Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》SEIRYU GKIJO&DATE Nobuaki
案内状によれば、「映画監督・川島雄三さんと、彼に師事した藤本義一さんの二人の関係がモチーフになってい」るという。15:05〜16:23。清流劇場2004年2月公演アイホール提携公演『この恋や思いきるべきさくらんぼ』、作:北村想、演出:田中孝弥。
客席に突きだしたステージにコタツ。布団は畳んだまま置きっぱなし。乱雑な部屋、ミカンにどぶろく。奥は暗くて広く、新人女優弥生役の船戸香里が女中(このときは方言)になる。
蟷螂襲演じる映画監督の貸間(40歳代半ばだがすでに有名)は、「ゲス」調の戯作者ぶりのしゃべりかた、岩手の故郷をねじ曲がって愛している、母と故郷を愛人に観る男。蟷螂襲の渋さは年齢をかなり上方修正してしまう(60歳ぐらいで晩年になる小津安二郎級)。
ベテラン監督、貸間とともに映画をひなびた温泉旅館で構想しているのは、新婚の助監督(シナリオライター)の下手村(三上剛が恭順そうにしながら、けっこう生意気に演じる)。下手村という役柄は北村想ワールドではお馴染みのキャラであり、大津に18年間住んだということで、北村の分身的役割であるが明示されている。
映画はこうして作られたのだろうという伝説的なありかたを神話的に見せている。そして実生活と虚像とが交錯する「私小説」(太宰治)と「私映画」(映画のことをこの人たちは「写真」というが)のことを感じ考えさせられるお芝居。
突然やってきた弥生が「臭い穴」を医学的に説明する明るさと強さが、「離れ」に充満していた屈折のじめじめした日本情緒に対して、静かな希望をもたらす。彼女がなくてはきっとこの映画「満願」は完成しない。きっと、淋病病みが風呂でおしっこをしてそれを飲む監督などの話で終わってしまっただろう。
演出では、コタツの上にあるテーブルを弥生が貸間に向かってずんずんと押しつけるところに瞠目した。姉と貸間の関係を追求したその直後、過去から未来へと転調するため、どぶろくを弥生が貸間に注ぐのに際してコタツを背後に動かす。これは、彼ら二人のじめじめしたナメクジのような私映画づくりの暗さに、清冽な一ひらの雪片をもらたすのに呼応するような動的演出だった。
さてもまた新世界へ。火曜日は閉まっていたスマートボール屋(大谷燠さんが推薦していたスロースタイルゲームセンター)に行き、はじめはゆっくり、しまいにはどんどんと球を打つ。隣に10歳ぐらいの男の子がいて(18歳未満お断りと書かれてはいるが)、何箱か白いボール入れを積み上げている。
ぼくの方は、500円ぐらい入れて、諦める。100円入れてはのんびりやっていたはじめの方がどれだけ楽しかったか。やっぱりパチンコもスロットもぼくには賭け事は何も向いていない。スローなレトロなスマートボールさえ。
18時に通天閣本通商店街にある割烹「万よし」へ来てしまう。2階は準備中というので、清楚なカウンターにてビールを飲む。上品に切られたぬた(小さな鮪が愛おしい)と田楽。特になすの田楽がうまい。上品な場所で、新世界の多様性が感じられる。やがて大阪成蹊大学芸術学部の青山さんも隣に来て一緒に飲む。そのうち2階はいっぱいになる。
お客が天井が落ちないかと軽口をたたいたりして、二階でこれからすることに興味を示す。お店の女性はウクレレの話から津軽三味線、そして細川たかしの話へと伝染していき行き先を見失う。お客さんのなかで一人新世界ダンスツアーに遭遇した人がいて、あれは何かと言う。これも説明がむずかしい。分かってはもらえなかったが、でも、パトロンがつくことが一番とその客が繰り返す。
【ウクレレと歌留多で語る新世界】トーク3「それぞれの新世界--変幻自在のイメージ」。大阪現代芸術祭プログラムBREAKER PROECT(企画:雨森信)02は、伊達伸明(連続トークライブの席手でもある)のプロジェクト。
店のインタビューを伊達さんがしていると、会館を取り壊す情報がたまたま入って「厚」というガラス板を使ったウクレレが出来て飾られている。あとは、歌留多で擬似的にウクレレづくりをシミュレートし、言葉を添えて、ウクレレ絵札とインタビュー字札となっている(でも、限界芸術ごころを刺激してくれるべき新しい歌留多遊びを実際にするとしたら、地元をよく知っている人同士でないと難しそうだ)。
ゲストの小山田徹(アーティスト)が牡蠣にあたってつらくて声が大きく出ないという。牡蠣は春先によくあたる。その弱った感じのしゃべり方(力の抜け具合)がなんとも味が出ていた。中途で休みして、万よしの豚カツ弁当(500円分ぐらいのものだがうまい)。NHKの須崎学さんがいた。
後半はヨーロッパジャズを販売してやっとこさうまくいった履き物屋さんでもある澤野由明、澤野工房主人の話。面白かったのは、HMVの視聴コーナーに入れるといいという所。それまでは有名だとか言う権威で売ろうとして失敗したが、リスナーと同じ姿勢に降りると売れたのだと言う。でも視聴コーナーに入れてもらう算段が人脈であったりテクニックだったりするのだろうと推察する。
ただ、話が21時15分ぐらいになっても終わらないので、今日は大学院生との懇談をこのあとにしようと思っていたので退席する。ジャンジャン横丁はたしかに安い。5人で5150円。でも夜がここは早いということをはじめて知る(昼間の賑わいは観光的なものだったのだろうか)。
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