Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》supersizeme

vol.588.
1/5(水)
モーガン・スパーロック『スーパーサイズ・ミー』京都シネマ

今年は、伝統芸能もそうだが、とくに映画鑑賞の比重を増やしたいなと思う。もちろん映画館で。それには、もう1ヶ月も経ってしまったが、一昨日下見した京都シネマに行くのが一番である。
「あの、会員になったらすぐに見れますか」、「はい、この入会記念の招待券でどうぞ、あと1枚の招待券、どなたでも構いませんし」。さっそく4000円で入会する。入会すればRCSと同様にレターが来る(如月社)ので、映画に行く回数が増えるだろうから。『スーパーサイズ・ミー』は、一番大きなホール(といっても100席あまりで、あと2ホールはもう少し小さい)で13時5分からだという。

京都シネマに入る。そんなに多くはないが、家族連れとかいて、さびしくはない入り。入り口が上手の側面に1箇所なので、一番前を通って奥に行かなくてはいけないのが不便である。
真ん中に通路をつける余裕がなかったのだろうが、予告編のとき、スクリーンをさえぎって奥に来る客がいた。携帯電話を切る前説あり。食事は禁止で、飲み物は置けるようになっている。ただ、コーラとかを飲んでいるとこの映画を見ていると少し気持ち悪くなるだろうが。

『スーパーサイズ・ミー』監督・被験者:モーガン・スパーロック、2004年、98分。監督が自分で実験するというので、現実を写し取るドキュメントというよりも、現実にアクションを起こして、現実の深部を表に出していこうというドキュメント。「やらせ」映像というのは、やらせていることを隠して、さも、リアルのそのままの姿だと見せることだが、これは、実験していることが前提で、実際、自分の体がおかしくなっていく部分を、自虐的にはならないようにつとめつつ、でもあんまり攻撃的でもない微妙なバランス感覚で綴っている。

テキサス州ヒューストンがUSAのなかでも一番肥満率が高いという。これにはびっくりした。昔ここに行ったとき、禁煙が盛んで医療都市だと自慢していたからだ(against natureとかいった日本現代アート紹介展覧会をたまたまここで見た)。病気が多いから医学が発達するのかも知れない。逆だともっと怖いが。みんなスーパーサイズになっている。
ぼくは、ハンバーガーを食べる回数はだいたい数ヶ月に1回ぐらいだが、そういえば、去年は食べたことがなかったかも。入ってウーロン茶を飲んだ記憶があるが。ただ、コンビニでケンタッキーみたいなものをビールと一緒に買ったことがある。いろいろ反省しつつ見る映画だ。

「食育」とか「自然食」とか「ダイエット」とかを研究テーマにする学生は多いので、ぜひそういう人たちは見たほうがいい映画だと思う。ただ、バイキング方式で食べた後だったのと、アイスクリームもケーキも食べた直後だったこともあって、少し胸が悪くなってしまった。セーターを脱いで、それは軽減したので場内が暑かったせいもあるが。

バイキングということで関係するのだが、学校給食の怖さを思う。食品産業への民間委託化は本当にひどい事態を招いているし、これから日本はますます悪くなるのではないかと危惧する(良心的な学校と事業者〜企業なのかNPOなのかは分からなかったが〜という例外事例も映画では紹介されていたが)。いまアメリカなどで「自己決定、自己責任」の学習をすすめるという名目で保育園ぐらいから、児童に選ばせていく方針が採られていると聴いた。でも、フライポテトとミルクを選んで、野菜とカルシウムがあるでしょ、と映画の中の児童が言うように、きちんとした教育がないと、とんでもないことになる。

つまり、ターゲットは子ども、幼児。テレビに曝され、町に行けばいつものマーク、色彩、笑顔、キャッチフレーズに音楽。ジョージワシントンよりもマクドのピエロの方が有名なのね。
子どもへの刷り込みなのだ。味の刷り込みだけではなく、ファーストフード店でいたといういい思い出づくりによって、大人になっても、そこに行きたいと思わせる戦略。巨利のための大量広告、そして政治的なロビーイング。
食品会社に都合のいい法律を通すぐらいオチャノコサイサイらしい(そういうところに雇用される法学部出身のエリートって本当にかわいそう、アーツNPOなどと関わると精神的報酬は数百倍なのになあ・・)。

子どもへの刷り込みということで、劇団四季がどうして子どもミュージカルをやってきたかという成功譚を思い出す。韓国テレビが12年間、ベトナムに自国番組を国策として無償で提供するというのも文化的刷り込みだろう。給食に戻ると、戦後のアメリカ食糧支援だ。脱脂粉乳と小麦粉、パン食の刷り込み。安部和重『シンセミア上下』(朝日新聞社)の冒頭はそれについてだった。今頃米食といっても「アメリカ食」でしかないね。

終わってから、大学生協の理事会などでまた考えなくちゃ、と思う。自動販売機一つとっても、その撤去は大問題だろう。環境問題ともからめ、そうそう全面禁煙と抱き合わせで行けばどうか。看護学部の人たちがどういう意識かも見なくちゃいけないが、追い風かもね。一方で禁酒が強く過ぎる、という潜在的不満も漂っている(最近はよくビールがパーティで出るようになった)。マクドナルド食品だけでよくこんなに肝臓を悪くできるのねえ、と医者が驚いていたが、アルコールならそういうことはもっとすぐに出来るのだ。これは、ファーストフードの怖さを知るだけではなく、ぼくのようなアルコール依存体質の人にも必見の映画である。

帰って体重計に乗る。体脂肪率が19.0%。正月3日には、24.0%だったから、歩いた分燃焼して元に戻った。でも、70kgを切るのはいつの日だろう。


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