こぐれ日録 KOGURE Diary 2003.8
8/1(金)
午前中、ブロードバンドの設定に、サービス会社の人が来る。マックは慣れないということで、少し時間がかかる。
今日は、田坂州代さんから案内があった邦楽のメッセが大阪府国際会議場であったのだが、組合の職場集会が18時からあって出られず。ごめんなさいね。
8/2(土)
朝、山本禮三さんの南瓜と唐辛子とトマトと水ナスを手に入れて、大学へ行く。午前中のAO入試の担当で『スローライフ系芸術をプロデュースしよう』の70分間レクチャーに使うためだ。
51名の聴取で、31名の受験。今年はかなり多い。採点をしているとかなり時間がたってぼくだけになってしまった。なかなかに面白い企画も出ていて、微笑む。林の中のプールでアートと一緒にぷかぷか浮かぶ企画とか、町中のポストや電話ボックスを使う企画などオリジナルな発想が飛び出していた。
大学院でアーツマネジメントを勉強したいと思う2名の人が来て、本などを紹介する。トヨタのアートマネジメントセミナーを受けた人などがいて、つながっているなあと思う。
いい気持ちで夜早めに帰る。はなが珍しくうちにいて、8/8の渋谷アピアの彼女のタイバンをインターネットで探してあげた。
8/3(日)
午前中、さきと世界史を勉強する。トルコあたりの近代史ってぜんぜん知らないことが多くて面白かった。そのあとびわ湖ホールへ。招待状が届いていなかったみたいで(こちらの不注意のときもあるが)、向こうから協力依頼の電話があったときに口頭で行く日を伝えただけだったので、もし入れなかったらダンスピクニックだけで帰ろうと思いつつ入る。でも、そんな心配は不要だった。スズキコージ・ライブペンティングが行われていて人が取り囲んでいる。分かりやすいイラストだ。
中ホールのダムタイプ『Voyage』を見る。古橋さんが亡くなった後の『S/N』をアルティで観て以来だ。関係者の顔顔顔。遠藤さんにはじめ50分ぐらいと聞いていたら75分ほどだった(15:05〜16:20)。彼女が2つほどピースが追加されていたと言う。どれがそうだったかまでは聞かなかった。おとなしい作品だった。前の「メモランダム」を知らないから何も言えないけれど、「静かなサーチ」がテーマだろうとは思った。
オランダで観たパノラマ館のことを思い出した。あまりに傍観者的な「サーチ」なので遠くにそのステージはあって、ときおりしくしく泣いているように思えた。出始めの女性ソロの動きは骸骨のダンスみたいだった。地球の地図が出てくるところは眠くならなかったが、ほかのシーンは少し睡魔を誘うように作られていた。登場する人たちの顔が見られずきっと個性がないのがいいのだろうが、何だかこのあとの色々なダンスと比べると少しそれが原因で寂しくなって、何を観たかをすぐに忘れてしまう要因だろうと思う。
無料のダンスピクニックはよくできた企画である。うちの学生が見あたらないのが寂しいが。みやじけいこさんとか久しぶりの顔もあり、10/12(大学でする「手のもの市」)に何か出してよ、というとちょうど展覧会だと言っていた。清水君はぼくの本の表紙を何も手をつけていないらしくてJCDNで忙しい、と。セレノグラフィカの隅地さんは来てくれそうだ。志賀玲子さんはアイホールでワークショップか何かがあるという。
17時から18時すぎまではダンスピクニックだ。これだけ観ても楽しい。寝癖のママの、山下残くんの頭のスタイルがなんともかわいいな。まずセレノグラフィカ。背景がカフェでその向こうがガラス越しの琵琶湖。手前は丸くイスが並んでいて、いまはそれも舞台だ。カフェを仕切っている手すりに上がって後ろ向きに座っている二人、琵琶湖を観ているのかな。前半は親指と人差し指でつくった丸(お金のマークであり、シャボン玉を作る円のようでもあり、そこから何かが客席に放り込まれる魔法の穴でもある)を執拗に使った面白いダンス。
後半は、頭をボールにしたような遊び、コンタクトインプロヴィゼーションぽいダンスで、音楽は小太鼓と笛ぐらいのちっちゃな鼓笛隊の音楽。この場所のことはあんまり考えずに(終わりもうまくストンと落ちて幕替わりにしていたが)、きちんと作品づくりをしている前向きな態度が彼ららしい。色とりどりのダンス衣装はピクニック気分を演出し、ダムタイプの公演のあとどこか顔の見えなくなった世界を思って寂寥感が漂っていた場を、ちょっと明るくしていた。
次に円が作られてそこに入り口からゆっくりと手塚夏子がやってくる。彼女のめだまの形とかが伊藤裕夫さんにとても似ていてそれを思うとどうしてもにやにやしてしまう。ニブロールでいたこともあったそうだ。一人だけ東京からの出演。ゆっくりとまわりながらただぶるぶるしているだけの踊りで、ずっと目を点にして観ているアベックの顔を見るのが楽しかった。そうしてみたかったからそうしたのか、これが私の全て!なのかは初めて観たのでよく分からないが、2番手にこのように手数の少ないソロダンスをプログラムするのは実に巧妙でよかったと思う。
最後は野外である。今日からやっと夏になったなあという天気で、これだけでシゲヤンはえらい日焼けをしていた。面白いのは、彼女が地味なTシャツで2列目あたりに座っているとほとんどの人は北村成美がそこにいるとは気づいていなかったことだ(ぼくはそれを観ていたが)。
音楽がなり始めてもだれもやってこない。その不在の時間を食いちぎるようにシゲヤンがTシャツを破りパンツを脱いでやってくる。ピンクの水着(上部はもう一枚あって、それは途中で脱ぐ)。3つに分かれていて、はじめは芝生に転がったり客席に近づいて元気づけたりのダンス。
つぎにペットボトルの水を口に含んで吹き付けたり、頭からかぶったりするダンス。水の応援で太陽と乾いたコンクリに潤いを与え、ぼくたちの固くなった気持ちを開放してくれる。彼女の髪の毛が濡れて水しぶきが飛ぶのを目の前で観るのは爽快の一言につきる。最後にピンクの縄跳びを使ったダンス。足首につけて回るなど、どこかサーカスとの類似性も感じさせてくれるもので、ピエロとダンスと手品が一緒になって夏の空を彩っている感じだ。
無性に喉が渇いて一杯だけビール、500円。飲んだらすぐに地下のリハーサル室へ向かう。チケットがとれなかったのは仕方がない。小さいキャパだからだ。そういうところに笠井叡の振付で山田せつ子と木佐貫邦子が踊る(あと2名は外国人)のだから、それは大きな期待となるのは言うまでもない。実際、いろいろな感慨を抱かせてもらえるステージだった。19:00〜20:22。
『誰でもないもののイヴ』。やっぱり最後の方の山田せつ子と木佐貫邦子のソロがよかったように思う。それまではどこか笠井叡が踊る形(これは静岡で見たときとかなり似ていた)を不器用になぞっているようなぎくしゃくしたものだったり、ちょっと訳ありで(文芸的な意味づけをして)踊っているようで気持ちが落ち着かないものだったりした。
でも、さすがベテランたちだ。最後は息つくひまもなく繰り出されるダンスをみやることができた。黄色のスイカも両側に映った青空と雲もダムタイプのような空虚感を感じさせることなく存在している。途中、ふと、木佐貫さんが彩の国さいたま劇場でステージラボの一環で踊ってもらったこととか、たまたま彼女の若いときの「てふてふ」を妹と観たこととかを思い出したりもした。
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