Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》dance circus27

vol.558.
9/1(水)
ダンスサーカス27初日atアートシアターdBなど

13時、「子どもとアーティストの出会い」設立準備室の井手上春香さんが研究室に来て、アーティストが授業するときに見学できる日程のことなど、今年度事業について教えてくれた。http://www5f.biglobe.ne.jp/~codomo/

去年に続いて宇治市立大久保小学校(砂連尾理+寺田みさこ、9/23の運動会が本番)、そして新しく、京都市立石田小学校(LOCO、10/19)、そして門真市立第二中学校(セレノグラフィカ、11/9の総合発表会を入れ9回、総合的な学習の時間)が対象となった。

この門真の中学校では、ずっと総合の時間に映像や演劇などとともにダンスも取り入れていて、でも予算はないので先生がダンスのビデオか何かを見て教えていたという。こんなにアーツをやっているところはもちろん珍しい。でも、学校長などに熱意(理解)があるところには存在するのだ。

話が飛ぶが、平田オリザ『「リアル」だけが生き延びる〜012That’s Japan』(ウェイツ、03.12)によると、彼の「対話劇を作ろう」という内容を単元にした教科書が出ていて、その教科書を採用している中学校では、「転校生」をモチーフにした演劇を自分たちで作って教室で演じているという。なるほどね。ダンスなら体育だけではなく、たとえば英語(日本語:表現という科目の方がいいとぼくも思うが)の教科書とかに入れて、ノンバーバルコミュニケーションと言語コミュニケーションとの関係を体験するようなものができるかも知れない(もちろん素直に音楽や美術の時間のなかで関連領域とのクロスオーバーを体験するものでもできるが、その芸術部分が減っているので総合の時間で救済するのだろう)。


久しぶりにアートシアターdBに行く。先月、演劇を鑑賞する比重が増していて(NHKの放送の関係や掲示板の書込への対応もあって)少し演劇論が頭に巡ることが多かったので、ダンスを久しぶりに見た気がした。意外にも、ダンス見るためのチューニングにいささか時間がかかって、バラエティの多いステージだったのに、ときに意識が飛ぶときもあった。また、はじめにできるだけ固定観念でみないようにと自分自身へ釘刺したのに、どうしてもこれは昔見た動きだなあとか構成だなあとか思って類型として見切ってしまうこともあった。

ダンスサーカス27。20時の回は満員だった(100名もの観客だったと文さん)。舞踏が4番目だったので、5番目の踊りの前に白塗りの掃除をするのがおかしかった。ずいぶんとダンスボックスも観客が定着したものだと思う。もちろん、5組のダンサーたちがきちんと人を呼ぶ努力を今回したことが大きいのだろうが、それだけではなく、関係者以外の観客も混じっているように見受けられた。

有吉睦子『a requiM』。ソロで映像を使うが、白い菊をモチーフに大きく映すもので、舞台の白い菊(髪飾りから、花びらをちぎられる対象へ)と連動するので、うるさい感じはしない。椅子にすわっての両手のダンスなど、少し体操の自由演技を連想したりもする。それほどきちっとしたダンスだが、最後はちょっと違ってゆるくフェイドダウンする。

『豆ビジョン』。バレエするきちんと小柄な夏目美和子の後ろに、ひょろ長い音楽をする森靖弘が立つ。そのコントラストだけでなんだかおかしい。剽軽なギター弾きだ。ちょっとダンス的仕草もする。いまのユーモアダンス的な作り。バレエダンスに根ざした夏目の滑らかなぶれのない形式的な動きと対照的にどんなことをするのか予想できない森。その組み合わせが妙味である。なるほど。歌ともいえない声を出したりしていて、その印象が強い。

沙羅『Core』。今回はずいぶんと異なるもの同士を隣り合わせにしている。前のがコミカルデュオ(ぼけとつっこみ)だとすると、沙羅ダンスはまさしく演歌ダンスである。都はるみというよりも東京の下町の演歌師(名前が出てこないなあ)だ。ぼくは、この暗がりのなかの濃い衣装がけっこうはまる。リズムが同じになると気持ちいい脳波が流れるのだ。使っていた音楽のせいかも知れない。歌舞伎下座音楽つきお経ラップみたいな。

南弓子+松本キヨカズ『夢み肉球』。男女別々の光の中、対照的に前向きと後ろ向きに二人が座る。同調するときに男が何か言うのが面白い。男女デュオで舞踏系というのもまた面白い。前半がとくにきめ細かく作られている印象、終わりの方の四股的な仕草の部分とかよりもはじめの方がぐっと集中できた。ダンスサーカスは、ダンスの成果を見ると言うよりも、その通過点を眺める作業なのだろうと思う。いまの形を断片としてみせてもらうので充分とも言える。

最後は、3人組。一番予想がつかなかったが(そのためもあるが)、ぼくには一番面白いように思えた。昇花ロケット『燦潸』。タイトルはむずかしくてすぐには分からなかったが、グーグルで検索するとひばりの「愛燦々」の歌詞がヒットして、そうか、雨は「潸々」(さんさん)なんやと何となく理解する。作・出演:山下恵里、出演:市橋弘子、小塩可奈子。

白い風船を膨らませている人は男性かとはじめ思う。たばこを吸っている女は奥で笑い、風船の女はなぜかさめざめと泣く。あんなに大きく泣くダンスは割と珍しいのではないか。バクテンする女が、前方に来て客席をなめるようにして出ていく。とびらが開いていて光とバレエの女が出入りする。予想がつかないということと面白いということが短絡的に一緒というのでは藝がないが、今回はそういうことでもいいのではと自分を分析しながら帰る。

風船やたばこや目薬やバレエシューズや、シャンソンや(ケセラセラは英語だったかな)。こうして書くとどうもださいと思う人が多いでしょうね。ぼくも思い出しながら、そう思ってみたりもするのだが、意外とすきっと読後感、いや観後感がしたままなのです。ラストの腕の振り上げはちょっとういういしい感じもありましたがね。


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