こぐれ日録 KOGURE Diary 2001.6〜7
6/29(金)
立命館大学。学生による授業評価のアンケートがあった。少し見ると板書や資料がだめだというのが多かった。確かに「板書」は慣れないし漢字や綴りが出てこないことが多い。途中ではーはー言ってしまうことが多いのだが、それについてアンケートの中に、息がマイクに入ってマイクが壊れてしまうという脅しもあった。なかなか、学生も手強い。
今日は急きょ板井さんが就職の関係で広島に行ったので(野村万之丞さんらと深夜まで飲んでいたという。アートマネジメント論の講義の後「賀茂鶴」を下げてやってきた)、自分一人。まず鍵があかないし、CDでもかけようと思ったが無理みたいだった。
指定したアーツセンター(それ以外を書いてきた学生もいて、どう評価したらいいか考えなくてはならない。聴いてきた学生には駄目と言ったわけで)についての中間レポートが返ってくる。京都芸術センターの「アネッテ・メイヤー」についてが多かった。ぎりぎりにレポートを書くからそうなるわけか。でも、きちんとボランティアへインタビューしたりしていて社会学をやっている学部だなあとは思う。
KAVCで島袋に感動したりして、初めてアーツセンターを探検した学生たちの楽しさが伝わってくるものも多い。ネガポジ、拾得や磔磔を追加してよかったし、さきらも碧水にも出かけていたようで、学生へのアウトリーチには一定の成果があったかも知れない。
これからは(つまり来年度からってことね)、レジメを作っておこうかな。話すまで今日は何をするかをきめない即興講義は避けようと思った。いま自分が言いたいことを即興でしゃべるのはスリリングなのだが、確かに先が読めない学生の不安は分かるし、だから結構こちらも草臥れるのだろう。
今日は、「芸術文化施設のマネジメント」を「アーツマネジメント概要」からコピーして概説したあと(板井さんのリクエストだった)、ふと読みたくなったので(限界芸術の補足だととりあえず小さく言い訳しつつ)宮澤賢治の農民芸術概論要綱を朗読した。
まだ時間があったのでまたトーン・テレヘンの「だれも死なない」から、カメの話を中心に3つ朗読した。目を輝かして聴いている学生の顔が少なくとも一つは見つけて嬉しくなる。
バザール・カフェへ。杉本洋子さんの娘さんがいる。英意ちゃん、楽しそうに友人としゃべっている。
中学3年生の女の子もいて、さきより1歳下だから、幼いはずなのに、なぜかしっかりとしていてぼくの前に座る。ビール好き?おやじになるとビールしか飲まなくなるんよ。おじさんは先生か、先生は私の敵なの。特に数学。ふーん。何教えているの?大学で童話を読んだよ、今日は。おじさんは「だれも知らない」のなかでどれが一番好き?「すごかったね」かな。じゃあ、私読むね。
小さい声だけれど、実にじょうずに彼女が読むから驚いた。うまいね。えっ?自分に聴かすだけで読んだの。カメは時に自分が誰か分からなくなるよ。これね「ぼくはカメ」。彼女はやはりしっかりと声を出して読んだ後、これ好きとつぶやいていた。
劇団衛星『狂躁里見八県伝』アートコンプレックス1928は満員(30日の3回目の公演は200人も入って実にテンションの高い公演だったらしい)。うちの学生が4人ほど来ている。並んでいると。突然「先生」と声がかかるのは嬉しいような恥ずかしいような・・。
19:35〜21:23。情けない魔王がおかしかった。試演会にみたものよりも、数段役者の切れがよくなっていた。駒田大輔の声が朗々と響くし、さすが岡嶋秀昭のアクションは抜群に派手になっている。
クールなのに間が悪く無視される宮川忠(田中遊が好演)がこの舞台では格段に目立つ。千葉県らしくって笑いが止まらない。8県の特色が試演会よりよく出ていた。
映像が前はマンガだったが実写の動画だったので、祖先の神がみ(八犬士だったのだが、いまは天上でゲームしている)といまの情けない八県士の二重構造が分かりやすく対応している。
日替わりゲストは、猪岐英人。蓮行と同じ高校(同級生?)らしい。化粧が濃ゆい。
帰って、観劇速報(関西演劇ネットワーク内)を見ると以下のような感想がpokkiという人(自己紹介コメントがリンクしていない人のようで、このpokki氏は別の名前でも同時に書き込んでいるらしい)によって書かれていた。
《内容:分類できないタイプ 見どころ:舞台セット 総合:☆
二時間ちかくずーっと下ネタ&セクハラのオンパレード。女性からみて気分的に受け付けられない。また火山災害をネタに使っており、見る人が見ればイヤな気持ちになる。あのような芝居を上演するホールの認識もどうか?6/30
pokki》
驚いて、違う見方もできるよね、という気持ちで長めのコメントを載せる。同じ芝居を観た感想ではないと思われるかも知れないが、色々な見方ができる方が可能性のある芸術であることは確かだ(そういう観点からすると、ノストラダムスの大予言や2000年コンピュータ問題へシューと収束したみたいな終わり方が少しもったいないと思った)。
《内容:神がみとの対話 見どころ:諦観哲学 総合:☆☆☆☆☆
実は、星が4つか5つかについて迷いました。試演会を見たが、その部分はずっとよくなっていて、再度見て感動が増えるのはすごいから5つ。でもラストの隠されていた部分はちょいと理に勝ちすぎたのではないかと思われます。もっと不可解、不条理に世界はあるし回っているのではないかと思います。で「諦観」ということばが出てしまったのです。1928は闇を作りにくい難しい空間ですが、うまく使っていてきっとホールも喜んでいると思います。6/29 こぐれ》(6/30と書き間違えたり、文章がおかしかったりしたところを直しています)
京都橘女子大学へ。文化政策学部開設式典と記念講演会(福原義春資生堂会長)があるからだ。いつもと同じ恰好で行ったが、みんなはスーツ姿でかわいそうなぐらい蒸し暑そうだった。式典のあとにティーパーティがあったが、短いからビールとかオードブル(ブライトンホテル担当)がいっぱい残ってもったいない。ゆっくりしたお昼にしたら良かったのではないだろうか。12時ぐらいから式典を始めて。
高松平蔵さんと呉市の堀信夫さんが取材に来てくれた。堀さんとは実に久しぶりだ。国土庁の時のステージラボにわざわざ来てくれた(94.2)ことを思い出す。京都市長の挨拶の代読に河内副市長が来ていて、やあやあと。私の自治省4年後輩。
と、1年先輩のいま東京都の文化振興部長をやっている三好さんもいた。福原さんが東京都写真美術館の館長だからだ。三好さんから東京都の文化政策についての報告書をもらう。彼は自治体文化行政の本を探していたので中川幾郎「分権時代の自治体文化政策」を紹介しつつ、大阪市の芸術文化アクションプランを渡す。
KAVCで行われるマキノエミを中心とするダンス公演(DAY dance‘Lunch’)を案内してもらっていたが、近場のヘップホール、はちみつパイ第二回公演『入院バケーション』を楽しむことにした。京阪沿線に移るとどうしても梅田には余り行かなくなるので、ヘップファイブの人混みには圧倒される。
はちみつパイという劇団は、作・演出の後藤はっち(伊丹想流私塾第4期生)と、あと二人の女優、大北悦子、横田ナツコの3人の女性からなる新しい劇団。
《HEP HALL第一回女性作家・演出家フェス〜姫ごと〜》のトップにふさわしく、ちょっと騒がしかったり演技がおおげさだったりするが、サマーバケーションを控えたテーマで楽しませてもらえた。
ホール内に、DJの声。DJは国木田かっぱ。阪神ファンのレポーターとして朝の番組でよく見る顔のタレントだ。生放送DJを時間待ちの客席に施すサービスはなかなかのアイディア。放送関係者ならではだ。お昼のこの公演のアンケートの書き込みの中からさっそく紹介したりもしている。
19:07〜20〜32。ほのぼのしたコメディ、ギャク系に走るきらいもあったが。この週末はスクエア「泊」もあるしなかなか激戦のなかの公演でもある。(詳細はアーツ・カレンダー「こぐれ日記238」をみて)
昨日、たぶん研究室に手帳を忘れてしまった。扇町ミュージアムスクエアのベターポーヅの公演はファイルしていたから分かったけれど、それ以外に何か行く予定だったか分からない(びわ湖ホールのサーカスは行きますなんて書いたけれど、7時だから間に合うわけがないよね)。
OMS、ベターポーズ〜別冊オトメチックルネッサンス『雲の絶間の姫』作・演出/西島明、振付/永谷亜紀。14:05〜15:29。暗転が多い。一つのシーンクエンスにいつもぎこちない終わりがあって、また何かが起きる。どんなつながりがあるのか、分かるようで分からない。
不足気味の説明、客におもねないさっぱり感とシュールなバラバラ感が独自の世界を作っている。女性の立ち小便に関する動作もとてもスマート。スカートをあげて後ろ向きにポットボトルからバケツに水を垂らす。
割と激しいものとしては、額縁お結びがっつきショーがあったが、これもマチコ嬢(満留宏子)のロマンチカな魅力でお下劣へは向かわない。(詳細はアーツ・カレンダー「こぐれ日記238」をみてね)
女性陣の奇妙な行動は実にショートなもので、そこが例えば少年王者舘の女性陣のおかしさと通じるものがありつつ違うところ。でも見ながら少年王者舘の途中で出てくる、なかなか終わらない繰り返しシーンを思い出したりしていた。
金曜日に見た衛星の「お下劣さ」ぶりに見られる高まるテンションと実に好対照で、この週末は、笑いやおかしみをコアとしたお芝居を3本観たことになる。それぞれを比較して書けないほど質が違う。悲劇よりも喜劇の方がその内容や形式はより多岐に渡っていることを傍証しているのかも知れない。
帰り、旭屋書店で、spoon.の8月号を買う。これには「100%ORANGE アトリエ潜入レポート!」という記事があったからだ。Jungle Smileというユニットのヴォーカル、高木郁乃という人が、100%ORANGEと対談していて、100%ORANGEの顔は出ていないのだが、机の周りやトイレにある童話棚などが映っていて、「ヌーベルバーグ」という書きかけのイラストがあったりしている。
もう一つ買ったのはオレンジページのムック本「元気がでるからだの本 2001夏」。
その目次や「ビタミンC・・」という巻頭記事のイラストが100%ORANGEなのだ。他の記事にもそれぞれ違うイラストレーターが起用されていて、イラストの比較に便利なムック。
京都橘女子大学文化政策学部の独自パンフレットにどうしても100%ORANGEさんを起用したくなりますよね(これはぼくだけじゃないはずだけど)。
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