Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》SENBOKU Art Project

vol.602.
3/12(土)
「泉北ダンス計画〜まちとひとと生まれるダンス」
和泉市久保惣記念美術館&泉北高速鉄道&内田町ヒツジのいる公園など



昨日までと打って変わって冷え込む。マフラーは?って、出かけに聞かれて、ずいぶんと昨日より厚着していたので、そこまでいいよ、って答えたけれど、山下残さんらが羊さんと一緒にもごもごいるのを目撃しながら、マフラーすればよかったと思った。
京阪の丸太町を下りると小雪が舞っていた。川沿いを北に行く道はうすぐらい。葉のないこずえから小さな破片が降ってくる。いつも、夜ここを通ると不思議な気がして、好きだけれど、女性はちょっと一人歩きするのは危険だろうと思う。きょうは特にその寒さが大阪の南とはまた違って格段のものだっただけに、ここを通るだけでも観劇するために、京都と大阪を行ったり来たりするのはいいことだと思った。

そう、数日アーツ現場に行かなかったこともあって、今日はアーツ満喫の最高の日だった。夜見た遊劇体『金色夜叉〜貫一・お宮篇』も貫一篇と同じぐらい素晴らしかったし、ずっと楽しみにしていた泉北アーとプロジェクト〜ヒツジにつながる郊外電車〜アートとコミュニティの出会い』は予想を超えた勉強になった。美術では昔京都市立芸術大学院生だった当時吹田のお屋敷でやっていた荒蒔綾子さんからもお手紙をもらっていて、彼女が町の人たちと作ったお花畑のヒツジランドワークを見るのも今回の目的の一つだった。

寒いのも、含めて、そこ(車内、プラットフォーム、美術館、河川敷公園)にあるはずのないダンスたちを見たのも面白かったし、羊が町内会の活性化に一役買っているというとぼけた素晴らしさにも感動した。とりわけ、大阪府の予算がゼロになったのにもかかわらず、嫌にならず、国の予算を600万円獲得して、アーツのNPO法人(ダンスボックス)がこれだけの広がりのある企画をつくリあげたことに一番感激した。平成16年度全国都市再生モデル調査事業(内閣官房都市再生本部)というもので、文化庁分はなんと2枠しかなく、その2枠の一つとしてこれが選ばれたのだそうだ。

じぶんはすぐに投げ出してしまうからだからでもあるが、大谷さんらはとても粘り強いし、ロビー活動(日本流に言えば悪くない「バッチ」だったら、それだってうまくつかっちゃえ精神)も現実的視点から行いつつ、何よりも、現場の人たち、鉄道会社の担当者とか大阪府の河川土木の担当者などなどをしらずしらずのうちに啓発し(啓発されたとはゆめ思わさず)、その気にさせていく持続力が素敵だった。

じつは、今日の「泉北ダンス計画〜まちとひとと生まれるダンス」の目撃ツアーは、日本アートマネジメント学会関西部会の例会でもあって、11時半に、泉北高速鉄道中百舌鳥駅のプラットフォームに集合だった。少し早く着いたので、天牛書店で画集(平山郁夫など普通は買わないのだが、すべて400円につられて買う。これだけ買うのははずかしいので、セザンヌやドガ、モディリアーニにビゴーまで買う。宮沢賢治のものも)などを買ってしまい、ずっと持ち歩く羽目になった。びっくりしたのは、関東の武藤さん(トヨタコレオグラフィーアワード選考会でご一緒した)も来られたということで、もっともっと関西ダンス見てね!といううるうるした光線を送っておいた。

しげやんもやってくる。ドアが開く。さあ、移動と共に見るダンスである。カメラが狭い車内なので多すぎるのはちょっと難点ではあるが、致し方ない。
前から2両目では、ダンスを行っていますというアナウンスが車内に流れたのが一番おかしかった。だって、携帯電話とか普通の注意案内と同じトーンで淡々と流してくれるので、そのギャップが素直に嬉しい。異様に混んでいる2両目を怪訝な顔で見つめている1両目とか3両目の乗客さんの目もいい感じ。これがしたかったことだと思う。でも、白いチョコレートを進めてくれた社交ダンスをやっているという鑑賞者のおばちゃんが一人手を叩いて喜んでいるのもまた嬉しい。

男の子が途中で乗ってくると、しげやん(北村茂美)は、すごい歓迎アクションダンスをしていた。途中の駅からシゲメイツたちがつぎつぎ乗り込んでくる。乗客は全体をなかなかつかめない。そのときに出てくるシーンに素直に反応するのが一番。変なカップルも登場。一人だけ男性だったが(たけちよさん)、6駅目の終点で降りると、彼も含めて、みんなビキニとかになって、走り回っていた。寒いのに、とここでは思ったが、残さんら3人の方がもっと寒いのだが、それはここでは思いつかなかった。車内が窮屈だったので、想定以上にプラットフォーム内を駆け巡るスピードも開放感も増殖したのだろうと思われる。

和泉市久保惣記念美術館へはバスで行く。はじめ歩いていこうと松本さんらが行っていたが、風が強くて小鹿さんをのぞいて日和見る。美術展もあって、福岡道雄が石に繰り返し書く言葉に振動する。荒蒔さんのヒツジを見ていると水仙がかわいい。山下残さんやつく山いくよさん、それに衣装担当のかなもりゆうこさんらが打ち合わせをしている。エメ・スズキによるパフォーマンスは紅型のような着物に、帯代わりの紐などを使った美術館案内ツアーのような形で行われ、ボタンのアコーディオンとギターがメランコリックに音をつける。

最後の山下残と2名の上半身裸の若い男の人、それにつきちゃんのダンスは、ヒツジ2匹とそれにえさをやる岩村原太さんのお子さん、それにつきそう八木さんや、シゲメイツの女性によって、何と言うか、平和なのか、もっと危ないのか、そういう日本の微妙な政治状況を表しているとは思えないかも知れないけれど、そういうことを主観的に思いながらみたものだった。

あわてて、バスに乗り、つまり、丸太町へいき、京都文化芸術会館で遊劇体を見る。100分ということで、お宮の候文から始まり、でもやっぱりお宮のことは作者も貫一も男として不可解なりとしてしか扱えないことを確認する舞台であった。黒くシルエットになるはじまりがとても美しく、でもそれがあまりにも多く繰り返されて、ちょっともったいないかなあとは思った。




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