こぐれ日録 KOGURE Diary 2001.4



27)4/2〜4/5

4/2(月)

京都橘女子大学の入学式が10時から始まった(きっかり1時間)。同僚の阪本くんが、小暮さん、やっぱり蝶ネクタイでしょう?なんて昨日に言っていたものだから、黒の古い蝶ネクタイをつけて行く。体育館は満杯。父母など家族の方々は一部立ち見になっている。

学生全員の名前を呼び、学科ごとに起立したあと、大南学長が「入学を許可いたします」と告げ、この瞬間に学生たちはほんとに大学生となるわけだ。入学式など行かなかった私としてはとても新鮮な式典である。渡辺理事長が、「大学とは答えがない問いかけをするところ」と短く挨拶したのも印象的だった。

13時から、クラス懇談会(河原和枝さんと私のゼミ生から構成されている)。机が並んでいたので、まずはその机を取り去って椅子だけを丸く並べる。27名が座る。二人のオリター(伊藤さんは自治会でダンス部、上野さんは伊藤さんの友人で教職員資格をめざしている)、そしてアドバイザーの河原さん。むむっ男性は当たり前だけど私一人だ。

恒例となりました「フルーツ・バスケット」をします、と伊藤さん。ぼくは、「フルーツ・バスケット」という椅子取りゲームを知らなかった。まあすぐ分かったけど。ソウルから来た学生が、男の人!って言って確実に私を鬼にしたのは、なかなか頭がいい。髪の毛のテーマが多かった。話すのが苦手な人、すぐに数人でしゃべり続ける人・・・いろいろだ。

やはり、全国各地から来ているから(韓国からも来ているし)、それがとても楽しい。九州、四国、中国、中部、北陸、関東、東北、もちろん近畿(それでも和歌山2名を入れて8名ぐらい)。ないエリアはDクラスでは北海道と沖縄だけだ。

やっぱりぼけっとしていたのだろう。講談を聞きに天満までやってきて、今日が月曜日だということに初めて気づく。昨日は大学に行ったけど日曜日だったんだ。何もしないで帰るのはあほらしいので、OMSに行って、研究室の紅茶カップセットなどを購入。250円のメキシコ産プラスチックセットがキッチュなのでそれを中心に買った。

4/3(火)

今日は、文化政策学部全員の顔見せ興行の日。一番大きな教室(9502)に158名(1名が昨日辞退)が座ると結構な人数だと感心する。教員陣はなかなかのエンターテナーが揃っているから学生も嬉しかったのではないだろうか。教員同士のみで受けていることも多かったが。
私は、また阪本君が驚いていたが、頭に手ぬぐいを巻いて自己紹介をした。これが芸術現場でのスタンダード姿なんて誤解されると楽しいだろうと思ったからだ。

さすが池上学部長は迫力ある訓辞だった。彼の講義は、学生がキーワードをよくメモしておいて毎回終わったら即座に文章を書かねばならない。そのためにT.A.を配置し、でも先生がすべての文章を毎回読んで指導して返すという。無理をしないでくださいね、池上部長!!

観光学の井口先生がトリをつとめ、すでにミニ講義をしていた。日本の観光産業のGDPに占める比率は5%、でも先進国の平均は10%です。また、日本から海外へ行く日本人観光客の世界ランキングは3位ですが、日本へ来る外国観光客の数は30位なのです・・。
5,10、3,30。シンプルな説明がこれから必要だなあと勉強してしまう(井口さんは午後から三条かいわいを観察にでかけようかな、って言っていた)

AO入試委員の志賀さんと織田さんに呼ばれて、河原さんと一緒にAO入試も担当することになる。7/31の午前中が私の担当。一般の方も参加できますので、どうぞ本学までお越しください。私は文化ホールをめぐった話にする(カフェともからめ)ことを計画しています。

個人研究費として初めてプリンター用紙とMDを学生生協で購入し、学術振興課の北川さんに書類を渡す。
そのあと、同じく北川さんに頼まれていた女性歴史文化研究所のHPのリレーエッセイの原稿を作る、研究室に入ったWINDOWSマシーンを初めて使って。これは5/7まででいいということだったけれど、午前中の各教員の話を聞いているうちに、むくむくと書きたくなったからだ。

4/4(水)

昨日は早く寝たので、やっと頭の中がすっきりする。昨日書いたエッセイを少し手直し。タイトルは《女性が「芸術を仕事にする」ということ》。全文は、京都橘女子大学のホームページの女性歴史文化研究所のリレーエッセイにアップされる予定なので、ぜひご覧ください。
ここでは、一部分だけ掲載しておく。

《 いよいよ2001年度から、「女性に文化という仕事を!」というコピーを伴って本学に文化政策学部が産声を上げた。
 私の担当する「アーツ(=アート)マネジメント」(芸術経営)論という領域は、典型的な「文化」の一つである「芸術」を仕事にする環境を対象としている。つまり芸術環境を観察しよりよくするために提案することを目指しているわけだ。
 したがって、「アーツマネージャー」とは芸術を仕事にしている人たち、ということになる。

 もちろん、芸術を仕事(金銭的な稼ぎは少なくとも社会的使命を持つ場合も含めて考えていい)として行う芸術家たちの存在を忘れてはならない。そういうアーティストはプロフェッショナルであると呼ばれ、アーツマネージャーとともに、芸術を創り社会へ伝える大切な「仕事」を受け持っている。
 なお、特に「社会へ伝える(=アウトリーチと呼ばれることが最近多くなった)」のがアーツマネージャーの仕事である。アーツマネージャーはもちろん、アマチュアの芸術表現者とともに仕事をすることもあり、その場合もアーツマネージャーは「プロとして」仕事をすることになる。
・・・(芸術を仕事とする人たちの性差について触れた後)・・・

 この流れ(=女性が芸術を仕事とすること)をもっと本格化したい。女性がアマチュアの鑑賞者だけの時代は終わった。いま、まさに仕事として芸術を伝える女性のアーツマネージャーの時代がきたのだ(とはいえ、地方公務員で実にすばらしいホールマネージャーであった女性をいまだに大切にしないで平凡な定期異動の対象にすることはよくあって、年度の変わり目は実に複雑な気分になる)。

 ジェンダーの視点から、彼女たちがすることは二つある。
 一つはいままで述べてきたように、女性の芸術家の力を社会へまっとうに伝え活躍する場所、助成金を獲得することだ。
 もう一つは、芸術は女性の楽しみ、趣味にすぎないと思っている男性へ、芸術の奥深さを伝えてあげること。
 つまり、芸術があることで、21世紀の社会に埋没せず個性を輝かして生きていけることの恩恵を、男性にも「おすそ分け」してあげることである。》
・・・・・・・
実は、「(とはいえ、地方公務員で実にすばらしいホールマネージャーであった女性をいまだに大切にしないで平凡な定期異動の対象にすることはよくあって、年度の変わり目は実に複雑な気分になる)」という文章をあえて挟んだのは、もちろん具体的にそういうことをいつも経験してきたし、ついこの前もその配転を知って、どう考えどう慰めたらいいのだろうかと悩んだからである(せっかくのそのアーツセンターは一体どうなるのか)。

事前準備にあれほど時間も労力も情熱も賭け(乙女のこころを尽くして)、それが一見評価されないままに異動になることがままある。でも、心ある人はみんなあなたの努力を知っているから・・・・とりあえずそう彼女には伝えるしかないだろう。またゆっくりとお芝居をみましょうね。

今になって言うのも愚痴にしかならないが、彼女のようなアーツマネージャーを応援し彼女の孤立を防ぎ、その存在を彼女が所属する自治体のトップたちへ理解させること!それが、財団法人地域創造ができた最も大きな理由だった(・・と書くことさえ忌むべきことかも知れないが)。

午前中はクラス懇談会。午後からは文化政策研究センターの運営委員会があって(ぼくは山科文化開発も関係するが、岡山プロジェクトの世話係になった)、そのあと入学課の基礎ゼミ紹介のインタビュー(来週のゼミ風景の写真取りの打ち合わせも)。

帰り、地下鉄京阪三条駅の通路のポスターを見ると、すでに山科駅前でパフォーマンスが始まっていることを知ってびっくりする(帰ってアーツ・カレンダーへアップ)。
次はいつするのだろう?募集者が少ないからポスターを掲示したのだろうか?分からないことだらけで、駅員に聞いてもイベント情報は知りませんの一点張り。うーん。

帰って以下の情報を京都市交通局からのホームページで入手する。
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《「アートパフォーマンス in 山科駅」出演者募集について
交通局では,現在,市民のみなさまとのふれあいの場として,「アートパフォーマンス in 山科駅」を開催いたしております。これは,市民や学生のみなさまが出演者となり,音楽やダンスなどを発表していただくイベントで,地下鉄山科駅前の「音の広場」(改札口を出てすぐ)において,昨年12月から始めたものです。
ただいま,このイベントに出演していただける方々を募集しています。コーラス,手品などちょっとしたアートな特技をお持ちの方,発表のよい機会ですのでふるってご応募下さい。
応募資格は,(1)京都市内に在住の方,(2)京都市内の大学や学校に通う方,(3)勤務地が京都市内にある方,以上のいずれかの条件を満たしていることとします。》
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具体的には、「アートパフォーマンス in 山科駅」の第1回は2000年12月24日(日)17:00〜京都市立芸術大学「アンサンブル・カルテ」フルート四重奏。第2回は2001年1月13日(土) 17:00〜「クラッパーズ」ダンスパフォーマンス(ストリートダンスみたいだ)。第3回-平成13年2月10日(土) 17:00〜「PAL WINDS」ブラスアンサンブルということ。

今日も早く帰る。家族4人のケーブル回線によるインターネット環境(kcat.zaq.ne.jp)を整えているとあっという間に夜が更けて、はながフラメンコを2時間見て京都精華大学から帰ってきた。まだゼミの希望を誰にするか悩んでいるようだ。ただ、人文フィールドワークは半年のタイ(タイ語をほんとうにできるのだろうか)か短期の北海道(アイヌ文化)にするということ。張り切っているけど大丈夫かなあ(しんぱい。博物館学芸員資格も取りたいらしいし・・)。

4/5(木)

今日は、学生達は授業の登録と教科書の購入で忙しい。午後からは新入生歓迎会があって、それぞれのクラブが新入生グループによる「宝探し」の形で勧誘をする。オリターの伊藤さん(「珍しいキノコ舞踊団」の創立メンバーと漢字が違うが同じ名前)が14:05から広場で踊ると私に言ったらしいのだが、14:50と聞き違えて、彼女から、もう明日行ってあげませんよ!としかられた。

三条ではきやすい靴を買った後(椥辻から大学までの登りはかなりの運動量なのだ)、谷町九丁目へ。近鉄小劇場。大人計画『エロスの果て』作・演出/松尾スズキ。昔池袋コミュニティカレッジの制作講座で講師をしていた長坂まき子さんの顔が見える。『エロスの果て』イメージガールの林葉直子についてどう思うかという設問のあるアンケートが入っていて、この馬鹿らしさが嬉しい。

前も大人計画に当日に行って立ち見になったのに、またまた18時に行くとやっぱりごくわずかの当日券(4700円)はすぐに売れ切れ立ち見券(4500円)だけだった。
実際には、19時過ぎから21時9分までの彼らの舞台は立ち見であったにもかかわらず、そんなに長く感じなかったから不思議である。それよりも下北沢のスズナリの最前列で、こむら返りをおこしながら見た時の方が強烈にしんどかった。

内容は、ポストノストラダムスのアンニュイ。
いつもの「学会や障害者、おかまレズ」遊び、‘やりまくっても行かない’青年の誓いはじめ錯綜したシモネタまんさいの安心感がベースにはあるが、どこかおしゃれ。「おしゃれ」なのは理由があって、ナイロン100℃の人が振付をしたりしているからだ。
しかも野田マップみたいに大河ドラマ仕立て(終わりは珍しくカタルシスあり)。障害者いじめ問題を暗黒童話化する感じは遊気舎の雰囲気にも似ている。

阿部サダヲ、宮藤官九郎の「ちょび髭」コンビに顔田顔彦、村杉蝉之介・・。伊勢志摩、田村たがめ、池津祥子などの女優陣など、制作の長坂さんが、うちのお客は大人計画だけしか見ないんですと昔言っていたことが納得できるほど、個性的なラインアップが崩れていない。なお、ちょび髭はチャップリンにヒットラーをモザイク的に混ぜる役割、そこから切れる少年の多面性が浮かんでくる。

もちろん、松尾スズキの情けないサラリーマン人生の吐露を見ていると、ここもすでに大人を計画しているのではなく「大人経験」だったり「大人渡世」だったりしているなあと思ったりする。「大人余生」の私みたいではまだないだろうけど。

そうそう、特筆すべき創作キャラクターは「角川春樹」(荒川良々)だ。
荒川の、のぼっと大きな体ののほほん「天才」(知恵遅れ偽装?)ぶりは、彼の父母(ホモの父と偽造結婚した東南アジアの母)の暗さとうまくマッチして、このお芝居のライトなダークに一つの核を与えていた。


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