こぐれ日録 KOGURE Diary 2003.3-4
3/31(月)
風邪を引いていて空気の変化を知らないでいたら、周囲はすでに春のようだった。こういう日は何を着るのか困ってしまう。でも、世界のことが何も分からず、自分の過去を忘れてしまっていて困ることって、じつはそんなにびくびくすることがないんだと勇気づけている本を読んだ(100%ORANGEさんの紹介で)。
角田光代作、、絵はもちろん100%ORANGE。『銀の鍵』平凡社、2003.3。こんなに短いのに、こんなに平易なことばづかいなのに、平凡でも陳腐でもない。いや平凡非凡は関係ないか。
《この一冊は、アキ・カウリスマキ監督の「過去のない男」の感想文です》と角田さんは言っている、あとがきで。こういう「感想文」を創作できたらな。大きな課題だな。それに、まったくこういう形で(もちろん内容は学生レベルでいいので)「卒業制作」って言ってぼくに出してくれる学生が出たらどんなにすごいだろう。
大森誠一さんから、第3期の岡山舞台芸術ゼミナールの案内が届いている。「本気を伸ばす実力の講師陣」、いやはや、そのセレクションはコピー以上にすごい。松田正隆、水沼健、北村成美、池内美奈子(発声)、吉本有輝子、近藤良平、柄本明。それに不定期だが、平田オリザ、坂手洋二、岩崎正裕、岡登志子。なんだか、舞台芸術大学ができそうな勢いだ。
アーツ・コンペティションin大阪森小路マジックランプ。3組で寂しいなと思ったが、実に面白いパフォーマンスだった。それに、今日、特定非営利活動法人劇場マジックランプが大阪府知事から認証されていて、ちょうど田丸さんがA4のぴらぴらのワープロ紙をもらってきていた。(誰か、これを入れるオリジナルな額を作ってくれませんか?ぼくがその費用を出します、なんて田丸さんに約束したので、実費+αぐらいでやっていただける方がいらっしゃったらメールください。)
5/26の次回にはセレノグラフィカさんが出てくれるということで、お二人が来てくれていた。隅地さんは山科駅のそばだという。これはぜひまた大学に来てもらわなくちゃ。「文化政策学の展開」を田丸さんと隅地さんへ渡す。阿比留さんは実は千林、マジックランプのそば。二人の居住は偶然だけど面白い。
おっと、パフォーマンスの方も。「まえだまるを&坂本亮太」、美術&プレゼンテーションの方がはじめだったのだが、工員服の(明和電気風なのだがこわい)男(まえだりゃんだろう)が説明するので、何だかよく分からない。象が死んだというのが次の芝居(一人芝居というが二人いた)とつながっているみたい。
ゴッホの耳をオランダに探しにいった高度成長期の美術集団が、それはなくて偽の展覧会をして詐欺罪で捕まったというのがインスタレーションの意味らしいのだが(それは梅干しを耳のようにナフタリンづけぽくしていておかしい)、よく分からない。
ということで、次のハラダリャン芝居は前の続き。かなりしらっとした風情が彼の持ち味なのだろうが、もう少し準備したほうがいいよな。
今日は、藤田一君の踊りが見られたのでそれだけで満足。1982年生まれ。山下残との出会いが彼を動かしている。つい最近飲み会ではなと一緒だったという。暗い中で影のようにすばやく踊っていた。しなやか。軽い回転。繊細で長く細い腕。まずここから踊ろうということだろう。もちろんさらに、これからもっともっと動きに幅が出て欲しい。
映像はこれも若い祢津悠紀。「Flying」が彼にとっては不本意にぼやけてしまっていたが、公演での若いお母さんたちと小さな子どもたちの声が響いていた。
藤田一は、踊りながら「くさいしゃべり」をすると自分で言っていた。でも、なんだか許せる。それはかれの踊りの向こうで話しているのではなくて、踊りとともに言葉もある感じだからだ。
4/1(火)
今日は教科の事前説明会。今年のスタイルは掲示板を黒板に書いてこれをみてくださいというもの。掲示板にぼくのプロフィールのアドレスを朝に載せて置いた。驚いたのは新1回生の目が一様に真剣なこと池上先生の話はもちろん、90分間持続力がある。このまま続けばいままでとは違うスタイルで教えることが出来そうだ。掲示板を紹介していたら、一人書き込みあり。やっぱりほんまもんかも知れない。
そういえば、進藤さんが劇団態変でずっと活躍してくれていると川喜多さんから丁寧なメールをいただく。第1期生も口べたな連中だが熱い気持ちを持っているものが多い。休学したいと言っていた強者も元気になったとメール有り。よかったよかった。
ホワイトキューブKYOTO(新京極詩の小路4F)で、谷山恭子BOOKを見る。表慶館で見た作品の再構成。その鮮やかな色彩と、でも何も参照できない固い鉄の覆いが私たちをあてどない気持ちに誘う。脳天気な構成的な作品ではないことは確かだ。対照的にモノクロームの写真群の金村修近作展も隣接。また同じフロアーに隣接して写真の団体展もあった。
京都みなみ会館へ。マイケル・ムーアという監督であり突撃ジャーナリストの『ボウリング・ファー・コロンバイン』〜こんなアメリカに誰がした?。満員。ファーストデイで1000円だったこともコンバイン。明るい音楽に重い現実。こういうドキュメントとしての描き方もあるなあと思ってみる。ただ、少し冗長なところもあり、いまの時代のメジャー化されたオールタナティブジャーナリズムなのだろう。
マリリン・マンソンというヘビメタみたいなロック歌手が気になった。鍵をかけないカナダ人のこともびっくりする。アメリカ人を少しのんびりしただけと思っていたから。でも、すべては類型化されていくことを映画というメディアも免れないのだろうと思う。明確な価値観で作られる限りは。チラシに漫画家小林よしのりがコメントを載せていて、彼をマイケル・ムーアがインタビューしたら面白いかも知れない。
4/2(水)
生憎の小雨。でも入学式やクラス懇談会に確かな手応え。アーツマネジメントを学びたいという気持ちが溢れている。自己紹介で黙ってしまう学生もなく、どちらかというと積極的すぎてゆっくりさせる方に神経を使うかも知れない。オリターの村田さんと岡田さん、お祭り屋さんと手堅く押さえる実務屋さんという理想的ないいコンビなので助かる。このDクラスから来年度は待望のオリターが生まれることを願おう。
大学院生も集まる。ぼくはマスターは3名。小室さんは日活の「沙羅双樹」宣伝で忙しい。ドクター1名がカゲコマみたいなのだが、まあ、古賀さんだから問題はないだろう(3日に来ていたらしいのだが会えなかった)。
大学を紹介する新聞みたいなところから取材あり。そのあと、組合の花見。まだ桜はチラホラ。去年は飲み過ぎたのでセーブする。なんとか大丈夫だった。新入職員さんが写真をやっていたということで、舞踏とかにも興味がありそうで嬉しい。
4/3(木)
昨夜の組合では酒をセーブしたので、何とか普通にいられる。午後からとても忙しく、気がつくと京都橘高校にいた。
新1回生は昨日よりも少し草臥れていて本音もちらり。出し物はかなりクールでかっこいいものをサジェスチョンしておいたのだが、まあ無理のようだ。まんまテレビネタになるからなあ。「アーツマネジメント志願=株式会社四季の営業をする」という夢を語るところからの出発だがら、何も染まっていない所よりも難しいかも知れない。
専門演習の事前集まり。14名が来ていた。このみんなは大丈夫だろう。あと工藤さんも午前中来ていて、演劇をうちの大学で作ろうとと言っておく。立命での公演は5/10までなので、それからはこちらに引き戻さなくちゃ。したいこと(社会的ミッション)を何も言えない学生も多くて、とりあえずは何かを言っておくことが出来るようにさせよう(替えることを前提に)。
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