こぐれ日録 KOGURE Diary 2003.2



223.2/24〜2/27


2/24(月)

近鉄小倉駅から宇治市立小倉小学校へ向かう。ぎゅうぎゅうした町だ。ここの先生でエイジアスの糸井登さんが校門近くで立って待っていてくれた。ぼくがどんな人だろうと思ったという。で、どんな人だったと思っただろう。こちらは、優しい小学校の男の先生という想像通り。音楽も美術も好きだしインターネットも国際交流もてがける柔軟な人が糸井さん。背が高くて軽快なルックスだった。

和室にはすでに劇団衛星の蓮行さんと紙本さんがいた。今日は、蓮行さんがなんと6年1組に演劇(身体表現)で文章題(つまり国語と算数の合体した、なかなかに苦手の子の多いところ)を教えるというのだ。給食が運ばれる。余った分を各教室からかき集めてくれたのだ。容器が昔と同じアルミでけっこう質素(カレーシチューにサラダ)。

あとできた船橋市の中学校の先生でいま千葉大学院にいる小塚さんらがいうのは、現在の給食は学校によって色々で、千葉あたりでは陶器の食器らしい。小塚さんらと書いたが、この企画は千葉大学の藤川助教授らの研究室が関係しているようで、ぼくはのほほんと給食を食べているが、藤川さんらは前後いろいろとチェックしている。

今回は、演劇の楽しさを伝えるというのは副次的なことで、基本は新しい教育の法方論探しのようだ。そして、「見るだけでいやになる文章題だって、こうすれば入り込んで内容を理解し自分で解けるかも知れない」という安心感を生徒たちに与えるのが一つの目標になっていたと思う(糸井さんの希望できちんと算数の教科書を進めていくという前提だったので、算数としての目標はいろいろあるから、それはそれは大変なプレッシャーを蓮行さんは受けたのだろうが)。

でも少なくとも、安心感を与えるという目標には充分な手応えを感じられたようだった(今日の生徒たちもまた中学校に入っても文章題を持つ数学が待っているわけだ、それに幾何の照明問題もあるし)。45分間で「らっしゃい」演技をし、あるいは普通電車と急行電車の顔対決へと誘導するだけでそれはとてもすごいことで、これから算数の式たて(あるいは解き方の説明)へといくのには、ちょっと時間が足りなかったのは仕方がない。

無責任な立場から言っているのだけれど、新年度もし続くならば、うまく脚本づくりという形で文章題を読解したりする部分と、実際に算数問題として説明出来るようになる部分とを蓮行さんと糸井さんが分担し、そのうえでうまく接合していけばより素晴らしくなるのではないかと思う。

立命館大学の青木さん福原さんも来ていた(教え子というのは不遜だが、立命館でもアーツマネジメント研究会にようなものを新年度に作る計画なのだそうだ)。小学校内にはいたるところに、美術の林加奈さんワールドが展開していて、生徒も含めてどんどん変化していっている空間(お茶飲み場)なども出来ている。でも周囲に不審者が出たので集団下校になっていたりして、楽しい小学校生活を送ることは何かにつけて大変そうなご時世であることも痛感させられたが。

18時から組合連合として理事者たちとの団交(といっても今年度の締結のための儀式的なもの)があるので大学に行く。アートシアターdBのダンスサーカスは、今日も明日(教授会があるし)も見られない。残念だ。

2/25(火)

少し布団をかけすぎていたためか、未明、3時頃に目覚めたまま寝直せず、一日中ぼーとしたままだった。最近どうも少し気分がすさんでいるので、八つ当たりしないよう自重気味に一日を終えた。

12時前にタフ3のコーディネータ小鹿さんが、農事組合法人モクモク手づくりファーム農業生産部野菜づくりチームリーダー布瀬真央さんを連れて大学に来てくれた。
「農」の関西女性アーティストというわけだ。大学内に“農”を取り入れるといたってすぐにはじめられるわけにはいかないから、事前に下見をしていただくためだ。自然素材を使ったプランターを並べたり埋め込んだりするのがいいかなとい話を二人がしていた。聞きながら、宮永甲太郎さんの芝の種がレンガの間から生えていく美術を思い出した。

2004年度の入学案内に180字のコメントが必要だと入学課の小川さんから言われたので、「“いろんな芸術を友だちにするといいことあるかもね”と、散歩にいざなうように芸術を身近にしていくのが、私の担当しているアーツマネジメントという分野です。いま演出家が小学校に出かけ、シーンに入り込むように文章題が解けるようになればいいなと、生徒や先生と力を合わせて算数をお芝居にする試みも行われています。本学ではこんな愉快な芸術の現場を一緒に学ぼうと思っています」と書いてとりあえずメールした。昨日のネタがそのまま入っている。最近はこういうパタンが極めて多い。記憶の短期保存しか出来ないからだ。

葬祭プラザというサイトをぼんやり眺めていると、アメリカ海軍と海兵隊がいま葬祭ディレクター(エンバーミング資格も必要)を6000ドルのボーナス付きで公募しているという記事があった。戦争と葬祭という息苦しすぎるが重要なテーマがまた浮かび上がってくる。

2/26(水)

生協には卒業するために必要でなくなった4回生の洗濯機や戸棚などがリサイクルのために並べられている。これから入る学生と親が下宿選びの相談をしている。のどかだけれど閑散とした大学内である。公務員試験のためのゼミナールが生協によって開かれていて、文学部の顔見知りが「数的処理」はお手上げと叫んでいるぐらいしか、これといった動きはない。

夕方、京都橘女子大学文化政策研究センターの運営委員会を急きょ開きたいということだったので何事かと思ったら、センターの位置づけの議論だった。実質的な対応の方が大事だと思うのに、どうも形式主義的な話みたい。たとえば冠婚葬祭的アーツマネジメント研究について文学部の教員さんたちが関心を持つのならば、プロジェクトに参加したりしたらいいのでそういうところから始まるのが一番いいんだけれどな。

「小倉小の四季」という糸井さんの一昨日の日記サイトには、ぼくのことも書かれていて、ちょっとこわそうなスーツを着た人物だと思ったら違っていたとあった。こぐれ日記とか日録を読むとかなり闘争的な人だと思われるのだろうか。まあ、実際いままで中途半端にそうだったし(感情的な部分がたぶんに含まれるところもあり)、いまも余裕をなくすと、そうなのかも知れないな(気をつけよう)。

2/27(木)

入試関連業務をしていた。組合の仕事をしていると、ああこの業務は今年から入試の手当がつかないのだなあとか考えてしまう。いままでは一律に手当が出ていた部分がなくなったからだ。だから次年度からはもっと無駄をなくすように人員を配置するべきだろう。うちらのように11名の受験生に4人の監督とか、受験生の前に面接者が4名も並ぶとかは明らかに多すぎる。

神戸アートビレッジセンターへ。何となくぱっとしない日はついコンビニで酒を買って飲んでしまう。ちょっとゴッホみたいだなあ〜読みかけの『耳を切り取った男』(小林英樹、NHK出版、2002.7)はなかなかにいける。KAVCチャレンジシアターの一つ、エンタテインメント部門の「PEOPLE PURPLE」(作・演出:宇田学)という劇団の「eternal BLUE」を見る。2時間弱。

「翼をください」の女性デュオは聴かせた。あとは、キャラメルボックスをもっと説教くさくしたようなもの。どうしてサイボーグを開発した女性研究者が鉄砲で撃つのかよく分からないしテレビネタみたいのが多くてぼくの世界ではない(客演で出ていた2人が所属するエビス堂大交響楽団という劇団も似たようなものなのだろうか、人気があるように聞いていたけど・・)。

が、客席には年配の女性が多くて、バックトゥーザフューチャーねたの部分で涙腺がゆるんでぐすんぐすんする人が多かったようだ。アンサンブルゾネの公演でも年配女性が見られたし、そういう面でKAVC客層の多様性を感じさせてくれる公演だった。帰りもまた酒がお供。帰って食事は少しだけにして、インシュリンが出るのを押さえる補助食品(スティック状のもの、さきが試していてダイエットになるという)をお湯に溶かして飲んだ。


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