こぐれ日録 KOGURE Diary 2002.11



192) 11/1〜11/3

11/1(金)

午前中、京都橘女子大学に出かけて、来年度前期2回生向けの文化事例研究シラバスを作る。専門ゼミと同じくこれも学生が選ぶものなので早く提示する必要があるからだ。今年から始まったこの授業「アーツセンター探訪調査」には多くのホールやギャラリーなどのマネージャーさんたちにお世話になった。

そこで、アーツマネージャーのみなさんに失礼のないよう、今度は芸術鑑賞に興味のない人やそれをする時間がない人は参加しないようにと、ちょっと厳しめの文言をシラバスに入れた。

今年度は3人一組で10組作ったが、やっぱり3人の間で、人任せになったり負担具合にばらつきがあって不満も出た。でも、(他の教員は人数を絞るため)きっと希望者は30名ぐらい来年度も出ることが予想されるので、今度は原則ペアで16組まで作ることに変更する。インタビューするときはやっぱりまだ一人では大変だということもあるし。

そうそう、端先生の事例研究でもアートコンプレックス1928が取り上げられて、小原さんにダブルにお世話になったので、他の教員との調整(少なくとも情報共有)をしておかないとフィールドに迷惑をかけるかも知れないということも忘れないでおこう。

文部科学省の認可の縛りがなくなったら、この2回生の事例研究などは発展的に解消して、出来れば全員が所属する2回生ゼミを通期で作りたいものだと思っている。2回生後期に所属する場所が池上講義TAシステムだけになってエアポケットになっているからだ。

アルティ(京都府公館会議室)に行く前に少し時間があったので久しぶりにバザーツカフェへ出かけて、デジカメで撮影。ここの庭やショップ(タイ少数民族の女性の作品を売っている「カレンの布」)などはやっぱり穏やかな感じがする。雨が降っていることもあり、時間も中途半端だったので、カフェの扉を開けず、ただ場所を眺めるだけになったが。
これも眺めていつも通り過ぎるだけだが、「わびすけ(あるいは)いもねぎ」という古風なお店も一度は入ってみたいところ。

さて京都府の会議は前半をうち合わせで、後半がヒアリングだったが、このあと西陣ファクトリーガーデンに行かなくてはいかなかったので、前半の議論(ブレーンストーミング)のみ参加した。そこでみんなが「生活文化」ってお茶やお花のことだという認識だったのには驚いた、いかに文化庁による文化を巡る矮小化が進んでいるかの証拠である。

また、「国民文化祭」の話が出て京都府議会のある議員が立候補せよと言われていて困っているという事務局の話を聴くと、いずこも同じだが本当に情けないことだなあと同情する。この国民文化祭という代物は国体よりも更にいかがわしいもので、少しでも良識のある自治体ならやらないだろうと昔見くびっていた自分の不覚を恥じるばかりだ。

この都道府県持ち回りの「祭」は、国民体育大会(「国体」と略されるのは故なきことではないだろう)と同じく1億円余りの補助金が出るだけで、その10倍以上のお金をつぎ込んでも各都道府県は誘致したりする(群馬県が広告代理店を通さないで10億円ですませたということが自慢になっていると聞く)というのだから、本当に何だろうなあと思う。もし京都府がこれをするようだったら・・・。

「国民文化」(非国民文化が勿論あぶり出させて「国体」統合へとなり次は他国への日本国文化「発信」となるわけだ)というタームも「(疑似的な)祭」(イベント)という大仰なマスメディア的仕掛けもどちらも禍々しいことで、もう20世紀の遺跡として葬られていいはずなのだが。

久しぶりに西陣ファクトリーGardenへ行く。西陣北座がきれいになくなっていて土の広場になっていた。長屋ができるという。でも土のままの広場って何だかいまどきは珍しくてこのまま子どもたちの遊び場になるのもいいなあと思ったりする。

岩村原太さんの千葉にいる妹さんが作っているガラスのコップが送られてきて、それをほとんど原価に近いお金で販売していたので、家族分さっそく購入。飾りを描いているのかと思ったらそれは泡(あぶく)を小さく散りばめたもので、何だか面白い味わいがある。

ここを支えるのが難しくなっていて、新しい協力者を募集している。うちの大学のゼミももう少し近ければここをゼミ室にできるのだがなあと思いつつ、とりあえず、照明のワークショップを来年度に専門ゼミで岩村さんにしてもらえないかなあと相談したりする。美味しいケーキにダルマストーブ。おでんは食べなかったなあ。それにお芋もストーブでほかほかしていたのに残念。

明日は麒麟同盟週間の公演、明後日は清水敬司さんのダンス即興と原太さんの照明ライブ、そして4日はアーツコンペティションのプレ公演。いまは2組しか応募がないが、その一組(一人)の若い男性が夕方やってきたのでぼくも少し説明してから、正直者の会へと出かけた。

アトリエ劇研も久しぶり。正直者の会「ルールとマナー」19:04〜20:50。作演出出演:田中遊。

田中遊以外の出演は、岡嶋秀昭、谷伸一(電視游戯科学館)、ファック・ジャパン(時折=お役所系では、名前の「ファック」がルール違反になり「F.ジャパン」とするらしいがそこは頑張って欲しいと思うんですよ、実は)、駒田大輔、中村こず恵(女性が入ることで男女関係の話がうまく入り広がりが出たけれど、女性なしでデートをする前のコントも味があったなあと逆に思わされたりもする)。

ずっと寝不足が続いていたが最後の前まで快調に楽しんで眠けさなどふっとびつつ楽しんだ。ルール違反っていっぱいある。マナーもそうだ。エチケットとどう違うかとか、たわいのない議論を真面目にしている。黒板を使うものはぼくは割と好き。授業でもこんな感じでしたいなあ、と見ていたりする。

ファック・ジャパンのフランス人ショートコントがずば抜けておかしかったし、「お電話する」ホテル事務室内コントはなかなかにおかしい。その中での不倫をテニスで引きずったり、ショートの重なりなのに、色々と前を微妙に引きずるところが田中遊の作品的魅力である。

後半の、人間(じんかん)距離などの交通違反講習会をもじった人間ルール講習会や、事件刑事みたての京野菜侵略ものなども面白いのだろうが、少し最後は草臥れてしまった。単にいま体力がぼくにないからだとも思いつつ。ラストはまだ磨き上げる余地があると思う。それにしても携帯もどんどん多様な意思表示、感情表現に使われている。携帯殺人なんていうのもあるのかも知れないな。

11/2(土)

今日は少し朝目覚めるのが遅くて少し睡眠不足は解消されたが、まだ微かに頭の芯が痛い。ほんとに歳をとると未明に目が覚めるので困ってしまう。リボンゼミ生がこの前先生は朝早くにメールするから迷惑だと言っていた。これでも4時や5時にしないで、7時半ぐらいまで辛抱しているのだが。

神戸アートアニュアルは1996年からだというから、7回目ということになる。神戸駅に降りても神戸アートビレッジセンターの表示は見あたらないような気がした(そんなことは今まで気にしていなかったが)。
KOBE ART ANNUAL 2002【ミルフィーユ】。この前辻さんに説明してもらうと、うちの学生には親しみやすい展覧会のタイトルだったのだろう、なかなかに好評だった。

爽やかにそれは重なっているが、さてそれを食べようとするとなかなかに食べづらいケーキという印象があるミルフィーユ。一つ一つの層がけっこうかっちりしているのでフォークで切り取りにくいのがこのミルフィーユだ。毎年替わる主任実行委員は今年は、児玉靖枝(成安造形大学教員)。

明日にアーティストの座談会があり、9日10日はゲストトークがある。トークは毎年の企画だが参加する若いアーティストたち(9名)がぜひ会いたい人に来てもらって交流するという発想がなかなかにステキだ。そして今年はアーツマネジメントの導入(インターンスタッフ)があって、今日も夕方にはギャラリートークがあるはずである。
(詳細内容はアーツ・カレンダー「こぐれ日記396」をみてね)

美味しい博多ラーメンを三時のおやつみたいに神戸駅へ向かう途中に食べてから(だから肥るんだけど)、フェスティバルゲートへ。初めて、4階のremoに入る。dBと違って全然手を加えていない。でも、むき出しの天井と古風な座布団がなかなかにマッチしていた。最高なBGM、骨董品ぽい和物だ。

CINEMA DIGITAAL PRESENTS。オランダのアムステルダムでやっている催しをここですると板井さんの通訳でオランダからの外国人に教えてもらう。4つの映像作品(Part1:Old Experimental Shorts)を見た段階で、16:45になったので、「踊りに行くぜ!!」の会場のアートシアターdBへと移った。J.F.ケネディの暗殺シーンを実際の場所で実際の目撃者の感想を聴きながら10年ぐらい後に再生するために、映像を撮っているところのドキュメント(The Eternal Frame)が特に面白かった。

「踊りに行くぜ!! vol.3〜JCDN全国パフォーマンススペース間のダンス巡回プロジェクト〜」は、4組。各ホールでオーディションが行われるようになっている。地元だけでなく他地域に行って公演するのでその間にダンスが変化するのが意義深いのではないかと水野さんが話していた。

福岡市からはDance Samadhiという3人組のグループが参加。多くのメッセージを入れ込もうとしていたそうだが、見ていると少し演技(振り)的なものが多くて、そんなに力んで見つめても、それだけでは見えないものは見えないしなあと思ったりした。力を抜けば自ずから身体そのものの豊かさが溢れだして見えてくることがあるに違いない。でも福岡にもかなりダンスの動きがあるということを知って嬉しい。

東京は伊藤郁女が参加。若くて、出だしとかははっとする。でもそのまま最後まで同じように続く。こちらは逆にもう少し踊りに溺れないようにすればもっと思索する身体を獲得できるのではないだろうかと思いながら見る。

前橋から来た山賀ざくろ「えんがちょ」は今日の大いなる感動と発見で、最後の北村成美「ラベンダー」の思い切りに匹敵する確かさに満ちた無音の踊りだった。あとのトークでも感想を言わせていただいたが、面白い歌謡曲を使うのはステキなのだが、音楽と歌詞に踊りが流されて(即興も意外と不自由なのだ)、間やメリハリにかけてしまい、そこがもったいないなと思った。

北村成美が「かつあげ」被害に遭ったというのには驚いた。でも被害を創作にするところが転んでもただで起きないしげやんのすごさ。長いスカートを卵の袋のように胸につけて泳ぐメダカなのだろうかしらと、自分を晒す北村成美の遊泳にただただ感服するばかり。小さい体から徐々に大きくなっていく冒頭も記憶に鮮明である。

11/3(日)

さきが珍しくぼくとデートしようというので、一心寺シアターで講談を見ようとか、remoにも行こうとかぼんやり思っていたが、まるで違う一日となった。芳江は学生時代の友人が徳島で絵画の個展をするのでその応援に行きしばし不在。はなはこの前に京都橘女子大学で出したイラストを買った人が50枚買いたいとぼくに言うので、そのために新しくイラストを描いたのでそのコピーをしに出かけた。

朝8時からさきと行ったのは、東寺のがらくた市。そして大阪へ移って中崎町と堀江である。堀江のA-styleで食事した後ぼくは1階のハンガーで可愛い動物の木のおもちゃを買った、明日からの應典院アーツリボンゼミ展示に使うために。SUMISOへも寄った。どこか大阪的イラストレーターたち(特に京橋駅前で大きく扱われているタイプ)のにおいがした。


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