Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》Gallery Yamaguchi Kunst-Bau

vol. 609.
4/16(土)
新学期に入った初めての土曜日
(その1〜大阪港のGallery Yamaguchi Kunst-Bau&天満屋ハaハaハa)




朝、今週の最後のお勤め、大学院のアートマネジメント1である。連続して1限目、2限目とあり、隔週というのが原則なのだが、今日は原則ではなかった。だから、だらだらっとしゃべったら、あっという間に終わった(歳を取ると過去のことほど、鮮やかに甦る、いまの自分がうすぼけているからだろうが)。

でも、少しかっこつけていうと、「藝術と私」という入り口を今年は用意したのである(じつは、昨日あたりにそうしようと思っただけだが)。その私にとってのアーツという極プライベートな眼差しから出発して、それが間主観性を通過しつつ、(共でありつつ、市民的公共圏の再現でもあるような)コモンの世界におけるアーツ(藝術環境)へとたどり着けるのか。個人的なることは公共的なるものへいかにしたら転換できるのか。

アーツはその羅針盤たるや。あるいは公共的なるものに対して、あなたと私の個人的なる体験や意思はいかにしたら生かせるのか、そういうことをアーツマネジメントという世界において可能になるとしたら、いかなる位相においてや。
つまり、簡単に言えば、可能態としてのアーツ、あるいは、アーツであることの困難性と固有性そのものがモメントになるような公共的ベクトルを探す軌跡であるところの演習・・・・なんて漠然と思っている(抽象的でなんだかさっぱりわからないようでもあるが)。さて。

学会誌に載るべき論文の査読をすませて、大学を下る。中途半端に早く大阪港に着く。大阪現代演劇祭の仮設劇場<WA>までの空白の時間。


そうそう、ギャラリー山口が、CASOのところからこのあたりに引越ししていたのだった。この前、<WA>の帰り、そのフラッグが目に留まっていた。近くにはカフェもあったし、少し時間を過ごすのに適したポイントがたまたまある。もちろんサントリーミュージアムとか海遊館もそこなのではあるが。

Gallery Yamaguchi Kunst-Bau。どうしてドイツ語なのか知らないが、直訳すれば、『藝術−建築(技術)」という感じだろうか。Kunst(術、技芸、手際、秘訣、人為、藝術、美術、文芸)というドイツ語は、「k_nnen(英語のcanのような感じ)」から派出しているということで、アーツを示すのにちょっと素敵な言葉だ。そして、ドイツ語を知らないぼくなどでも、Bauhaus(バウハウス)を想起させてもらえる「Bau」(建築、土木、複数形で建物、舞台装置。面白い意味では刑務所、そして穴、巣)。どうしてこの言葉がKunstと一緒なのかも意味深。

さらに、たまたまなのか意図したのか知らないが、この古い商船三井築港ビルの地下に、ギャラリーKunst-Bauがあるので、「藝術の穴倉(巣)」って感じまで意味が重なっていく。若い3人のアーティスト(高島輝実、根来和子、長谷川一郎)の展示が今日から始まっていて、オープニングパーティの準備が行われていた。3つの展示空間に、常設に展示されている空間を合わせて、4つの白い空間ができていて、入った直後の感じよりも、奥に広く蟻の巣のように分節された画廊である。特に、長谷川一郎の油絵の印象が強い。緑の葉のみを描き、奥行きや背景をまったく描かない平面で、みんな同じような小ささのままの世界。はじめから見ないようにしている若い人のことをつい思ってしまう。ただ、作品はあまり息苦しくなく、静かな揺らぎとかは感じられるのが救いであった。

すぐ近くの天満屋ビル2階、『ハaハaハa』(http://hahaha.tapo.jp/)で休む(八かハか迷ったが、サイトを見ると「ハ」のようだ)。木のテーブルが大きくて、気持ちがいい。一人でずっと本を読んでいる女性がいて、ここの空気にぴったり。たまたま若い男の客(アベック)がタバコを吸っていて、それは残念ではあったが。

マンゴージュースを飲んでいると(お腹をすかせて、ハハハヤシライスとか、金色きんかん茶とかを今度は注文しよう)、背中がスースーする。古い建物なので、冬は寒いかも知れない。確かに、前田栄作『虚飾の愛知万博〜土建国家「最後の祭典」アンオフィシャルガイド』(2005.2、光文社)を読んでいると、ゴンドラに乗ったり、ごみの行方を見たりするために、この最後であろう万博に行きたくなる。けったいな本で英語が混じっている。ぼくには、この英語が適切かどうかちょっと自信がないが、大丈夫な部分だけでも、学生の英語力を試すのに役立つだろうとは思う。

ハaハaハaにある雑貨がかわいい。レーズンが箱に入っていたり、陶器や赤ちゃんグッズがあったりと、うちの学生など、きっと気に入るだろう。帽子もかわいいのがあったが、残念ながら小さく女性用みたい。18時に近づき、会計をするときに、焼き菓子を少し買ったついでに、手ぬぐいもいくつかあって、その中に、月の満ち欠けを模様にしたものを発見。さっそくゲット。メーカーとかは不明。



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