Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》HEALTH ART-2
それにしても『うたごえ喫茶 in 明倫』で演奏してくれたニュー苔の二人は可愛かった。服も少し昔の感じ。始まる寸前まで、階段に座って打ち合わせしていた(終わってから、校庭に二人座っていて、通りがかると、もらったお菓子袋を差し出して、食べませんかと言う)。
京都芸術センターへ1時半に行くとまだ二人だけ教室にいるだけで、アコーディオンのSさんに、先生!と驚かれてこちらも驚く。彼女は立命館でぼくの授業を2年前ぐらいに受けていた学生だった。卒業しても音楽を続けているのだ。ヴァイオリンのYさんもSさんと同じくチンドン同好会(?)にいて、そのままいまもたまに商店街とか路上で演奏しているのだそうだ。Sさんがウィークデイは忙しいのでなかなかできないらしいが。
始まりは、二人が楽しそうに演奏しながら入ってくるところから。「日曜日はダメよ」という二人のお得意な曲も披露。インスツルメンタル曲(映画音楽)かなと思っていたら歌っているグループもいたな。
気がつくとかなりのお客さんで椅子が埋まっていた。とてもおしゃれなスーツと帽子姿の紳士がいて、なかなかの雰囲気になる。
伴奏は前奏が長すぎると入るところが分かりづらいということがあるし、間奏があるかどうか、事前に教えてもらっておくことも大切である。教えてもらっていてもつっこんで歌ってしまうこともあった。また、メロディーはアコーディオンで弾いてもらわないとかなり怪しいので、カラオケのようにはならない。これも伴奏する方には制約のあるところだ(あんまり複雑にすると行方不明になっていく)。
うたごえ喫茶のあと、ギャラリー南の「connect with '60s−京都・記憶の断片集−」展へ。一緒に歌っていたご夫婦や情報を提供されていたボランティアスタッフが集まっている。うたごえ喫茶は、高島屋のそばにあった「ほのお」が有名だということだったが、ここの地図では喫茶「ひばり」となっていた。
記憶というのは現在からみた思い出なので、どんどん個人個人で変化している。「三月書房」という全共闘運動のメッカみたいな本屋さんの名前を見て「二月書房」でしょ、という人がいたりして、何だかそういう曖昧なところを含んでの空気感が研究ではなくアーツ(展示)なのだなあと思ったりして、その会話(岡田一郎さんとボランティアスタッフの女性とのやりとり)を聞いている。その人は、おにぎり「松き屋」でデートの誘いがあったという手紙を大切にしている女性でもある。
この展覧会は京都市立芸大のドクターコースにいる岡田一郎がこの「3月から4月に、京都芸術センターのボランティア・スタッフの協力を得ながら、1960年から75年頃までの京都の若者文化について」インタビューをし、その若者文化スポットの記憶を引き出すような品物、雑誌などを展示したもの。
展示では、お芝居のチラシやチケットを貼った劇場日記をつけている人、当時のチューインガムの包み紙などをキレイに保存している人などがいて、そういうことをしている人がそこに集められているのが面白い。平凡パンチが並ぶなかに、当時創刊されたあんまり知らない雑誌などがあって(こういう雑誌は創刊してまもなくなくなったりしたのだろう)、それもまたなかなかに出会えない60年代の風景である。
レコードジャケットが貴重な若者文化だったことは展示を見れば分かる。のみならず、地図で収集されたスポットとしてジャズ喫茶のほか、ロック喫茶、タンゴ喫茶などがあがっていて、いかにレコードが高く購入するのが大変だったか、それはいまではほとんど理解できないことかも知れない。
また、誓願寺の境内に「青空楽団」と言う生カラオケバンドがあったことも分かり、じつに興味深い。夜に「流し」をしていた人たちが、昼間にギターやアコーディオンを弾いて歌本を売っていたという。歌いたい人は前に出て歌う、そんな姿をぜひまた再現したいものだ。
ギャラリー北は、暗い。まちにある「'60s」がギャラリー南で展示されているとすると、北は、内省的な室内での精神活動の記憶である「'60s」を扱っている。
'60sの記憶は、ここでは本の一節となって、机と椅子の隙間から、ぼそぼそ語られる。ちょっと分かりにくい感じ、とっつきにくいかも知れない。
そんな静かさの中で、ぼくは、展示されていた田村隆一の詩を声を出して読んでみた。何かが少し動いた気がした。
芳江が愛する辻邦生の選集などがいっぱい。この前古本屋を通りがかり、100円で売られていたのを悔しがって買っていたなあ。
19時半からの三上ゆうへいらの再會コンサートvol.3まで、回転寿司で腹ごしらえし、一乗寺恵文社でゆっくりとした時間を過ごす。100%ORANGEグッズを少し。わくわく幼年どうわ「すてきなのはらのけっこんしき」あかね書房、シールとペラペラブック(FLIP BOOK)を二つ(The Penguin CatcherとA Wood Cutter)。ペンギンを冷凍庫に入れたので少々ブラックかなと思ったが、はなはそうじゃないよ、という。
はなが持っていってしまっていたので「あおくんときいろちゃん」(レオ・レオーニ、至光社)も買っておく。1967年に日本ではじめて出版されたロングセラーだ。英語の本が奥のギャラリーに展示されていて(『Sunny Side Book Design!〜アメリカのベスト・ブック50』、フランス語のものも売っていた。
喫茶のん。再會コンサートvol.3。19時半過ぎから20時20分ぐらいまで。神奈川から須藤もん、東京日野(ここも新撰組の「誠」の幟が五月蝿いらしい)から青柳としひろ(出身は河内の人で、助っ人で弾くウクレレが素敵だった)。みんな「唄うたい」たち。三上ゆうへいのちょっとエッチな唄たちがとりわけおもしろい。その一つソーセージがフライパンで焼かれてキスキスバンバンする唄を結婚式でも歌ったという。
絵が一つもない美術館を歌った唄を久しぶりに聞く。いい詩だ。三上ゆうへいがアンコールで歌った唄について。さきが三上さんに渡した二つの詩がどんなのかは分からないが、さきは「白いペンギン」になって、長い「生」の詩と短い「死」の詩を「ぼく」に渡したらしい。ただただ、その「ぼく」はその生と死の狭間でビールを飲んでいるだけだ。
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