こぐれ日録 KOGURE Diary 2001.8
8/3(金)
さきが朝起きて言うには‘やっぱり昔小さかった山羊が大きくなっているのをみたいから(小学校3年生の時山羊のチーズを大事そうに持って帰ってきたものだ)ボランティアで山梨の白州に行く。だから、杉浦良さんちに行くのは9月かなあ’と(昨日まで白州にいかずに徳島に行くって言っていたのに)。さっそくリュックを担いでアートキャンプ白州に出かけてしまった。27日に帰るらしい・・。
昨年暮れに買ったケンウッドのラジカセのCD部分が昨日突然動かなくなったこともあって、芳江の車で京都橘女子大学まで送ってもらう。することもないのだが、100%ORANGEのHPでコンテストのことを書き込んでいただいた京都橘女子大学卒業のKahoringさんとBBSでやりとりしたことなどを事務局の人に伝えたり、ぶらぶら。
気が付くと、14時半を回っていたので慌てて椥辻駅まで下り、東山駅から地上に上がる。studio21へ行くバスを探したのだが、どうもバス停を間違ったらしい(蹴上に降りるべきだったのかな)。志賀玲子さんから、オープンキャンパス用に短くした学生企画のパフォーマンスが面白いから、とメールで誘われていたのに・・・。仕方がないので路線206に乗ってあてもなく(・・・なにげに見ているとMONOの土田英生さんがタクシーを探している。ほんとに京都は狭い)。
そのうちに京大が見えてきて、そうだ、京都大学総合博物館が6月に出来ていたので、ここに入ろうと思い、400円で入る(自動改札なのがちょっとおかしい)。自然史系展示はジャングルがあったりかなり充実していて子供達も喜んでいる。昆虫がピンで並んでいるのをずっと見ている小さな女の子。霊長類研究所が撮影した動画は説明があってなかなかに面白い(お母さんの忠告にも従わず、またじゃれ合っていて、こんどはお母さんが怒って来るシーン、などなど)。
山鳥などの剥製を見てふと沖縄の離島で見たヤンバルクイナの剥製のことを思い出した。東南アジアの微少な蟻たちや、フンコロガシの仲間たち。ゴキブリもここではちゃんと並ばせてもらっている。
他方、文化史系展示は石棺などはあったが、まだ全体にすかすかしている。チラシ入れにあんまり紙が入っていなかったこともあり、橘のコンテストのチラシをこっそり入れて博物館を後にした。
京都駅のそばのプラッツの新星堂で、尾崎豊「誕生」(2枚組、結局探したが中古は見つからなかったから)、ジャズの若手ヴォーカリスト、akiko『GIRL TALK』(何度聞いてもすごいということが伝わらなくてがっかりした)、そして安いCD、ハインリッヒ・シュッツ「マタイ受難曲」(これは心に沁みる)。
(帰ってさっそく尾崎豊を聴く。静かな曲や深刻ぶらない明るい曲など自然体の感じが強くて、ぼくは彼の一面しか知らなかったことをつくづく思う。よく最後のコンサートなどの映像を目にするし、その最後を知ってしまっているからその先入見が邪魔をしていたのだろう。)
隣の旭屋書店ですぐに、さく/100%ORANGE 『こどものとも012〜ぶぅなんのブー』福音館書店(01.9)を見つける。分厚い紙の絵本。でもまぎれもなく100%ORANGEの絵とことばだ。
「ころんでブー」「「あそんでブー」「こまったのブー」・・昔娘たちはほんとにこんな顔をしていた(なんていうと怒るかなあ)。きっとぼくもそうだったに違いない。
まだ子どものいない100%ORANGEさんは3年かけてこれを作ったという。
その100%ORANGEさん(どうしても「藤子不二雄」の二人を連想してしまう)が「作者のことば」(合議して提出するのだろうな)を書いている。
『・・たとえば素敵な音楽に感動したとき、たとえば綺麗な絵をみたとき、その感動の気持ちを「ブー」だけで人に伝えるとしたら、どんなに大変でかつ愉快なことでしょう。おっきな「ブー」や、ちっちゃな「ブー」、いろいろなオリジナルの「ブー」が発明されることでしょう。・・』
NHK人間講座「日本人とスポーツ」(玉木正之)、それに今月からの「音のかなたへ〜京都・アジア・ヨーロッパの音風景」(中川真)。これはこれからの放送だから教育テレビをチェックしなくちゃいけない。
やっと見つけた奈良美智コーナー。HAPPY HOURで連載中の奈良美智の日記の初めの方がもう本になった。『NARA NOTE』(筑摩書房01.7)。
そして隣に置いてあった『Nobody knows〜YOSHITOMO NARA Drawings』(リトル・モア、01.7)も買わざるを得ない吸引力。本の紙も薄くって現物の風合いを出している。
ニューヨーク現代美術館(っていうんだっけ、MOMA-NY)のコレクション。これって、全部メモ書きだから、保存とか記録とか難しいだろうな。こういう形でコレクションするというのは、たとえば、石像を文化財に指定するのではなく、昔の街道や伝統的建造物群などを文化財指定するというのと似ているのかも知れない。
ほんとに夏休み!って思っていたら、月曜日に追試が必要になった。それでもやっぱり夏休みだ。だって、曜日がぜんぜん分からなくなってきたから。
朝、目覚めて冷房を消し、窓を開け放つ。一斉に蝉、蝉、蝉。中川真さんの言うように蝉の向こうの何かを聴きたいと思っても、もうカーテンみたいな蝉の大合唱で、いつもは気になるスーパーSATYのトラックや空調の音が、耳を澄ます対象になって背後に押しやられている。
ピッコロシアター大ホール(正式には兵庫県立尼崎青少年創造劇場というのだが、この名前を知っている演劇人は少ないだろうな)へ。細い川面にはびっしりと藻が生えてそれがゆらゆらと暑さで動いていて、奇妙な竜のよう。
兵庫県立ピッコロ劇団ファミリー劇場『選ばなかった冒険〜光の石の伝説』13:07に予鈴が鳴って携帯電話などの注意。12分間の休憩があって終わったのは15:19分。かなり長いお芝居だけれど、始めにゲームがあるし、途中にも、舞台にあがったりできる楽しみタイムがあるので、小さな子たちも飽きたりしていなかったように見える。
課外授業的に集団でやってきた制服姿の女子高校生(中学生なのかも知れないが)たちも舞台に上がってなかなかに楽しそうだ。知的障害者のグループも引率されてやってくる。台本・演出の秋浜悟史さんと彼ら彼女たちは握手しているので、ピッコロ劇団ときっと交流がある施設のメンバーさんたちなのだろう。途中で面白いところにくると、素直な反応が声になっていた。
原作の岡田淳さんも夫人と一緒に私の隣に座っていた。最後に舞台にあがって紹介される。
(詳細はアーツ・カレンダー「こぐれ日記249」をどうぞ)
実は、最近「こぐれ日記」ねたがないので、ピッコロシアターとともに、この劇団ひまわり大阪俳優大阪俳優養成所青年部の公演を合わせて書こうと思っていた。でも、このお芝居に登場した人達は舞台が初めてだったりする若者が過半数もいて、ちょっと比較するのはむずかしいことが見て分かった。
シアターぷらっつ江坂(劇団ひまわりのビル。ここは劇団とは名付けられているが、こちらの印象ではテレビに出てくるタレントの養成所の印象がどうしても拭えない)。
150席ぐらいだろうか、立派な照明(プラン;岩村原太)装置もつけられるタッパの高い劇場だ。
『アイスクリームマン』作/岩松了、演出/木嶋茂雄(前の桃園会のお芝居に客演していた)。17:07〜19:06。Bキャスト。
しかし、岩松了のこの作品は面白いとつくづく感じる。演技はちょっとしんどすぎる部分もあるのだが、それでもどきどきすることはいっぱいあるし、こういう台詞があったのかとはっと気づくものもあるのだ。
なかでは、早苗役の内本佳子、アイスクリームマンを女性でやってみせた中住恭子あたりは安心して楽しむことが出来た。客層は日頃岩松了的なお芝居を見たりはしない人達だったかも知れないから、このお芝居をどう受け取ったのかについても興味はある。
舞台美術/西田聖。お風呂と出口の位置などがいつも見る配置とは違っていたが、それが大きな演出上の違いになったことはなかったようだ。
芳江が、納谷さんと一緒に清水さんのインスタレーションを見るんだ、と言って早々と出かけてしまう。お昼はコーンフレークとミルク。いっぱい本を研究室から持ち帰っているのに、食卓が寂しいのでついテレビをつけ、昔からやっているクイズ番組、そして、どんどん人が死ぬだけのサスペンスドラマ(ナース探偵3とかいうもの)を、しまいまで見てしまって自己嫌悪に陥る。
さて、劇場を抜け出す流星倶楽部(1989年結成)企画「箱抜けの会」企画第一弾、はライブハウス(ここも演劇の箱ではないが、音楽の箱ではある)。
行くまでの道(途中にあった旧RED LIONは跡形もなく、大きなカラオケになっていた)がちょっと猥雑な十三のファンダンゴ。だが、入るとその地上の世界とライブハウスのサイケな地下空間がうまくフュージョンして「悪所」のよさを発揮するロック拠点だ(たぶん、京都には少ないだろうな)。
ここでお芝居を生バンドと一緒にするという。《鼠の群れ》17:08〜18:00。ここで休憩があって、前半はバックをつとめていたthe Mario Brothersの演奏が後半(といっても、お芝居中に歌い演技もしたヴォーカルの有田良平はじめ4人組のこのthe Mario Brothersが大活躍)。
ステージの前に四角い特設舞台(大きくはない)。回りにキリンビールの箱と座布団。その最前列に座ってビールを飲みながら見る。お話は、お客が少なくなって閉店する直前の老舗スナック。そこに勤めていた3人の女たちの物語。
バックをつとめるギターの中島秀一の小さな娘さんたちが客席に来ていて、パパ、パパと言うのが可笑しい。
作/大正まろん、演出/寺岡永泰。
アケミ(藤里まあち)の部屋に飲み過ぎて(前夜祭ね)、ナオコ(住吉真由美)とリエ(小栗一紅)が泊まっている。もうすぐ朝が始まる。
ハーモニカを吹く純情なリエ。お客さんにもらったハーモニカ。閉店日に来てくれるかどうか、とりあえずはそのことだけでどきどきしている。
アケミは15年前にこのスナックに勤めだした。マスターの奥さんとも仲の良い、奇妙な三角関係が続いている。もうリエみたいにどきどきすることが久しくないなあと思う。これからどうしようか。引っ越して・・
ナオコは始発で出かけなくてはならない。どうして借金があるの、とリエが聴く。男かと思ったら、ナオコのお母さんが経営する喫茶店の借金のためだった。2万円で男と寝たことがしゃくだが、それを返すことがかっこいいわけでもない。
その2万円はもらっておくこと。それはプライドを捨てるということなのだろうか。逆にプライドを持っているということなのだろうか。どんどん許容限度がいい加減になってきても持ち続けたいプライドとは!
プライドって、自分で選んでいるという覚悟のことだから(アケミ)、2万円を返す必要はないとナオコもみんなも納得する。
自己決定についての展開がちょっと唐突のようにも思える。そのままで、もう少し長いお芝居になれば、このテーマはより深まるのだろうなと思った。タイトルの鼠は午前3時に男が無造作に鼠の群を叩きつぶしている様を見たことに由来する。
こんな暑い日曜日の夕方にはちょうどいいライブ感覚でもあるが、後半の演奏は前半の最後に前に連れ出されて不本意に踊らされたことや、鼓膜が痛すぎたこともあって一番遠くのカウンターで聴いた。OMSの松井さんも来ていて、これから沖縄へ旅行をするらしい。山羊汁おいしいよと薦めてみる。
大学に来てくださいとも誘ったが、その前に彼女たちアーツマネージャーの話を聴く会を早く作らなくちゃいけない(学生学会助成をもらうのがいいかな)。
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