Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》CINEMA ENCOUNTER SPACE

vol.518.
3/12(金)
京都造形芸術大学で自主映画などを見て、應典院でのアーツな仕事セミナーに参加した早春の一日のこと

うらうらと春になりつつある金曜日。授業準備なども気になりつつ、京都と大阪のまちをうろうろする。

まずは京都造形芸術大学人間館B1芸術文化情報センター映像ホールにたどり着く。映写室のある教室。椅子は折り畳みの小さなテーブル付き。傾斜は緩いので、ぎっしりだと映像を観るのには少し頭が邪魔になるだろう。それにしても、新しい施設を造ったり改修したりしている瓜生山。何かと派手な大学だ。

CINEMA ENCOUNTER SPACE主催。そこの男性にどこかで以前チラシを渡されて、行ってみるかと思ったのだ。11時半からのインディーズ新作選9。500円。当日パンフが300円で売っていたようで、だからワタナベユウスケ監督以外は名前が分からないが、短いものばかりのインディーズ映画で、まだまだ学生の匂いが漂う(学生のものもあるのだろう)チープさではある。

でも、いろいろなアイディアがぽっとあって、すぐ終わってしまうから、まあ眠くなる暇がないところが取り柄だなと見始める。最後は8ミリで、それまではビデオ。8ミリのざわざわした文字の映像と断片的なダンスなどの映像とのカップリングはポエティックで、それが最後だったのはいい組み合わせであった。

あとで思うと、ナンセンスでちょっとグロい百人一首風ゲーム(おじさんが触られるが、最後にどこを触っていいか分からないという落ち)、暗記枕あたりのチープさが結構記憶に残っている。ワタナベユウスケのクレイアニメは完成度高し。

休憩後、小川紳介『三里塚 岩山に鉄塔が出来た』(1972年、85分)。はじまりの反対同盟での会議が印象的。青年の素朴な憤りと主張の声がじつにクリアに拾われ、ぎゃくに議長の司会とか他の人たちのなだめる声とかははっきりとは聞こえない。何が聞こえ何が聞こえないのか、ドキュメント映画の選択と編集の主体性と政治性がよく分かる冒頭である。

鉄塔が立ち上がる映像がクライマックスであるのは間違いない。あんな高い塔でよく撮影したなあと思う。どう鉄塔を建てたかをうまく説明する編集でないのが重要なポイントだろう。同時録音もこのときが最初だったという。高いところの臨場感がすごい。

でも、最後の場面のインタビューにも大切なことが語られ映っているように思う。すなわち、支援のためにやってきて帰っていく鳶職の男性(髪の毛が長くかつては学生運動に関わっていたような人)に、かわいい娘さんがまとわりついている映像のこと。いまはその彼女もずいぶんと大きくなって30歳代の人生をどこかで送っているのだろう。

この鉄塔で父親が真剣に働いたことは覚えているだろう。そのとき、この活動の意味は知らなかっただろうけれど、真剣な大人たちの思いは小さいときに感じ取ったに違いない。それは、いま、どんな形になっているのか。その鉄塔建設に立ち合えなかったぼくも(すでにそれが撤去された事件やその後のことも知っているから)、こうして最後映像で見るだけで、いまの自分のふがいなさ〜イラク派兵に反対一つキチンと行動に移さずにむさむさしながらいるということ〜を思うのだけど。

もう一つ見ようと思ったが〜同じ年に出来た『叛軍NO.4』(岩佐寿弥)、疲れてやめた。そのかわり、GALLERY RAKUに寄った。杉村佳子+河本知沙『百円建築』〜100円の目線から、偉大なる建築家へ〜。ここも工事中だったが、そのビニールシート内に展示されているいかにも工事中に相応しいミニアイディアいっぱいの学生らしい展示でみっけもんの楽しさであった。撮影中で少し遠慮しながらみたけれど。

確かに百円ショップはいまの時代の象徴である。消費生活の象徴としてすぐに頭に浮かぶ。でも、小さな人間人形を置くことだけで、大きな建築のための小さな模型に出来る。だから、百円ショップで買ってきた綿棒もカセットテープもファイルもタッパも、百円という価格とは無縁な目のつけどころによって、「偉大な建築」(そんなものはこれからあるかどうかは知らないけれど)のためのミニチュアに変貌させることが出来るというわけだ。しゃれたキャプションが「空間演出デザイン」を学ぶ学生らしい。

歩いて一乗寺恵文社へ。ここにくると手ぶらでは出られない。まず目に付いたのは100%ORANGE『BOOK MASCOT』。買うしかない。可愛すぎる栞なのだが、もう少し本と積極的に関わろうとするからマスコットなのだ。つぎに、那珂太郎が特集されている「現代詩手帖3月号」。ぼくが最も影響され愛おしく思う詩人。彼が「現代能 始皇帝」のテキストを創った(この夏に公演予定)という。

あとは、岩波文庫『摘録 断腸亭日乗上下』(この有名な永井荷風の日記をちゃんと読んだことがなかった)、近藤ようこの『説経小栗判官』&『見晴らしガ丘にて』ちくま文庫、赤坂憲雄『境界の発生』講談社学術文庫、北中正和『増補にほんのうた〜戦後歌謡曲史』平凡社ライブラリー。

最後はタフ4の関連の本。合わせてアマゾンで最近買ったCDもタフ4関連かも。コンピレーション『嗚呼、お色直し。』(遠藤ミチロウ「仰げば尊し」、遊佐未森「月がとっても青いから」など2枚組)、百怪の行列(今年から浅草ジンタというバンド名になった。その前はデスマーチ艦隊と言っていて、この名前でも。『嗚呼、お色直し。』に収録されている)『ここは浅草、恋の番外地』、ううあ(UA)『うたうううあ〜NHKドレミノテレビ』。

[日付はおかしいが、ついでついでに、少し前に頼んだ本が15日に着いた。堀内敬三『音楽五十年史』(1942年、一万部発行、2円80銭、鱒書房)。確かにインターネットで古本屋さんから来るのは便利だ。2400円。]

應典院の秋田光彦さんから薦められていたレクチャーに行くまでに時間があったので、赤十字で400CCの献血を5年ぶりにする。すると、ナースキティの文庫本カバーをもらった。成分献血は違うものだったので、今度は成分献血をしよう。時間を調整するのに、献血はなかなか手頃である。秋田さんは苦手らしいけれど。

「アーツなお仕事、発見セミナー」。今日は熊本市で自然庵(坪井自然庵は自宅を改造、10年後その10倍の白川自然庵を食にこだわってつくった)という葬祭場を営んでいる渡辺美智子さんのお話だった。聞き取りをちゃんとして手作りでお葬式を創るところで、いろいろ思った(思いと営業とのせめぎ合いやバランスのことなど)。

参加者の一人、嶋本保子さんは死装束研究家(こういう情報が欲しかったのだ)、死装束というかわりに中国などでいう寿衣と呼ぶことも提案している。彼女から死装束いや寿衣についての本を買う。『さくら寿衣〜死装束の準備は生きているうちに』アスク、2003.11。


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