こぐれ日録 KOGURE Diary 2002.4



132)4/5〜4/7

4/5(金)

学陽書房から出版される『ユニバーサルデザインと自治体政策』のゲラがやっと来て、校正している(添削になってしまっているが)。久しぶりに読むと「文化」概念がだだっ広いままだしいろいろ悩ましいが、「文化政策としてのユニバーサルデザイン」という図はけっこうなものじゃないかと、そこを拡大コピーして教材にしようとしている。さらに、通りかかった志賀教授にも説明して、どう?どう?と聞いてみたりする。

新入生歓迎祭が午後から行われている。それで忙しかった今木さんや穂波さんが6/2のためのトイレ手洗い場数調査をしてくれたので、TAM研の掲示板に替わってアップする。すると、なぜか「88」という数字に作家の池田朗子さんが反応していて、なぞだが興味津々。

そのあと、うちのクラスでない1回生が3人きて、そのうち2名がTAM研メンバーになった。なんか去年よりも出足が早い。またTAM研メンバーで書道専攻の学生がハンコを造ってくれそうだ。問題はキャンパスマネーの使い方だな。

名画座は日本でどんどん減っているのだろうが、いまの実体はどうなっているのだろう。
久しぶりに京都みなみ会館へ行く。RCSメンバーに復帰しようと思ったら、明日からだった。ここの掲示板で客が少なくてがっかりしているという【ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ】はやっぱり客数は少ない。でも、客席には普段とは違う独特のヘアスタイルの男女がいて、なかなか刺激的。

それに、映画の内容もしっかりしていて、こんなミュージカルならオフブロードウェイでも観てみたいなと思った。歌が聞かせるし(作詞作曲:スティーブン・トラスト)、暴れかたも半端じゃない。それでオーバーアクションでないのは、それほど哀しみが深いからだろう。ただ、ミュージカルというのは善玉悪玉がはっきりしていてどこかシンプルな割り切りがある。そこがなあとは思う。

キリスト教以前、同性愛がタブーでなかった世界。その1つ、ギリシャ時代の神話が使われるアニメのイラストはなかなかに面白く、キュート。男と男が一緒だった太陽の子、女と女が一体だった地球の子、男と女がスプーンとフォークでセットだった月の子。アニメがあって分かりやすい。

旧東ドイツで小さいときにお父さんから犯される男の子。ヘドウィグお母さんもかなり割り切っていて、息子に自分の名前をあげる。お母さんが紹介した医者が主人公ヘドウィグの性転換手術に失敗。その股間に残る出っ張ったままの1インチが「アングリー(怒りの)インチ」だ。

2001年、92分。監督・出演・主演は、ジョン・キャメロン・ミッチェル。『ヘドウィグに素手で心臓をアシ掴みになれた。チキショウ。悔しい。あなたを愛してしまった。浜崎歩み』、この宣伝の仕方はちょっとなあと思う、まあ、いいけど。

4/6(土)

さきが山梨で熱を出しているという。そして下痢。JAM Westの源河君らも風邪らしい。大昔、自分も大学に入学してすぐに風邪をひき(それでもすごくゴージャスな受講登録をしてマイナーな科目ばかり顔を出し、渡辺守章教授のペスト論とか高橋康也教授の戯曲講座、高階秀爾教授の美術史などにも潜ろうとした)、高校卒業式で右手親指の怪我とが相乗して、朝起きると突然世界が真っ黄色になったことを思い出す。

目玉まで黄疸で黄色くなったのだ。緑色の便とか褐色の尿とか汚い話ながらその色彩は鮮烈で、昨日の映画に通じるサイケな世界だった。結局、それがたたって4年間は調子が出ず、でもしか公務員になったのだった。辞めるのにも時間がかかったしなあ。みんな無理しないでね。

はなは今日も酒游舘。昨日はNHKの取材の絵づくりになって、今日は酒游舘10周年記念で三上寛らのコンサートがあるらしい。

こちらは、五条のefishに行く。ちょうど、吹きガラス(glass works efish in a glass?)作家、詫間まりの展示初日になっていて、ラッキー。春っぽく上から球体が吊されている。こつこつ頭に当たりながら綺麗だなあと思い、詫間まりの作品からプレゼントを選ぶ。

初めは蝋燭立てを買おうとしたがこれは展覧会終了後に届くという。それでは手ぶら訪問防止という意図が果たせないので、大きな粒の模様があるかわいいタンブラー2つを買って端所長の新築へと急ぐ。アトリエ劇研にも近いお宅で静かそう。

4/7(日)

この1週間は、芸術探偵としては、ライトなウィークとなった。新年度だし、早く目が覚めるのは1つには春のイオンのせいだろうが、やっぱり講義の始まりが近づいているのになんだか準備が出来ていない不安のせいだろう。一応、リビングアーツをフィールドとする私はとれたての「時価」をむねとするといって自分をごまかすのだけれど。ぶつぶつ。

8時半、近くの小学校へ。投票所が開く時刻に京都府知事選のための1票を。昔は投票率を下げる訳にはいかない(自治省は選挙を担う部もあったから)が、どうも誰かに入れて政治を任すという考え自体がしっくりしないで、自分が福岡の選挙管理委員会事務局長だったときすら無効票を入れることもあった。が、今日はブースに入る直前まで迷いながらも有効票を入れる(この10年は殊勝にも投票しているが入れた人が通ったためしがない)。

その足で京橋、OBPへ。9:30、JAM West例会の開始1時間前に着く。広いアトリウム空間ではイベントのブースが並んでいる。そこを去る13時頃に、ふとメインステージを観るとコントをやっている。吉本の若手かなにかだろうと思っていると、あれれ、そこには知った顔が。そう、マジックランプの「吉兆」の連中だった。

これはそのイベントのせいではないだろうが、1階で例会をしている間中、耳鳴りのような不快な電気音がしてとても気になった。深夜に冷蔵庫の音が気になって眠れなくなるのと同じようで原因を調べてもらわなければならないなあ。

巨大なビルスペース自体人間には居心地が悪いわけで、今日のレクチャラー加藤義夫さんによると、最近はシカゴ美術館の人すら、小さな美術館ということを言っていて、でかい兵庫県立美術館の設計者安藤忠雄が自分の責任ではないと弁解していたらしい(でも、彼の作品は自然を取り込むが光熱費はとても高くつく)。

日本アートマネジメント学会関西部会第21回例会。まずは、旧年度の決算(01年度予算額35.5万円に対して50.8万円の決算額)承認。そして2002年度予算54.8万円の審議。6/29に行われる関西学生アートマネジメント会議運営費10万円が新規事業となる。

小さな予算だが少しずつ増えていて、5月末に中部部会が出来るとスリム化することはするが、学会全体としては広がっていく感じは確実にする。ただパナクリエイトに事務局を置かせてもらっているためにオフィス賃貸料を企業メセナしてもらっていることになるし、この辺りはまだまだ自立しているとは言い難いところ。ただ、パナクリエイトでコピー(これはカウンターをつけてもらってきちんと支払ったほうがいいのかも知れないが)をするなどの経費を拠出するために2.4万円を昨年度から計上している。

今日も初めて泉南の方でアーティストインレジデンスをしている美術家の中年男性の姿もあり、20名強の参加となった。今年になってから入ってもらった顔が多く、特に神戸大学関係が分厚くなっている。京都がやはり遠いこともあって、そちら方面は参加しずらいのかも知れない。

すでに6/2(日)には、関西女性アーティストファイルvol.2(タフ2)に合わせて例会を開くことは決めてあったが、時刻などが未定だった第23回例会の説明をする。

すなわち。京都橘女子大学清風館9401教室に、11時から。1000円程度の弁当を用意するので(スタッフ弁当と同じものなので、中西さんとぼくはカウント外)、人数を予め把握する必要がある(すみませんが弁当代は各人負担。お弁当を持参する人はその旨を事前に通知要)。遠いけれど大勢の参加を期待したい。食事をしつつ13時には展覧会の自由鑑賞。

14時からの公開セミナーには自由参加なので(参加料500円、定員50名)、別に京都橘女子大学文化政策研究センターへ申し込んでいただくことになる(次の例会には納谷衣美さんによる案内チラシが間に合う予定)。

さて、11時前からメインの加藤義夫さんのお話。
日本の画廊や美術館の特殊で可笑しい実状、アートフェアや展覧会の裏話、実体経済との体験的な関係把握、世界の現代美術界の実際を話し出したら、彼の話の面白さは尽きない。

若い研究者にとっては、テーマの宝庫だろう。それも美術運営という視点だけではなく、日本(経済)文化研究の一環として、頼母子講みたいな、あるいは公共工事の談合みたいな画廊業者間の「交換会」を考察するだけで気の利いた論文が出来ると思う。

(詳細はアーツ・カレンダー「こぐれ日記334」を)

そのあと、出町柳。14:30の京都バス静原城山行きまで少し時間があるので、古本屋をのぞく。すべて岩波新書で、姜信子「日韓音楽ノート〜〈越境〉する旅人の歌を追って」、中沢孝夫「変わる商店街」、田村明「まちづくりの実践」を購入。

大原の手前。たんぼ。八重桜がまだ充分楽しめる静市静原町。名前からして風流だ。ここの鈴鹿邸が今回公演とワークショップが行われる「北村成美のダンスアットホーム」の公演場所だ。企画はARTS STAFF NETWORKの小鹿さんらで、彼女は石田陽介さんという人とデュオで踊ったりもしているらしい。

バスで着くと、ちょうどワークショップが終わっていた。
このワークショップは、東山で砂連尾さんらのワークをしていたはなと同期の人たちも受けていたし、ミエ・コカンポーなどの制作をしている平岡久美さんと一緒に広島の舞踊家も2名参加していたようだ(名刺をもらったのは、D.D.K.ダンスクリエイトの玖島雅子さん)。

このお家はアーティスト鈴鹿芳康(ギャラリー恵風というところのオープニング展では小泉首相の写真が使われた作品などが出されているようだ)さん一家の自宅なので、もう美術品やかわいいお土産がいっぱい。建物も手づくりぽいしリビングが広く、今日はちょっと寒かったのでお庭を客席にする人はいなかったが、もう少し暖かくなるともっと広く使える。

ちょっとバザールカフェ的でもあり、実際京都造形大の環境を出た長女の鈴鹿亜美さんが、2004年春にオープン予定の【ART工房・CAFE的サロン空間】が楽しみ。
次女の鈴鹿樹里さんは今回のダンスのあとの交流パーティのシェフで(芳康氏も当日ペーパーにはクレジット)、そういえば、アートコンプレックス1928のモノクロームサーカス公演で彼女が作ったケーキを食べた。

すごく豊富なメニュー。あっという間になくなっていた。さて、桜の花まで食べたのは誰でしょう。
新潟産のオーガニック発表酒「麻物語」も今回うまかったし、何せ、芳江がいまいないので、ほんとに野菜がいっぱいでよかった。麩を揚げたり、オーガニックで肉を使わない料理でこれは週末カフェとしてとてもいい感じになるだると予感する。

ということで、北村成美の『i.d.』である。始まる前に後ろ足が不自由なここの犬がないていた。37回目。14:11〜16:38。上念省三さんのお家とかダンスアットホームも数回行われているらしいが、私ははじめてで実に面白かった。

(詳細は同じくアーツ・カレンダー「こぐれ日記334」をみてね)


KOGURE Diary/こぐれ日録》の扉へ戻る