Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》Yama kara fukiori
劇団八時半『山から吹きおり』作・演出:鈴江俊郎。16:03〜17:08。
CD-ROMになったぼくのつれづれアーツ日記を読むと、このお芝居は、1997年6月29日に見ている。前日、丹野賢一を石炭倉庫で見て、帰ると少年Aの事件がニュースされていた。衝撃が重なって、ぼーっと見ていたということが分かる。
場所も、ここ、東福寺のスペースイサン(前は、スペースイサン東福寺といっていた)。時間も1時間と少々で同じである。登場人物ももちろん4人で同じ。ただ、杉下役は中村美保(宣伝美術・写真も担当)で同じだが(CD-ROMの日記ではそこが曖昧になっていた)、それ以外は変わっている。今回金城幸子が演じる滝を、97年では山岡徳貴子が演じていた。
劇団メンバー手作りの舞台である。
舞台監督、東理子。役者として登場する金城は照明プラン、山田役の浦本和典は音響プランを担当している。村上役の長沼久実子は舞台美術であり、今回、村上家の複雑な間取り(増築を重ねて男性と女性のトイレが離れたところにある一軒家)を、ふすまのコラージュで表現している。
4人の登場人物はみんな高校の同級生である。
カズオの命日なので集まっているのだが、杉下の事件によって、緊迫度は増す。それでも、ずっと寝ている杉下の寝顔はいつもと変わらないし(もちろん溜まりに溜まった疲れが彼女を眠り続けさせているのだが)、野球ゲームをする女二人もいっけん何事もなかったかのようだ。(なお、話しだけによって登場する、なくなったクラスメイト、母校の野球応援でたまたまであった髪の毛が薄くなったあらい君の話が広がりをもたらす。)
いちばんうろたえているのは、新婚の山田である。ささやかでも自分たちの幸福に保身しているミシンのセールスマンという役どころ。仕事として客観的にはもう将来はまるでないという設定なのだが、いちばん世間体や社会のことを未だに気にしている。携帯電話で妻に好きだとは言えない部分は戯画(パタン)的すぎるかも知れない。
他方、卒業後も草野球のマネージャーをし続けた滝は素直に悲しみ泣く。杉下の犯罪に対しても社会的なことを一切考えない。
山田は社会側の役割で、ここの住人、村上がその間にいる。郵便局に行く毎日。反対側に行きそうになる。だから、あさ「こんにちは」と言う。
村上は極めて中途半端といえばそうだが、そこに矛盾のままある人間の姿がある。温州ミカンなのかバレンシアオレンジなのか。結局そのジュースの90%はそのどちらでもない。黄色5号のジュースなのだから。それがわたし。それがあなた。そんなことを村上が言っているように思った。
『Dance Performing Work #10』。
五条の小さなケーキ屋さんで焼き菓子を買って東山青少年活動センターへ行く。創造活動室の前には、第1回からの写真が貼ってある。砂連尾理さんと寺田みさこさんが実に若い。10年前だから当たり前だけれど。
うちのはなも来ている。8.、9回と出させてもらったのだ。ずいぶんといい経験になったと思う。そうして過去の出演者がみんな優しく今回のダンスパフォーマンスワーク#10を見守っている。
19:10〜20:15。最後の5分間は去年出た男女二人が、浴衣姿でとても動きの多い愉快なデュオを展開してくれる。それまでの1時間も、なかなかに言語の多いステージで見飽きない。もちろん今度ゼミ生になる山岡佳那子が出てくると彼女中心に見るのは、仕方がない(でしょ)。でも、背が低くて一番前にいて動きを真似てもらう役をしているときから、その真剣な目玉はかなり力がこもっていた。
16人が、4ヶ月試行錯誤する。もちろん山あり谷あり、どんてん返しに揺り戻しなどなんでもありだったのだろう。そして(それでも)、こうして構成されて舞台を作る。いつも出ている男性(古い喜劇役者のようなめがねをしている)もいれば(狂言回し的に出てくることが多い)、うちの山岡佳那子のようにその瞬間を爆発的に踊る参加者もいる。そのそれぞれが突出しないように、そしてその個性が出るように演出(編集)するのが妙味である。音楽がだぶってつながるというところにもあるいみ伝統的な味がある。
終わってはなと一緒に山岡さんと話す。ぼくは普段の彼女をよく知っているから驚かないが、はながびっくりしていた。普段はかなりおとなしいタイプなのだ。その山岡佳那子が踊っているときはかなり独特の姿になっていた。怒られるかも知れないが、タマネギ坊やと思ったり、福助みたいだなと思ったりした。
みんな、デュオ、トリオ、カルテット。いろいろ試している。それも男女だったり、女同士だったり。古いレコード(夕焼け小焼け)で踊るソロ(いや、ランニングの男がいたか)が逆に目立ったりもする。
明るい50年代のロックンロール、男がいじめられるタイプが少し多かったかな。中国ぽいギャグダンスは愉快だ。振付も鼻つまみ合いとかいろいろなネタを楽しんでいる。先輩のダンサーたちも数ある試みに刺激を受けたり、自分たちも同じような道をたどったなと振り返りほくそ笑んでいるに違いない。
今回はなにせ動きが早く激しいので、ちょっと頭をうったりしないかと心配ではある。これからのダンス人生、身体には気をつけなくちゃ(これを書いているときには、まったく北村成美さんの入院という事件を知らなかったわけで、このコレスポンダンスにも驚く)。
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