Arts Calendar/Art's Report site/《KOGURE Journal》1928
三条御幸町へ。途中にやはり古いビルで、ブティック、ボタン屋さん、ハーブティー店、バー、イタリアンレストランなどになったスポットが気になって少しぶらぶら。今月リニューアルオープンしたアートコンプレックス1928(名前の由来はこのビルが1928年に建てられたから。オープニングは「コンドルズ」)の小原啓渡さんが、盛況なのでごきげんそう。劇団衛星も200人以上入ったが、劇団その一がもっとすごくて290人ぐらい入ったらしい(それでも入れず帰ってもらったそうだ)。
今日も、アートコンプレックス1928は130人以上は入ったようだ。
ダンスする場所がリノニウムを張って広いので客席はぎゅうぎゅう、横に椅子を追加したり前に座布団を追加していた。
一番心に残ったのはラストの三味線の独奏だった。大胆な音は津軽三味線顔負けだったし、細かく揺らされる小さな音はお座敷の小粋な溜息のよう。この小屋のPAなしでの音響はどうなんだろうか、どちらにせよライブも面白いかも知れない。
『山崎広太 vs 河内音頭--河内音頭と踊る--』20:07〜21:10。その後に、山崎広太と小林昌廣とのトークがあって、21:35。小さな丸い縁取りの舞台は、白い幕で覆われている(あとで、中から河内音頭が出てくるのは意外感があっておかしい)。窓も白い幕(後半、河内音頭が入ったとき、ここに山崎広太の影がこの両側の白い幕や壁に出来た)。
いったん暗くなりもう一度素明かりっぽく。客席もメモりやすいぐらいの明るさ。山崎広太が、白衣を羽織ってやってくる。床に、6つの大きな緑の白菜が置かれている(明日は聖護院大根の予定、とあとで小林ナヴィゲーター。でも結局やっぱり白菜だったらしい)。上手に密な並び方。白菜の間をするすると、いつものような体のくねくねぐねぐねの曲線を描いて踊っていく。でも、そこに白菜があるとそれを意識して跨いだりもする。
と、一つの白菜をむしって食べる(喉にカケラがつまっていたようで、途中でせき込んで吐き出した)。そこから、ダムタイプ的なピコピコする電子音楽が始まる。ぎくぎくした動きに変わって。床全体を使って大きく踊るのはお手のもの。
白菜に青いスプレーをかけて頭を青くするのだが、その薬品臭さにはちょっと参った。ナイフや鋏を白菜に差し込む。冒頭の動きと次のぎくしゃく動きが融合した。だんだん、振りのパタンが読めて少し違うことを考えたりする。ソロで60分踊るのだから仕方ない。
わーんと鳴り続ける音楽になって、海の中の若布のような踊りが始まる。腕がリズムに乗っている。汗が飛んで最前列の女性が避ける。古い松が枝を思いきり歪ませている様が、彼の踊りを観ながら、ずっと見えているように思えてくる。Tシャツも脱いで上半身裸。細い。でも、横腹には少し皮膚の弛みなども見えて人は少しずつ緩んでくるものなのだ。
20:42。幕が開いて、河内音頭の台と垂れ幕(達磨の絵、「東爪破有社中より」と染められている)。下手に太鼓/みゆき、女性が軽快に一定に叩く。初め幕の中に並んでちょこんと座っていた、唄の鉄砲光、それに三味線・豊茂隆。演奏曲は「どものまたけい」。高音を中心に弾く三味線に何だか引き込まれてしまう。無性に、浄瑠璃も聞きたくなる。
一方、江州(ごうしゅう)音頭を聴いていたりしている者としては、この鉄砲光が唄う姿や浪花節のような語りは、力みが少なく気張らず、淡々としたものだった。正当派だと言う。それでも、意味が採りづらい箇所も多くて、京都のどもりの絵師「どもまた」が、大津まで駆け落ちをしてくる話だということが何とか分かるだけ。石山寺の鐘の音とか、大津市内の宿?の話とか。脱線も数々。
まあ、もちろん後半は河内音頭に意識は集中していくけれど、音頭の初めは正座していた山崎広太の、踊りが競い合い邪魔をするわけでもなく、うまく乗って空気を揺するのは結構なことだ。なぜか三途の川も出てきたなあ。21:03に皆さんさようなら、と鉄砲光。この頃、山崎は口を開けて惚けたように笑っている顔つきになっていた。
終わったかと思うと、三味線だけに光が当たり、独奏とそれに応じる山崎の踊り。豊茂隆が現代邦楽の三絃ソリストであるようで、何も期待していなかった分、いい音をはじいてもらった嬉しさが倍増する。山崎は白菜のところで蹲って・・
挨拶に降りてきた鉄砲光は着流しで、裾に金の松、その上に平安貴族女性の旅姿のような絵が描かれている。豊茂隆は紋付き羽織(50歳ぐらいに見えるけどずっと若いのかも知れない)。いいなあ、ぼくもこんな格好で町を歩きたい。小林さんナヴィゲートのトークはさすが軽快で、間を置かずに反応しながら。でも、いつもながら言葉はどもる山崎。トークでも、言葉より体が先に動く。踊ればわかるのだから・・・。
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