Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》ZA-Fusion-TEN & BONBAI-TEN

vol.512.
2/22(日)
花展「ZA-Fusion」フジワラビル&『大盆梅展と天神画像』大阪天満宮

天気の変動が激しい今日この頃。「花」という命短い生命の展覧会に出向く。梅の方は盆栽なのでまだ時期が長いけれど、毎日毎日見所が変わるだろうから、とりわけ花をめでる人たちは(命の貴重さに気づく年齢になるととくに)、そのあたりをとても愛おしく思うのだろうと今日はつくづく感じた。毎年、開花が違うこともまた神秘なことだろう。

まず、大阪府が支援し実施している大阪楽座事業の一つ。Flower arranging Exhibition、花展「ZA-Fusion」(座における融合)へ。花に囲まれた大正建築、フジワラビルのなかで、ちょっと風邪で疲れ気味の身体を休めて。10時からオープンだったので、11時前に到着するとすでに来客もかなりあり、エントランスの花アーチを潜ってフジワラビル1階の部屋に誘われる。

展示している人びとは二人の主催者のほか応募した人たちで、コーナー、コーナーを一人で担当していたり、2名、3名で共同して担当している。窓の外にひっそりと花を展示する年長の人、あるいは、通りに向かってオレンジ色のチューリップが印象的に飾りつける人たち。参加者の交流が起きているのが嬉しい。レストランだったときがあったそうで、水道蛇口がのこっている。そこに緑の葉をあしらったりと、かなり現代アート的な雰囲気もあって、花の展示はホワイトキューブな画廊は向かないと思わすほどしっくりしている。

部屋は3つに大きく分けて、入口付近はピンクなどの淡い感じにし、奥はシックで個性的な大人の演出、エンジなど深い色合いの作品が集まるようにしている。そして若手の人たちによる窓辺は、明るくウェディングやパーティ気分をかもし出すパステル調に設定してそれぞれがそのなかでアレンジメントを行っている。

入るとすぐに「大阪楽座事業をすべて見ているのですか」と主催している人の一人から聞かれたが、選考委員なのだがなかなかに見られていないので、この前のトークのときに反省し、これからの事業は全部見ようと思っていたのだった。この展示は生き物だから昨日と今日の2日だけの開催だったので、うまく行けてよかったなあと思う。花は鶴見緑地の近くの市場(ロットの多い卸市場ではない中間の中卸し?)で買うのだという。月水金にやっているので、それに合わせてこの前の水曜日を中心として調達したらしい。
(綿業会館であったときと違い出で立ちが若々しい)オーナーの藤原さんから控室になっている地下に案内される。この大正の建物はとてもしっかりと出来ているらしくて、解体するととても費用がかかるのだという。地下に倉庫を造るというのは大正時代としてはとても贅沢でチャレンジングなことだったそうだ。もともと食料品販売(味の素の先行調味料商品も発売していたらしい)会社であり、珍しくエレベーターもあったそうだ。

まず彼が自分自身の手作りでこれらを改造していることに驚く。照明器具が吊されてその調光も出来るようになっている。展覧会にも演劇公演にも対応するようにと仕切りボードを移動できるようにしたのも彼の手作りなのだそうだ。トイレもとても広々と改良されている。ファッションショーが催されるので、幕を吊るパイプとかの工夫があり、カウンターも移動して片づけることができるように、移動式に彼が作り直したのだという。

結婚パーティにも活用されるらしくて、だからトイレは花嫁のために広くなくてはという。鏡が大きいのはここで役者が複数化粧をしたりするのだという。とても自分の建物を使ってもらうことが楽しくて仕方がないという風情の藤原さんは、いたるところ、レトロなグッズを置いたりして雰囲気をかもし出すようにしているし、展覧会でも主催者と同じぐらい真剣で情熱的な眼差しと気持ちでこの場に立ち会っている。

それが、ビルの外まで出ていて、ビルに近づくときに屋上から何やらオブジェが垂れ下がっていたのにはびっくりもし、そこまでして雰囲気をつくりどうも寂れた商店街どおりの場末感(夜に開くお店が多いからでもあるが)を変えようと努力しているのだ。駐車場にもレトロなオブジェを飾る藤原オーナー。ここで野外映画上映もするのだという。

フジワラビルではお茶(コーヒー、紅茶、日本茶)のサービスがあり(地下が控室になっているためにこうしたサービスが出来るわけだ。禁煙であるのも嬉しい)、帰りにはお花のプレゼントがあったのだが、プレゼントのお花の方はずっといろいろ聞いていたために、うっかりもらうのを忘れてしまっていて残念だった。

帰り何気なく天神橋一丁目商店街を歩いていると、「てんま天神梅まつり」の幟が何本も立ってあったので、遠くに足を伸ばさず近くの大阪天満宮に寄ることにする(藤原オーナーも作品をエントランスに作って置いていたがそれはたまたま季節柄梅を使ったものだった)。その結果、西洋風のフラワーアレンジメントを観た後に、『大盆梅展と天神画像』(料金500円、2/7〜3/7)を楽しむことになったわけだ。

桜よりも梅の方がお花見といては由緒がある。残念なのは受験シーズンだったりでちょっと寒い時期に咲くところ。それに梅は小さくてイベント的に盛大に飲めや歌え的ではない。でも、今日も大勢の人がいて、その中には三代にわたる家族づれ(母、娘、孫)がチラホラと座敷で梅ゆかりのお茶を楽しんでいる姿がありしっとりとした梅の「花見」のよさが見直されるのではないかと思う。長浜の「盆梅」を刷り込まれている(これはJRになって車内宣伝放送が五月蝿くなり問題もある現象)が、「盆梅」というホビーも盛んなのだということがよく分かる。

極めて日本的な情緒と趣味の世界、梅づくしの盆梅を楽しむ大勢の中高年の人に出会って、今日は偶然にも対照的な「花尽くし」な日曜日になった。この会場(参集殿〜有形登録文化財)に、フジワラビル「花展」のチラシを置かせてもらうとぼくのように「和洋、花愛でサンデー」になる人が増えたかも知れないなあとも思う。

孫を抱く女性の姿をチラホラと見かける。こうして孫のお宮参りをすることで、おばあさん、おじいさんになった実感を感じるのだろうなと思う。祖母、祖父にもかってにはなれないのだ。そのために行事があり拝殿がある。穢れが、「ケ」(日常)が枯れると考えられるように、行事がケジメというのは、「ケ」を締めるということなのだろうかと思いつつ帰った。


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