田がルーツとしたいフォークロアの「民俗」の踊りをベースにしている。ただ、少し音響がコンテンポラリーちっくだった。綺麗な色がさまざまにつづられた長い布が西陣にマッチしている。敢えていえば、すでになくなった民俗をつくる舞踊であるから「民俗創出舞踊」なのかも知れないね。
演出:はまだくみ、ポポル・ヴフ「みなも」。徳毛さんはカワイイ2歳の娘さんを連れてきているなあと思ったら、今日は出演しなかった。今日のポポル・ヴフは、二人の女性と一人のチェリストが客と至近距離のままに存在する。
小さな招き猫が地面に配置されて、カワイイ。春に楽しんだしりとりダンスの続き。音楽が生チェロなのでどこかウェットになるかなと思ったが、そんな心配はなく、いつものポポル・ヴフの「アンチドラマチック風情」。そんな風と情感が心地よくそこに生まれ、それがあるのが当然と思っていると、いつのまにかなくなっていく。
最後に「みんる」水野永子&大野敬正「PLAY OF TWO DIMENSIONS」。コンテンポラリーバレエ&津軽三味線。津軽三味線ってホントに若い人に人気がある。それはきっと一番エレキギターに似ている邦楽器だからだろう。バレエはバレエだなと思う。そして影絵は影絵だ。このような型になっている技術(アート)の場合は、生身の部分を晒されない安心感がある(一方でどこにもカオスが生まれないことが多いから、ただの並置になりがち)。
公演が終わると今日も子どもたちがガーデンの主役である。風船を膨らませてもらって、走り回る子どもたち、ときには、風船が割れて。風船を持って余りにも嬉しそうでこちらも元気になる。
子連れのためのガーデンという何とはなしに形成されつつある特質をもう少しアピールしてもいいかなあと思う。織物工場であった時代の釘とかはもう少し抜いておいて。
「こぐれ日記」の扉へ
無断転載禁止 掲載:アーク編集室