Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》Tsukiyama Ikuyo Exhibition-1

vol.480.
10/4(土)
(その1)つき山いくよ展『ほとりで。』GALLERY TWINSPACEとパフォーマンスなど

京阪天満橋東口下車。葉書よりも少し横長の『ほとりで。』のチラシの地図を見ながら、天満橋をわたる。秋風が心地よい。

Tsukiyama Ikuyo Exhibitionの最終日。毎週土曜日はボンジュールツアーなるものがあって、今日はそのスペシャルバージョンなのだ。あの「唄うベートルズ」の渡邊智江がゲストだという。CDしかしらないベーやんは、はたしてどんな人なのだろう。

ふと大坂の歴史を知らせる案内板を見ると、たまたまここはココルーム(フェスティバルゲート4階)で昨夜聞いた講談とぴったりと符合する場所であった。京阪電車自体が講談の主人公、尾張の名医ヤブイ先生の京から大坂への移動をなぞっている(淀川の船旅ではあるが)。
そして数百年後、物語の現場にまさにこうして翌日にいる不思議。偶然の一致、コインシデンタルなコレスポンダンス。

ここは京の親不孝な子どもの額を打ち付けたヤブイ先生を乗せた三十石船が着いた大川(旧淀川)なのだ。江戸時代は、早朝に着き、ここの川の水でみんな顔を洗ったという。いまの深夜バスみたいなものだ。伏見からここまでの船旅、ヤブイ先生は蛸の食い過ぎや人形屋を助け、人形屋は行くあてのない先生家族を自分の長屋にまねく。講談は人情物語が基本である。

河川敷がずっと公園になっている。淀屋橋付近とは違い、ここだけはブルーシートの家が不思議と見あたらない。ジョギングと自転車、そぞろ歩きにうってこいの空間だ。静かなデートコースなのだろう。

階段を下りると、すぐに今日のライブの会場が分かってしまった。だって、そこにすでに知り合いが座っていて、つき山いくよさんとベートルズの渡辺智江さんが打ち合わせをしているだもの。で、さまざまな仕掛けも少し見てしまった。

こもれびのステージと名づけられた空間が、川と橋とビルをバックにぽっかりと空いている。気持ちよさげだ
でもまずは、GALLERY TWINSPACEへ行かなくちゃ。雨でなくてよかったね(雨の土曜もあって大変だったそうだ)。蛸薬師新町付近にTrade mark Kyotoを立ち上げてすごく充実した美術などの講座をはじめる郷田さん(アルファベットギャラリー、京都橘女子大学のOG)が打ち合わせをしている。

まずは「フランスのおばけ」(2002)がお出迎え。色彩がきれいだからフランスの幽霊はあんまり怖くない。これからワクワクするボンジュールツアーだし「歩いてゆく、パリ」がこの『ほとりで。』のテーマなのだ。「トナカイになりたかったゾウのマスカット」。ゾウでじゅうぶんに立派でカワイイのに。みんな違うものになりたがる。「どこかあってますフランス」、これはウィットなイラスト風小品。

あるオブジェに近づくと歌が流れる。その付近には双眼鏡がビヨンビヨンと吊してあって、足跡通りにそれを覗くと、道路の向こうの木に日本地図が貼ってあった。ここは日本の関西、関西の大阪の中にある天満橋だ。こんな身近な天満橋から遠くを覗いてもまだニッポンであった。
サイン帳の横にボンジュールのハンコがあった。おっと、そうだ、名刺にハンコを押させてもらう。ペタンコペタンコ。これを使って初対面の人にコンニチハ。

正面が「ほとりで。」(2003)である。すがすがしくゆったりとしている心象風景だ。前にギャラリーそわかで視たときに感じた内面沈殿性は薄れ、もっとふわっと広がっている絵画世界である。この丘と水辺を欲しいと思った。

京都橘女子大学のキャンパスのどこかにこれがあったら和むだろうなあ。絵とはゲートである。そこを視ているがそこが行き止まりではなく、その先をみさせてくれるからステキなのだ。

「クマという犬」。連れている人の手袋が巨大である。それに片一方だけに色がついている。何だか自分との絆を誇示しているようにみえる。その先をみると、なんと小さな弱々しいクマちゃん(という犬)。いつもクマっていわれているふわふわの犬っころ。きっと猫にもどやされそうだ、ご主人がいないと。

400円で販売されている彼女のミニ・メディア(素敵なbooklet、納谷衣美デザイン)によると、このクマは「どっか遠い国からつれてこられた、日本ではなかなか珍しい種類の犬」だそうで、クマの主人のおっちゃんは、こんなちっぽけなクマ(足がふわふわしているからそう名づけられた)の散歩のために、青いテントのおっちゃんたちをわざわざ追い出したらしい(どうやってやったのだろう)。

つき山さんが奥にもトイレにも作品がありますよという。かわいい幕をあけて奥の小部屋にはいる。ひんやりして少し照明が落とされている。白い世界に小さなイマージュ「白い砂漠」(2003)に、「右手の冒険」(2003)。
「月光のした郵便ポストがパックしている」。そしてトイレには「ペタング」、これはツアーをしてフランスのスポーツゲームだということがわかる(つづきは、こぐれ日記481にて)。


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