こぐれ日録 KOGURE Diary 2003.3
3/3(月)
直接家からOBPへ。4月から伊丹市役所に勤めるという土屋さんという人が今日の芸術夜会のお世話をしてくれる。松本さんも一緒にお雛祭り的なおつまみやお酒を買いに行くが、驚いたことに「雛あられ」が見あたらなくて、やっとお子様用の甘酒と雛チョコがあるのみだ。バレンタインデーやホワイトデーの方がずっと商品が多くなっているのがいまの売り場なのだなあ。
つまり、冠婚葬祭の最後の「祭」も大きく変わってしまっている。でも、日本酒は池田の「呉春」があったので嬉しい。実際休憩の時に一升瓶(これの方がリサイクル的だから)に湯飲みについでいると、あっという間になくなっていって、日本酒をうまく嗜むようにするには、きっとワインとは全然別の雰囲気作りの工夫にあるのだなあと思った。ぼくもビールの飲む量を少し減らしておいしい地酒をちびちびいくようなスロードリンクスタイルに変わらないといけないのだが(帰りキリンラガーのロング缶を飲んでいるところを松下電器の担当の人に見つかってしまった)。
ぼくの話の方は前半の焦点がぼけていたのが災いして、どうも失敗の感あり(プロジェクターの加減で写真が赤くなるのとかは気にならなかったし、音付きレクチャーもそれなりに新鮮だったはずだが)。後半はまあ本邦初演(冠婚葬祭をアーツマネジメント的に考察するプロローグ)だから、それなりに楽しんでもらえたようだ。でも聴衆は少ない。ぼくの人気のなさは高松でも思ったがやっぱり(いかん・・)。
でも、そのなかで、名古屋から藤木さんが来てくれていたし、應典院*大蓮寺の秋田さんもつたない葬送とお墓の話につきあってくれた。
なお、話す前に、はたよしこさん(彼女も夜にもつきあってくれた)に会って、彼女が動かしている滋賀県社会福祉事業団の「障害者アートギャラリー整備構想」の話を聞き、企画の委員会などにできるだけ参加することにした。学生もエイブルアートに興味を持つ者もいるので、うまく、噛みたいものだ。候補の町屋は近江八幡市にあるという。
3/4(火)
昨日は雨だったが今日は雪。それも青空からふわふわ白く降りてくるのを見上げていると飽きない。校舎の壁面でのたゆたいも面白い。文化政策研究科の2次募集の受験者も結構いてそのなかの「文化施設マネジメント」対象者の書類に目を通す。今度はアーツマネジメントをめざそうとする人が結構いる。
17時すぎにOBPの西村珈琲店でサントリーの佐藤さんと関経連の仲川さんとで劇場文化研究会ワーキンググループの報告書案に目を通す。
18時半、昨日と同じく同じ場所で藝術夜会の第6夜。上田假奈代さんの「寝っころが詩」の登場だ。『日々とコトバとエロスと声』。視覚障害者の傍らで「贈る言葉」の発表をサポートした話などがあってから、朗読。暗くした20階。コーディネートは中西美穂。コントラバスはジャズの佐々木研太、音響、イージマン。
前半は伊藤さんと斉藤さんが出てくるかなりエッチな詩が一つあってから休憩。後半は大阪三部作など近作と17歳の時に書いたチーズ味とベーコン味が初々しくもどきまきさせるエロスポエムなど。特にベースで三拍子を奏でる女の不倫の詩のパフォーマンスが新鮮だった。
あと38階の豆腐屋さんみたいなところで打ち上げ。上品なのだが中途半端の量しかでないので、ここは30歳代以下の人たちが集まる打ち上げ場所としてはお上品すぎるかも知れない。
3/5(水)
晃洋書房で発行予定(10月末と一応なっているのは、大学の個人出版補助金をもらうためでほんとはもっと早く出せるのだが)の本づくり。『アーツマネジメントみち〜社会に未知、まちにダンスを』、このタイトルで編集部に投げかけよう。原稿がどこかのフロッピーに入っているはずなのに見あたらなかったり、いつの去年なのかとか時が分からなくなっている記述が多くて、これだったら書き下ろした方が早いぐらい。
でも、まあ、こうしてこの10年ぐらいのアーツマネジメントの動き、関西の芸術活動の実際、その環境の変遷を残しておくことは大切だろうと思う(トリイホールはまだ記憶に新しくてもミノヤホールというと多分どんどん記憶から薄れ、バートンホールのことはきっとほとんどの人は知らなくなっているだろう)。
一つだけ1991年の原稿があってこれは自治大臣官房企画室課長補佐のぼくが書いた、かなりレトロな文章。これを紛れ込ますことが今回の隠し味。これを読んでずいぶんと変わったなと思ってもられるのか、ぜんぜん進歩していないよと言われるのかもちょっとどきどきである。
そんなことをしているとすぐに時間が経ってしまう。教授会が始まり、そのあとFD委員会主催でe-ラーニング(オンデマンドインターネット教育)のレクチャーを受ける。問題は中身であるし、ビデオで撮られるときの講義自体なんだろうと思うと不安になる。
帰ると、松山市総合コミュニティセンターから、『Art ring round4』の速報小冊子と、3/13のArt ring Rartyのお知らせが届いていた。この小冊子にはダンスボックス通信的にすべての公演における当事者と審査員二人のコメントが書かれていて、すごく面白かった。松山の動きはダンスウェーブ以降ちょっとフォローできていなかったのだけれど、どんどん進化している感じがする。松山が地域コンテンポラリーアーツの重要な結節点となっていることは間違いない。ダンスの審査員二人がすべてにコメントを書いているのも感心する。結構こういうのは気を使うし大変なのだわ。
3/6(木)
昨日また辻社長の竹林まで大学から往復してみたのだが、片道5分ぐらいで十分に竹の伐採から運搬まで出来るなと思って、自慢げに事務局の人に対してそんな話をすると、このあたりは猪が出るらしい。もう禁猟になっているかも知れないが、気をつけないと猪猟に巻き込まれたり、罠に捕まったりするかも知れないですよと真顔で言われる。
それに、いまは冬眠しているだろうが、そろそろマムシが目を覚ましてこれにも気をつけねばならなくなるという。特に秋が危ないらしいが・・。うーん、マムシに注意して歩く仕方について考えなくてはいけないなあ、ねえ、小鹿さん!
何はともあれ、予算がうまくいったようなので本格的にタフ3は動き出す。プロセスも楽しんでいくためのインターネットサイトづくり(どうも農の布瀬さんからの提案らしい)、生協の東川店長との話し合い、納谷さんへのチラシ依頼のための原稿づくりなど、早春の胎動。動きは活発である。
広報担当から映画館事情についてウェブ上にあるサイトに載せるためインタビューをしたいという。シネコンは興味がないというとミニシアター系映画も取り入れてシネコンもいろいろ面白いというから、どちらにせよぼくはああいう場所は好きじゃないというと、私は映画は家でしかみませんからと彼はいう。なんやねん!
「こぐれ日記428」で書く黒沢監督の映画についての話を来週、彼にしてあげよう、つまりそこだけ先取りして引用すると:「映画というのは、一緒に見ていて、同じ所で笑ったりもするけれど、自分一人だけ笑えなかったり、逆に自分一人だけ反応して、他人たちとは違うのだと自覚することがある。そういう体験(自分と他者の違い)の生まれるものこそが、映画なのだ。少なくとも、だから、映画は映画館やホールなど一人でなく観る必要がある。まだ、一人だけに届けるためだけの映像は「映画」とは呼べない別のものだと言ってもいいのかも知れない。」
いずれにせよ、来週あんまり感情的にならないでその担当に会わなくてはいけない。ただ、アーツ性とコマーシャリズムの両面を持つ映画特有の性格がブレを大きくし行き違いを増幅するのかも知れないから、こういうインタビューをするのも重要な研究的経験だと思うことにしよう(ちょっと前向きに思えてきてよかった!)。
それよりも水口の上村さんに教えられたのだが、(「こぐれ日記423」でミスリーディングな記述をしてしまったかも知れない)滋賀会館シネマホールはシネマホールの主催事業がなくなるということで物理的に閉館するのではないらしい(映写機もそのままなのだろう)。だから高知の山本さんにも尋ねられたように、別の動きがあるのだ。滋賀にもきっと自主映画サークルなどがあるだろうからそこが使うとかいう議論があるのだろうと推測する。
でも滋賀県の文化政策として、びわ湖ホールのオペラや西洋クラシック音楽だけにあんなにも人件費含めて沢山の予算を使っているのなら、非営利上映についても何らかの代替措置を講じなくてはいけないはずで、それがどうなっているかは、またクールに調べなくてはいけない。
なお、上村さんはシネコンについても十分に理解しているし(水口にあるからなあ)ぼくのように毛嫌いしていなくて偉い。ぼくはシネコンにまで足を伸ばす余裕がないし映画に確かに手薄だということではあるかも知れない。それは「アカルイミライ」全国上映劇場一覧を見て分かったことだが、金沢シネモンドや札幌シアターキノ、今日行く京都みなみ会館などとともに、MOVIX仙台、ワーナー・マイカル・シネマズ板橋、ヴァージンシナマズ海老名、AMCキャナルシティ13とかいう全国のシネコンでもこの黒沢清作品が上映されているのだ(この辺り反省モード)。
さてと、アップリンク『アカルイミライ』2002、115分。京都みなみ会館。監督・脚本・編集:黒沢清と『曖昧な未来、黒沢清』(2002、75分。監督・撮影・編集:藤井謙二郎≒森山大道)を続けて、京都みなみ会館で観る。とても面白く、すごく考えさせられた。
(続きはアーツ・カレンダー「こぐれ日記428」をみてね。でも心動かされた割には内容をあんまり書かなかった。それは物語として終結していないからだなどという偉そうな理由ではなくただ物理的な理由で。)
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