こぐれ日録 KOGURE Diary 2004.2



320.2/2〜2/5

2/2(月)

いつの間にか1月が終わっていた。
雨は久しぶり。少しなま暖かい。

午前中、大学で新入生キャンプのことや、成績処理、保護者の心配のフォローなど学生の個別問題に対応。たとえば、演劇をしながら大学にも通える(授業に出る)ようにするにはどうしたらいいのか。まず京都で拠点を持ってもらうなど大学と近くで活動する。近さというのは心理的な近さ(教員との交流や理解者、仲間の存在〜同じ演劇系ということであってもそれだけで通じ合えるとは限らず逆の効果を生むこともある〜)も含まれる。

つい、はなのことを思うので、演劇をするために大学に出て来られない学生を一方的に決めつけたりもできない。これは、なかなかにむずかしく、かつ、本質的(芸術と大学との関係論としても)な問題だ。

午後、本町駅から5分の綿業会館(日本綿業倶楽部、03.12に国の重要文化財指定となる)で、ここで行う『近代建築活用セミナーin綿業会館(大阪楽座事業ミニ見本市)』の事前打ち合わせと下見をする。渡辺節の設計(彼がアメリカから学んだため、アメリカ的な意匠〜パステルの色使いが天井をおおう講堂は結構意外な驚き)による、昭和6年(1931年)竣工の建造物。1931年というと、1928ビルや旧明倫小学校(京都芸術センター)、大阪では旧精華小学校とほぼ同級生関係だ。

そのあと、雨もあがったので、少し道に迷いつつ、この前つき山いくよさんが展覧会をした、ギャラリー・ツインスペースへ行く。ここの企画展である松山賢展『神話のアイドル』。通知の葉書はいつもよりは大人しいが、それでもギャラリーの前を通る人たちはかなりぎょっとしている状態だとギャラリストの方が話していた。

大きな作品2つにはお値段が書かれていなかった。聞くと、すでに東京で販売済みになったということ。どういう方がどういうところに展示する予定なのか興味があったので尋ねたりする。今回は神話画をモチーフにしている。

神話画がじつは当時の社会(それは男性社会であったわけだ)における女性への欲望の視線であったという点をふまえてのヌード絵となっている。ヴィーナスの誕生をベースに描かれた作品「ウェヌス・アイドル」では、グラビア風女性の群像のほか、血を出している(ように見える)子ども(エンジェル?)が異様な感じを与える。

また「ユピテル」という作品は、立派な椅子に裸の女性がすわり、その前を巨乳のアイドル(乳首を見せないビキニ姿)が、寄せ乳かっこうで裸の女の前をおおって隠している。椅子にあるレリーフや飾りは神話画当時の女性たちで、その対比によって分かりやすく図像の表裏を語っている。

「フローラ前フローラ後」というのは、直接「神話画」ということではないが、ダイエット神話に関係するといえば神話画といえなくもない。フローラ後における花模様に覆われた皮膚は、描かれている人物自身における過剰な目線意識状態をも表しているのだろうかと思いつつ、見ている。すると、見ている男としての自分の目線のことが次第に気になってくる。

2/3(火)

節分の日。はなが小さいとき、鬼の日と呼んで心底幼稚園での豆まきを怖がっていた。そして、どうして鬼の日がわたしの誕生日なのと恨んでいた。明日だったら、春のはじまりの日なのに、と。

教授会など校務の日なのでばたばた。2005年度に向けての動きが続く。
組合の執行委員のメンバーがようやく固まってほっとする。

2/4(水)

さきの旅立ちの日。3時頃にはお風呂に入っていた。
彼女はいままで数度旅立った。また帰ってくればいいとそのつど思ったがいつも心配だった。今回も6ヶ月したら戻ってくるのだが、国外なのでやっぱりどきどきする。赤い帽子を被って水色の襟巻き、ドイツでは子どもに見えるかなあといいながら。芳江が関西国際空港までついていく。

大学では一人の学生がお母さんと来た。とてもまじめな学生。みんな一所懸命生きている。でも器用に生きることはできないから、悩んだりする、ただそれだけ、そんな気がした。

親としてできることとできないこと、教員としてできることとできないこと。できることはそれぞれたいしてないが、両方がうまく役割を守れば、そのうち学生は社会に向き合い自らの道に自信がでるようになるのだろうと、彼女の顔を見ながら楽観的に思う。

13時から、タフ3「五感で感じるスロースタイル」の報告上映会。小鹿ゆかりさんの解説つき。とてもいいビデオを加藤さん(p.o.b.)たちが作ってくれたものだ。学生の感想を聞きながら池上学部長も感激していた。必修の授業に使ってもらえるかも知れない。時間が1時間以上あったので、そのあたり少し早送りする部分が必要になるが。

そのあと、金武さんと阪本さんが作りつつある文化経済学の教科書づくり過程の報告会。これは、学生との面談で遅れたが、なかなかに両者の持ち味を出して面白い内容になりつつある。金武さんの場合、j-popの分析や埋蔵文化財の受益者負担とか具体例が豊富。学生がそこから入り込める内容になっているので、それがトピックスだけで終わらず、一般的に応用できる図式(シェーマ)づくりの第一歩として誘導してもらえるととてもいいなと思った。

阪本さんはゴッホのオークションの事例から、経済学の基礎の基礎を学びつつ、文化経済学の特質へと誘導するというもの。なかなかに体系的でありながら、ストーリーのある構成。文化は大事だということだけしか理解できなかった学生をなくすことが目的という。ぼくもこういう教科書で学生が1回生、2回生のうちに学んでくれると、基礎ゼミでもこれを復習=応用することができるし、専門科目でも用語などを連動させていくことが可能になる。

2/5(木)

自宅で、19日に話す資料づくりをする。
平成15年度ひょうごアートマネジメント講座の一環。『アーツNPOの可能性〜文化のまちづくりの未来を探る〜』という標題なので、アートマネジメント論に使ったパワーポイントのシートを再構成して次のようなトピックスが伝わるようにしておく。

・アーツマネジメントとは
・アーツマネージャーの心構え
・アーツマネジメントのマトリックス分類
・アーツサービス機関の台頭
・アーツNPO法人のケース紹介
・公設民営〜大阪市新世界アーツパーク事業を考える
・まちづくりとアーツマネジメントの関係〜文化政策の広がり〜

この日の午後には熊倉純子さんが『社会とアーティストの縁結び〜企業メセナとホールとアーティスト〜』というレクチャーもあるので、うまく話が接合していくと有意義な講義になるだろう。

ちょうど出来上がってレジメを郵送しようとすると東京のNHKの記者から電話がある。大阪市の文化振興を事例として、日本の文化行政の現在を取材しよう(クローズアップ現代)としているので意見を聞きたいという。そのうち、明治以降の文化政策のこととか、芝居小屋の盛衰、戦後の文化施設の造られ方や考え方、教育委員会から首長部局に文化行政の担当が推移していく話など、あちこち話題が行きつ戻りつしたが、ミニレクチャーをしているみたいになる。

その記者にメセナ協議会の荻原さんが作ってくれた年表などをファックスなどをしてから、大阪市中央青年センターへ。濱谷由美子さんのワークショップの始まり。先週の説明会では来なかった人が自分でシナリオを案を話したり、ギターを持って歌ってみる男性がいたり。どうなっていくのもまだ見えないが、これから始まるのだという感じはした。今日は雪が降ったりしたし、色々な理由で参加出来なかった人もいたと思うから、電話などでフォローしておいて次回以降来づらくならないようにしようと本田さんと話す。


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