こぐれ日録 KOGURE Diary 2001.3
3/9(金)
自宅では引っ越しの準備が始まっている。はなが江古田のアパートの引っ越しを終え帰ってきたばかりだけれど、仕方がない。今日は、不要な家具を障害のある人たちの作業所と関係のあるリサイクルショップが引き取りに来てくれるので、それまでに本棚やCD棚を開けなくてはならず、朝からごそごそしていた。
ドアを開けると真っ白な雪の屋根と山。早春の光が輝かしいから、JIAMの玄関でカメラを取りに引き返そうかと思った。けれど、もう職員が雪かきをほぼ終えていて自分だけ写真を撮していてはまずいから、おとなしく職場の方の引っ越しの準備を始める。
岩村原太さんとメールのやりとりをしているうちに、日本アートマネジメント学会に入ろうかと言ってくれる。これはラッキー。ぜひ、このJAM
Westのサイトを作って魅力的な人が交差する場所にしたいと思い、ちょっとしたアイディアを松本さんに送った。特に、役に立つリンクとして、アートマネジメントに関わる人が参照する用語集のサイトがいいのではないかと、サイトを調べ次のようなコメントを送った。
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1.メセナ用語集(アートマネジメントについても多く、当学会も紹介されている)
http://www.mecenat.or.jp/yougo/tougo_text.html#nagyou
2.現代美術のキーワード(人名や美術思想なども豊富)
http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/artscape/artwords/body.html
3.演劇用語の基礎知識(舞台用語も多い)
http://www.dokidoki.ne.jp/home2/horiuchi/ENGEKI/
4.舞台用語い・ろ・は(古典芸能の大道具用語、照明、音響、演出用語)
http://www.ceres.dti.ne.jp/~ko-suke/index.html
5.邦楽豆辞典
http://www4.justnet.ne.jp/~tamayura/jiten-top.html
まだまだあると思います。これは西洋クラシック音楽は必要ですし、まあ、ぼちぼち増やせばいいでしょう。
あとのリンクについては、ホールや美術館の所在情報を集めたものや芸術のレビューとかアーティスト日記とか興味深いものはありますが、これは掲示板などで各自が紹介するようにして、基本的なものだけ学会員が関係するものを中心にあげるぐらいでいいのではないかと思います。
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著者の野田邦弘さん(横浜市役所職員)から贈っていただいていた丸善ライブラリー(2001.1)を読む。『イベント創造の時代〜自治体と市民によるアートマネージメント』。1980年教育委員会の文化事業課に配属されてから、野田さんが担当したものを中心に、いままでの横浜の文化事業の概要が簡潔にまとまられている。当事者であるために、具体性もあり、大学の参考書としても使えそうだ。
市民講座「成人学校」の企画では、芸術系講座を充実させ、これらの人脈からその後の催し(イベント、フェスティバル)のプロデュースへと発展したことがうかがえて興味深い。講師の名前を観るだけで、ぞくぞくする布陣だったはずだ。たとえば、巖谷國士、四方田犬彦、ジョン・ゾーン、蓮実重彦、谷川雁、ピーター・バラカン、小林進、種村季弘などなど。
そこから、ジョナス・メカスが来場し、大野一雄が公演する。倉庫イベントを成功させるため(ヨコハマフラッシュ)、規制を所管する行政機関とは腰を据えて交渉したことがうかがえる(p66,67)。
ヨコハマアートウェーブ'89のプレスリリースは、彼が考えたという。つまり「芸術の衝撃波を横浜から世界に発信する」。いまから12年前に「発信」はまだ新鮮だったと思うし、ひょっとしたら野田さんらがかなりいまの「発信」繁茂のきっかけを作ったのかも知れない。
第7章「文化と行政」は、自治体芸術振興論のレクチャーの際に助かるものになりそうだ。彼によれば「自治体において文化行政を担当する専門職をアートマネージャーと呼ぶ」ことになっていて、そういう使い方も、自治体の中ではあるのだろうし、「文化専門職」を彼が現役のうちに(彼こそアートマネージャーをやってきたわけだから、先駆者として)横浜で確立して欲しいと思う。
日本アートマネジメント学会関西部会(JAM West)の第10回例会をOBPにて。今日は、たまたま大阪駅で次の事務局を担ってもらおうと思っていた竹内さんに会い、強引に、いろいろとお願いする。彼女も神戸大学のドクターに受かって希望膨らむ時だったから、HPもやってよねとか無理なお願いもした(どうも、です)。
11/17頃に、全国大会をしようと言うことで、JAM West事務局長(竹内さんは事務局次長)のパナクリエイトの松本さんが張り切っている。今日は、わざわざ宮城大学の小林進会長と、関東学院女子短期大学助教授でこのJAMの総務をマネジメントしてきていただいている山崎稔恵さんがわざわざ来ていただいて、有意義な例会となった。昨夜は関東部会で森岡さんが話したところで、熊倉さんが原稿の催促もしてくれたようだ。
小林さんによれば、アーツマネジメントの世界も、私たちの世代のあとの後継者が少ないとのこと。これじゃあ、先が思いやられるので、竹内さんや林さん、それに3ヶ月NYにいっちゃった板井さんなどがきちんと活躍してもらわないと大変である。今日は、初めて阪大のドクター課程の岡部芳彦さんが参加してくれて、かなりの戦力になってもらえそうだ(すでに学会誌に論文転出済み。この学会誌/第2号は秋には出るようだから、全国大会はそれも一つの販促材料になるだろう)。
それに、小林さんの講義を聴いて駆けつけてくれた、城陽市市長公室の有川利彦さん。IT技能に長けたかただし、文化パルク城陽について、とてもしっかりとその有り方を悩み考えている人だとお見受けした。公立文化施設運営論を実践的に理論化し、現場にフィードバックすることが、これからますます厳しいだけにやりがいがある仕事だ。
アーツマネジメントって定義や明確な概念を作らないところが「創発的」で魅力ではあるが、とりあえず、広い意味で「芸術が仕事である」人たちを核にすえる学会であるとはいえると思った。
そして「学会」とは、お互いが「学ぶ会」であると思う(教えるものというより)。だから、研究だけの学問世界ではなく、それをも含めて、今の現実世界へと投射(プロジェクト)する場として、アーツマネジメントを学ぶ集まり、と考えたいと思った。
署名に、学会員募集中と書くと、数人の人から問い合わせがあり、ぐっと面白い中堅(私より若く、学生でない実践者)が入りそうで、期待でぞくぞくする。
例会の後、ビールを飲もうという誘惑があったが、お芝居を見ようと思い、京阪に乗った。でも、つい車内でビールを口にするとどっと疲れが出来て、自宅に戻った。
そして、ゆっくりと、NHK BS2で撮っておいた、ジョン・フォード監督『わが谷は緑なりき』(1941年、118分)を、日本酒を飲みながら鑑賞した。
イギリスのウェールズにあった炭坑の村がはじめは牧歌的に、途中からは、時代の変化を感じさせつつ、社会問題告発ではない情感に満ちたタッチで描かれていて、歳取ってから生まれた息子を思う父の最後に涙した。
でも、牧師が去るときにおける教会への強烈な演説には、強く共同体社会にある陰口やら偽善やらへの告発と諦観が溢れているようにも思った。
この前観た「リトルダンサー」の原型とも考えられる部分(共同体から離れる運命にある少年。彼の才能と炭坑社会にいる父親やお兄さんたちの対比)があった。
が、主人公の少年の姉や義理の姉の複雑な心境を大河ドラマとして描く堂々としたこの作品の広がりに比べると、「リトルダンサー」の方はよりシンプルな映画だと考えることもできる。
結局行けなかった(小さなもうひとつの場所#3「部屋」スタジオ・ヴァリテでの公演には)。17時の回までには間に合うかとも思っていたけど。
初めて出来上がった八幡市のアパートへ行く。4人で取りあえず住むには小さな場所だけど、生まれて初めて与えられただけの公舎でないところに入るわけで、自分たちで棚を作ったりできると思うとやっぱり嬉しい。
でも、さきの合格まで動けなかったから、全くの準備不足。不要なものは捨てていくといっても、環境問題を考えると使った方がいいわけだし、でも、余裕のない間取りだしで、いますぐには当初思ったようには出来そうにない。
初めぼくが思っていたことっていうのも、漠然とちょっとした展示やライブができたらいいねっていうぐらいの話。こんなことも芳江は聴いていなかったっていうから、家族で住まうためのコミュニケーション不足を痛感する。
デザインを研究している人にいろいろアドバイスしてもらいながら、入居してからもリファインしていければいいかと思い、取りあえず、近くの山田電気で安い照明器具を買う(芳江も自分の好みややりたいことをきちんと伝えないと専門的な助言やサポーももらえないことが分かったと言っている)。
はなやさきは、自分でインテリアショップを歩いてからイメージを作ることになるだろう。それもいい学習だし、自分がやらないと何も始まらないのだ。
5畳の「こぐれ芸術探偵事務所」は、とりあえず、いらないと言う小学校入学祝いに買った彼女たちの机とすでにある本箱でスタート。ただ、ケーブルインターネットサービスが使えるので、やっと常時接続になるのはとても嬉しい。
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