こぐれ日録 KOGURE Diary 2002.11



193) 11/4〜11/7

11/4(月、休日)

さて應典院コモンズフェスタ2002「対話のレッスン」の初日だ。風が強くて冷たい。この風は対話をすることがどんどん難しくなっているいまの時代と社会の環境を象徴しているのか。5回目にして欠席してしまったと大連寺の仕事で忙しさが増した秋田光彦さんが、夕方戻ってきた。

13時過ぎに来た京都橘女子大学のアーツリボンゼミ生のうち3名はかなり迷ったようだ。日本橋からの方が迷わないかも知れない。あとのゼミ生は11時には揃って、忘れてきたスケッチ帳をJAPANに買いに行ったり、案内の紙を書いたりして、彼女たちのアーツ日記(第一歩)を展示する。

ゼミの人数も昨年度よりも少ないから工夫してねと行っていたら、ぬいぐるみ(UFOキャッチャーでつかんできた大きな動くものもあったが)と想い出の写真を持ち寄るという企画になって、タイトルがあれこれ意見を出していたようだが結局大胆にも「青春」となっていた。これには多くの人がのけぞっていた。

Art Collaboration Project『By Your Side』の展示は、中西美穂キュレーターが、井上廣子作品を1階に展示している。何だか真剣なので話しかねないようにする。田尻麻里子の大きなコピー顔の方は昨日に展示済み。これからクッションが届くのだそうだ。10日の公開ゼミはこれでごろごろしようかなあ。でも余りにもリラックスしすぎて大丈夫か。

10日ゼミの後半に予定している「本を読む」應典院バージョンは、結構面白いアイディアが出ている。これも企画倒れにならないように、周囲の迷惑の問題とかをクリアすることもあるし、時間配分を目配せしなくちゃいけなくなるだろうな。

オープニングイベントは、まず13時から『まるでまる。』というパフォーマンス。つき山いくよ+辻野惠子のどちらかというと瞬間芸的アートが今回は後半ダンス的に時間を意識した作りになっていて、その分、学生たちには難しかったようだ。30分間もあるから、これはもうちゃんとしたダンス公演とみなしうるもの。
丸をころがしたり、丸をもちあげたりする前半。こだまとひかりとのぞみの歌あたりにみられる「瞬時の感応」の爆発性は昔と変わらずとても面白い。ただその「瞬時の感応」だけで見せるのではなく、それを一度離れて身体で表現する所へと二人は向かっていることが分かる。だからぼくはかなり興味津々で後半も見ていた。まあ、その後半にもフラフープと阿弥陀仏の丸い光の対比など、遊び心が充分あるものは見られたわけだけれど。

そのあと、フェスタに参加する団体のプレゼンテーション。福祉やNPO、NGOなどアーツ以外のものも多く、文化政策学部の学生みんなに是非聞かせたい内容ばかりだ。うちの公開ゼミのプレゼンでは、遅れてきた中野さんが日記を持っていたので、それを前に並んで座っている原田さんと三大寺さんに持たせた。久野さんが一人で発表するので、二人の役目がない(10日は中心になってもらう予定)なと思ったからである。

その後ナビゲーター中西さんによるギャラリーツアー。そしてオープニングパーティ(交流会)。美味しい食べ物が残っていたから、持って帰りたさそうだった学生には、もう少し残らせていたらよかった。
そして学生はみんな帰ってしまって残念だったけれど、「詩の学校」参加者によるポエトリーリーディング・ステージ「OSAKA感情線」。上田假奈代さんは先生と呼ばれていて微笑んでしまう。参加者はみんな彼女をとても尊敬し、参加者同士が愛に溢れていることがよくわかる発表。最後の群唱(「詩のオーケストラ」)は、昔々小学校の卒業式にかなり力を込めてやった詩劇(もちろん幼いものだったが)を懐かしく思い出させてくれた。

11/5(火)

コンソーシアム京都の地域行政論が一番少ない人数になった。でも、何名でも大丈夫なのはパワーポイントのおかげもある。ただ、物理的に広い教室が寒かった。
前回に碧水ホールを例にして舞台芸術と地域行政の話をしたところ多くの質問や感想が出た。そこで、先週のこの日録に箇条書きしていたところタイミングよく上村学芸員から丁寧な返事が今日の朝に返ってきたので、さっそくそのコメントもレクチャーに使わせてもらう。合併問題などはここだけでなく各地で文化行政にどう影響するか、大いに心配でもあるし、応援できることがあれば何とか議論に混じりたいし提言なども行う必要があるのかなとも思う。

應典院へ出かける。昨日に展示したうちのゼミ生のアーツ日記展示部分に写真を学生が飾ったのだが、それがあまりにも少ないので、いままでのゼミ風景と昨日の発表写真を追加するためだ。それとともに何か参加しようと思っていたらちょうどトークカフェが川井田さんらによって企画されていて、それに混じることとする。

すると、思いもかけず演劇のアウトリーチとしてとても興味深い対話のセッティングになっていた。すなわち、南船北馬一団の作/演出をしている棚瀬美幸さんが中心となって、今月22〜24日までおこなれるOMSでの『帰りたいうちに』の一部を素読してもらうというもので、それ以外にも色々な演劇に関わる話が雑談風に話され合った。
きっと、演劇を見に行きにくいと言っていたボランティアの2人にとっては特に演劇の作られる過程を垣間見られる素敵な機会になりぐっと親しみが沸いたのではないかと思う。ぼくもこうやって演出していくのだということが分かってとても面白かった。

11/6(水)

久しぶりにアーツリボンゼミ。でも、10日のリハーサルや打ち合わせなので、中心は久野さん、三大寺さん、原田さん。そうそう、久野さんのお母さんがこれを読んでいて、変なこと書かないでよと彼女は言うので少し遠慮しているが、まあ、面白く忙しい学生の一人であることには間違いない。「歌詞を読む」という企画を彼女たちが考えていて、いまはやりの歌詞を三大寺さんや前川さんが読んでいると、まったく知らないものだけにとても新鮮で心に入る。

逆に久野さんが美空ひばりの歌詞を読んでみせたがそれもなかなかだ。うまくきちんと読んだら何とかステージになるのではないかと思う。当日は他の方々の邪魔にならないようにこちらはガードマンしたり、声の大きさや速さを調整させたりする必要があるだろう。鈴木さんは音楽に特に思い入れがあるから美空ひばりの歌詞でも読んでよと言っても読まない。何だか特色が出る。二村さんは携帯で時間を計ってくれる。彼女は100%ORANGEトークショーのときも展示の工夫をしてくれた。

入学課の小川さんが来て、ぼくがどうしてこう学生たちとピーヒャラピーヒャラとやっていけるのかと感心して言う。まあ、きっとアーツマネジメントの仲間だったらこんないい加減な振る舞いではいかんと思うが、まあ、彼女たちへのアーツのアウトリーチだと思えば、色々な障壁が待ち受けているほうがこちらも対応しがいがあるし、ここで少しでもアーツの自分なりの味わい方ができて、コマーシャルアーツにおぼれない学生が一人でも出てくればめっけもんだと思うからだろうな。

編入の学生が研究室を訪ねてきて、地域文化芸術論のレポートについて聞きたいと言う。安くて近いものはないのか?どうして演劇とダンスだけなのか?音楽ではだめなのか?などなどと詰問するので、たじたじだ。宝くじコンサートは安いのにそういう安い演劇ダンスが見あたらないと言うので、彼女の故郷を聞くと松山だった。

そこで、授業だから半強制的になるけれど、自分がなじみのないジャンルを鑑賞できるのは逆にラッキーでしょと答えておく。もちろん松山でコンテンポラリーダンスが行われていることなど知るよしもない。彼女が帰ってから少し調べると、中之島公会堂で今貂子さんらが無料で踊る企画があったりするし、結構捜せばあるのだ。何のために1階の壁にこうしてチラシをぼくは貼っているのだろうか?とその存在すら知らないだろう学生にちょっと寂しくなったがまだきて間もない編入生はそんな余裕がないのだろうと思い直す。

教授会があって学部教授会。小森さんが、インターンシップの報告会でほとんどの学生が書いたものを棒読みしていたと報告。でも、こういう報告だと企業面接などはまるで無理だから、紙を余り見ないでアドリブも入れて話す練習をすべきだと彼は言うしぼくもその通りだと思った。

11/7(木)

この日録に、読者の声を反映させるべきだなあと昨日の上村さんのメールでも強く思ったので、掲示板を作った。題して「【日録駅】★こぐれ芸術交通★提供」(http://8506.teacup.com/kogure/bbs)」。よかったらご利用下さい。


TAM研はいつものように賑わっている。清風館1階軒先劇場(ピロティ広場)で来週の2日間展覧会(「ROUGH」というタイトル)をする和田さんと大川さんが来て、準備などのお手伝いを依頼していた。この土日の手伝いにもかかわらずやりたいというメンバーが出て、ちょっとTAM研もすごいなと感心する。

一方、昨日サークルの会議があって、やっと文学部メンバー中心の「√TAM」(アートマネジメントを全学的に開くという意味らしい)が結果的には承認されたそうなのだが、これにTAM研のメンバーが反発したらしい。これはいまのメンバーが去年のTAM研の経過を知らない人ばかりなので起こったことなのだけれど・・・。

まあ「TAM」という名前を使うならもっと仁義を切れということなのだろうな(説明している学生がマフラーしていたことにも切れていたという)。こちらも少し彼女たちを侮っていたのかも知れない。でも、TAM自体、ぼく的にはトヨタアートマネジメント講座のパクリ(コバンザメ商法)でもあって、それを言い出すとお互い様なのだが。

でも、アーツマネジメントのサークルが出来れば、文学部にも広がるし部屋も出来そこに予算もついて京都橘女子大学全体のアートマネジメント環境にはいい話なのだが。それに、うまくいけば、文化政策だけの学会研究会よりも自由な組織なので、TAM研を卒業したりして飽き足りなくなった人たちがそこに入れば、良い意味の競争関係にもなって、手前味噌になりがちな世界を脱することも出来る。でもまあ、一度仁義を切るために手打ち式でもするか。

来年度に初めてする授業のなかで、3人の教員が一緒に行う「文化のまちづくり1〜大都市圏と中山間地域」の講義のシラバスを考えていて、その関わりでCAP HOUSEの下田さんやOBPの松本さんに電話する。神戸市との交渉は毎年のことのようで、ほんとにこれでは来年度のことをどんどん企画するのも大変だなあと思ったりする。
明日は同じく来年度前期予定の芸術鑑賞演習のために、いくつか劇団の来年度前期の動きを当たらないといけないな(上原さんも持つ予定で、彼女はきっと音楽などでかつすでに完成された芸術を担当するだろうから、ぼくはこれからの芸術を担当することになるだろう、特に演劇ダンスをメインとして)。こういう授業はまだ起きていないもののセットなので臨機応変な対応が必要だが、シラバスを作るタイミングはどんどん早くなるからなかなか難しい。

べらぼうに早く水口城南駅についたので、図書館に入って新刊本コーナーにあった石垣りんの詩集を読んでその平易な言葉から紡ぎ出される確かな生活の声を聞き出したら、エンヤが流れ出して閉館となる。17:30までなのか。あと30分延びていたらゆっくりできたのになあ。

仕方なく準備中の碧水ホールに入る。ボランティアスタッフHVSのミーティング中だった。館長は出たり入ったり。上村さんが中心だ。はながカセットを渡してくれと言うので渡しておく。劇団ニットキャップシアター「おっぱいブルース」のチラシも送っていなかったようなのでそれも。久しぶりに上野市文化都市協会の秋田智英子さんと会う。3年ほど総務で経理的なことをしていたがやっと事業課に戻ったという。予算はしんどいが60以上ある施設をうまく使う工夫が出来るかも知れないと話していた。

集客は大変だったということ。でも、結構いい感じでホール内は収まっていた。椅子の並べ方ですかすか感を減らしているのだろう。『うまし国 やさしき人 ジャズと舞で綴る幻想詩〜フィンランド・日本芸術交流コンサート』19:06〜21:05。フィンランド人の宣教師さん(世界には洗礼派の信者がでの4000万人いると言う)が隣に座って色々と話しかけられる。(詳細はアーツ・カレンダー「こぐれ日記397」をみてね)


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