こぐれ日録 KOGURE Diary 2003.3
3/28(金)
午前中松本さんが来て、OBPアーツプロジェクトとJAM Westの準備と打ち合わせ。学会本部への上納金がとても多くなるので驚く。学生会員の多い関西部会としたら、上納金が学生料金よりも高いというおかしなことになっているからピンチである。これは改善してもらわなくちゃいけない。
午後から鈴木京一記者からご依頼のあった記事を書く。14字×56行(あとの1行は名前)。ぼくは昔何字以内に書くという試験問題が得意だったのだが、それぐらいしか逆に言えば勉強した意味がなかったみたいな気もする。ただ紙面には禁則処理というのがあるので、また微調整があるかも知れない。
夜は京都芸術劇場春秋座で『門 gate』を見る。19時半から2時間。回り舞台が大きくて踊り手が小さかった。砂連尾理+寺田みさこはそれを意識して走り回っていた。後ろ向き寝転がりとか面白いものがあった。山田せつ子は久しぶり。文字を書く動きをダンスしている。作品・空間コンセプト:太田省吾。
音楽はカン・テファンのヘビのようなうねる音以外には特段何も思わなかったし、それ以外の踊りもただ時間が経過していっただけの感じがするが、これは疲れていたことや、通ぶって劇場の端に座ったからかも知れない。
帰りdotsの女性に挨拶された。あの大量の服(アイホールのこの前の公演のときの美術)は紙屋さんから1.5トン分を買ったのだということ。いまはそれをどこに置いているのかな。
3/29(土)
さきが昨日こしらえていたオーガニックなパン。昨日は喫茶六花で5つ売れて(でも一人の女性が5つ買ったということ)、今日は7つも売れて完売したという。明日はまた違うパンを作るのだと張り切っている。はなは28日のライブがいまいちだった(これは単に外部の反応がなかったということらしいが)ということで、少し悄げていた。
さて、現金なものだといえばそうなのだが、劇評を書くということで今月は芝居をいつもよりもきちんと観た気がする。その面白さを再発見したなんていうと、いつもそんなに観ていてどうして?って言われそうだけれど、やっぱりマンネリになって観ていたのだなあと反省することしきりなのである。
他方、昨日(春秋座「門」)がその典型なのだが、踊りについてピンとこなくなっている気もする。どうしてだろう、あんなにダンスを観ながらさまざまなイメージが浮かんだり言葉が踊っていくときもあったのになあと不思議で仕方がない。きっとまあ、演劇とダンスは同じステージアーツでもちょっと違うところを刺激するので、鑑賞者に与える影響にもトレードオフの関係があるのかも知れない。
そんなことを思いながら、初めての此花区民ホール(四貫島)へ向かう。ちゃんと路線図を見ておけば、京橋から西九条までJRで行き、そこから阪神電車西大阪線で一駅(千鳥橋)なのに、尼崎から引き戻したので時間がかかってしまった。此花区民ホールは千鳥橋駅からはすぐ。
『CONTEMPORARY DANCE in KONOHANA〜ダンス新発見〜』。大阪市芸術文化アクションプランのなかの、地域文化振興(ボトムアップ〜これはブラジャーみたいでみんな笑ってしまうという)事業の一つなので、主催は大阪市文化振興事業実行委員会、共催が(財)此花区コミュニティ協会と此花区役所。そして、企画制作がNPO法人DANCE BOXというふうになっている。
千鳥駅で近藤さんが案内に立っている。受付で青木さんがいて、みんなJAM Westの学生会員が手伝っている(アルバイト)。15:05〜16:48。若い男の二人組がいて、ストリートダンスをしている感じの出で立ち。
(詳細はアーツ・カレンダー「こぐれ日記437」をみてね)
ウィングフィールド10周年記念企画公演、劇団太陽族『私たちの望むものは』作・演出:岩崎正裕。19:35〜21:05。ついこの間、岩崎さんがテレビ朝日のアナウンサーに取材されてその関連でぼくにも電話があり、関経連の劇場文化研究会ワークングチームのことを聞かれた。
この作品も、見る前に朝日新聞の鈴木さんから福本さんやウィングフィールドのオマージュですと聞いていた。そういうとても身近な題材を使っていることで身内受けかなと思いつつ見たが、いやいやなかなかに社会的な時事との切り結びがあり、「芝居と現実との皮膜関係」を扱ったこのステージを堪能することができた。最後の機関銃兵士のような、あるいはテロリストのような登場はどきりとはしたが。
実は最近の太陽族はちょっと自分と距離があった感じを持っていたのだが、今日は、ここで一番はじめに観た「レ・ボリューション」(だったかな、小学校の同窓生の話)と同じような親しみやすさとドキドキ感がまじるステージで感激した(小泉さんみたいだが)。
小泉内閣がイラク攻撃賛成によって倒閣し、天皇崩御による歌舞音曲自主規制がまたあったりして・・と、設定としての近未来の先取りが生々しくて、ふと近松門左衛門のような、あるいは、河内音頭の新聞読みのような感じもした。近松の頃は政治問題をそのまま出せないので昔の話に置き換えていたわけだが。
太陽族の比較的新しい顔、佐々木淳子や前田有香子、田矢雅美と前からの劇団員との境がまったくなくなっている。
情けない右翼(森本研典はこういうキャラが本当にはまり役だ)。でも小林よしのりマンガの知識でも劇団員のなかには右翼に説得される者も出てくる。劇団を扱いながら、演劇以外でも何らかのミッションを持つ小集団らに共通の問題となって突き刺さる。
3/30(日)
チラシが余りにもいいので(東學)、芳江を誘ってしまった。13時過ぎから16時頃まで。KAVC演劇ジャンクションVol.1。こんなに出演者がシロウトであるとは知らなかった。
鈴江俊郎構成・演出『幽霊と人間』、西田シャトナー『人間と幽霊』。まず鈴江チームを見て(出だしの不倫している中年の男の演技を見て、ああと)、出演者のエチュード的創作を元にしているから、表面的なエピソードや、暗闇の映画館で幽霊にインタビューするというようなどたどたと締まりないシロウトぽいシーンがあったのだろうと納得して、後半を見る。
すると、こちらの方が???で、でも、もともと映画館の幽霊話という設定がハリウッド映画ぐらいのレベルにしかならないのかも知れない(と好意的に考えてみる、西田シャトナーという人を論評するだけ見ていないし・・)。
どうして、ご当地ミュージカルとかがいかに面白くなく、まったく芸術振興にもまちづくりにも寄与しないことは証明済みなのに、こんなに素敵なスタッフのいるKAVCがなぜこのような企画をしてしまったのか・・(今日のような溢れるばかりのすごい観客動員は出演者の関係者だったりするのだからして、これだけで成功だったと思う人はKAVCにはいないとは思うが、他の場所では動員数だけで判断して市民参加劇を未だに作ったりするのだ)。
「宝くじは豊かさ築くチカラ持ち。」のマークを見て、やっと納得。財団法人地域創造からの助成が、自主規制的にこのような「地域の文化資源を活かして行う意義あるまちづくり」「住民参加の楽しい感動発信づくり」的な結末を生んだのだろう(それでも鈴江チームにはまだ生なシロウト故の発見があったけど、西田チームにはありきたりなプロットと類型化された幽霊?のみで・・)。いつか地域創造の助成フレームがいかにぼくの手の届かない所へと追いやられてしまったかという愚痴を分析的にきちんと落とし前をつけて書くべきなのだが(まあいまはいいや)。
でもこの公演もいい点があった。終わってから草臥れてしまった芳江が言うのだ。ぼくが帰ってきてとてもぶすっとしているときがあって、そういうとき嫌だなあと思うけれど、こういうこと(とてもひどい芝居を見たりすること)だったのね、と。いい芝居ばかりを見てもらうよりもこういう風にぼくの苦労を知ってもらうことはいいことだ。
それに、こんな疲れもまるで吹き飛んだ。築港赤レンガ倉庫、近未来系築港赤レンガ倉庫volume3『サウンド&リラクゼーション〜パフォーマによる音とリラクゼーションの実験』。18時すぎから21時過ぎまで。でもあっと言う間。貴重な体験もしたしな(木坂さんからはじめいやがっていたのに・・と言われた、そうだっかしら、自分に都合の悪いことはすぐに忘れ、前言を翻すことが多くなったなあ)。
マッサージ屋さんが実験的なライブコンサート会場にいっぱいいらっしゃるのは、「クイックマッサージ」サービスのためだ。パーカッションの横沢道治のパーカッション(アフロ・キューバンのドラミングがベース、鉦のパフォーマンスが特によかった)、有馬純寿のノイズ(コンピュータと紐を擦って音)を聞きながら、5名ずつするマッサージってどんなのだろうと気になって仕方がない(ちらちら)。
日暮れると倉庫の中は寒くなる。でもHIROS(中川博志)のバーンスリーの演奏の横で(ぼくはフライングぐらい喜んで始まるとすぐにマッサージ台へと向かった。大昔一度だけ連れられてもらったトルコ風呂のことが微かに頭に交じった)、ショールのマッサージお姉さんに優しく腰、背中、肩、首、頭をマッサージしてもらったら、音が毛穴から入ってしまって、宇宙感覚になった。ほかほかしてくる。そういえば先にやってもらっていた上田假奈代さんもそんな幸福感を持った顔だったな。お風呂上がりにフルーツ牛乳を飲むときの顔。
終わってもホントに立てない。これはびっくりしたのだが、台に顔を伏せた瞬間に涎が出てきてとまらないのだ。鼻水じゃなく。何だか、涎ってエッチしたい女性を前にして出すという定番があるけれど、こうして歳取ると違う場面で涎なのだ。まあ、假奈代さんからまかないのおにぎりをこっそりもらった直後だから食欲も開放されていたからな。
なんだかいたるところリラックスさせてもらって、酒池肉林っていうのも浦島太郎はどんどん高齢化していったのだろうから、実はこんなにおだやかな竜宮城なのかも知れない。でもビールをまた飲んでしまって、健康によかったかどうかはさだかではなく、きっと割と短期的な効果しかないのだろうと思う。でも、合わない公演のあとやけ酒を飲むよりもマッサージしてもらったほうがいいかも知れない。
最後は、横川理彦のギター。P-MODELの人ね。このギターでもまたマッサージしてもらいたい。多分ちょっとバーンスリーよりも覚醒的にリラックスするんじゃないかな。マッサージの人によると、ちょっとは、つい音を聞いてしまったり、リズムに合わせて早くなったりしたという。ウクレレ前田さんがこういう企画をぼくもしたかったと言っていた。小林万里子というブルースシンガーのことを教えてくれるので、ぜひ掲示板に書いてねと言っておく。
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