こぐれ日録 KOGURE Diary 2004.1



312.1/5〜1/8

1/5(月)

どこも仕事始めだから、てっきり大学も始まっていると思ったら、休みだった。2時間ぐらいしてから、織田先生が来てどうしたら暖房がつくか教えてもらって助かったが、それまで冷え切った研究室にいると、どんどん冷たくなっていくのがよく分かってこれも面白い経験をした。

今年最初の読書は、正高信男『ケータイを持ったサル〜「人間らしさ」の崩壊』中公新書、2003.9。サルの行動研究から今どきの若者の生態を観察している。彼は1954年大阪生まれ、しかも携帯電話を持っていない人のようで親近感が沸く(細馬宏通さんの博士論文〜エレベーター内での会話〜の引用もあった)。

一言でいえば、「家のなか主義」、公的状況へ出ることの拒絶だという。それは「ひきこもり」現象だけではなく、車内にぺたりと座り化粧をし携帯メールに余念のない人たちも、ここは家の延長だと思っている点で同じこと。仲間内だけで一生を終えるサルたちとまるで同じなのだそうだ。どんどん便利になってサル化する。その加速を携帯電話が担っている。

どこにも公共なる場は存在しないでいい。いや存在しなくなっていく。人間がまちなかを公的な場とみなさなくなれば、そこは公共の空間ではなく家なかということになってしまう。テレビ携帯電話になればますますだな(でもぼくも車内で酎ハイを飲むから偉そうにはいえないか)。他者の不在は行き着くところまで行くのだろう。もう劇場や美術館は原理的に存在し得ない(のかなあ。このままじゃ)。

その帰結は「親になることの拒否」。ペットブームはまさしくそうだと。ずっと小さいままの犬。これは大きくなってかわいくなくなることを拒否するとんでもない動物虐待だとぼくは思う。まして、どんどん生意気になる子どもなんて育てられるか!そういうことなのだろうな。

そうそう、近くの保育士さんもそういっていた。産んでも育てるのが怖いのですぐに預けに来る、と。少子化対策についての正高さんの提言は、「お産は30歳から」キャンペーンと「中学校・高校のカリキュラムをはじめ、社会活動としての保育活動への参加」の奨励である。後者は去年園児が来て学生が大変そうだったのでこれは必要だと思う。前者については、うちなどすぐそばに保育所があるので、逆に早く子どもを持った学生を歓迎するということも有用なのではないかしらとも思う。

生協も開いていないので早く帰る。芳江が気に入っている『淑女は何を忘れたか』(1937年、71分)を観る。どうして小津安二郎映画はお酒が飲みたくなってしまうのだろう。とてもおしゃれなコメディ。斎藤達雄のコメディアンぶりがさりげなく決まっている。そこには日本がのめり込みつつある軍国主義の靴音も、それの犠牲になっていく庶民の重苦しい暗さもない。奥さまがまだ専業主婦なんぞではなく、有閑マダムだった時代のお話。

でも、やっぱり当時22歳だったという桑野通子の帽子の被り方の方に目が行くな。子どもも活躍している。それにしても佐野周二演じる大学の助手がいくらなんでも小学生の算術を解けないというのはないだろう。和室にあった衝立の柄がどうも音符に見えて仕方がない。そんな衝立の絵はあるかしら。

ミフィーの重箱(少し小振り)とミフィーのがま口(小さく平べったくて硬貨が取りやすい)、そしてミフィーの手拭い2枚が届く。みんな和物のインターネット販売で買ったもの。手拭いのミフィーの絵が真ん中についていないのが残念ではあるが、かわいくて仕方がない。

1/6(火)

初講義が最後の講義。
これは少し間が抜けているが仕方がない。今日試験をして終わってしまう先生もいて、そういう手もあるかと思う。13回は確保しているわけだし。

これから成人式(12日が多い)を地元で迎える学生が多い地域文化行政論なので、来週は休みとした。今日、学生がバスの時間に合わせてねなんていうものだから、少し早く終わってしまう。もう少しスキヤキミーツザワールドのこと、ヘリオスと米田さんのことを説明したらよかったとあとで思う。

大学院の最後はキチンとパワーポイントで葬送アーツマネジメント論を話す。もう少し流れを整理すれば、葬送部分だけで、3回分ぐらいで完結する講義となるだろうと話しながら思った。

今日2005年度大学改革(http://www.tachibana-u.ac.jp/official/200401_notice.html)の記者会見をしたらしい。その成果は、京都新聞のインターネットニュースでは以下の如し(文化政策学部における新しい学科「現代マネジメント学科」のことは書いていない。看護学部に興味が行くのだろうし、それはそれでいいこと)。http://www.kyoto-np.co.jp/kp/topics/2004jan/06/W20040106MWC2K1J0000059.html

1/7(水)

リボンゼミの最後。100%ORANGEさんによるコンテストの参加賞をお年玉がわりに渡してお終い。今日読んでもらった文章はカタカナが多すぎて反応がいまいちだった。ちょっぴりしまったと思う。
新入生キャンプのオリター会議。今度はがらりと変わった案を作ったので、早めに集まってもらう。オリターからの質問がなくて少し不安だが早速先生たちと相談しているクラスもあり、大丈夫そうだ。

劇団四季に去年入ったばかりの佐々木さんが営業に来る。彼女は2001年度前期に立命館大学産業社会学部でぼくの講義を聞いたということで、何だか嬉しいような恥ずかしいような気持ち。はじめ就職活動はブライダルコーディネーターを狙っていたのだが(彼女は婚礼式場の音響アルバイトをずっとしていた)ままならず、遅く募集があった四季に入った。20名が採用されたという。

四季好きの1回生2名がやってきて、いろいろ情報を聞き出していた。文化産業論とかマーケティング論という側面から彼女などの話を聴くとなかなかに面白いなあと思うので、そのあとの学部の集まりに報告しておく。ただ、9/17に公演終了後、舞台美術などを観る企画があるそうで、これは学生に役立つので決まったら教えてもらうことにする。

早く帰って早く寝る。昨夜から頭痛がしていて、それを紛らわそうとして酒を飲んで余計にしんどくなっていたから。(翌朝〜いま書いている時点〜、かなり回復。大学が始まって4時頃に起きだしていたのがよくなかったのだろう。ほっとする)

1/8(木)

のんびりリボンゼミのアーツ日記を読んでいる。そろそろ国際シンポジウム(千里文化財団主催)のパワーポイントづくりもしなくちゃと少し始める。3回生のアートマネジメント論のラスト。いつもよりも少し多い人数のように思う。親密圏とかかなり難しい講義を最後は聴衆の反応を気にせずする。

とても寒い日。雪がチラホラ。それでも、新入生キャンプのゼミ単位町歩きのために、オリターの岩崎さんと一緒に喫茶六花へ行く。蹴上からアートスペース虹を通り、細い道に寄ってから到着。きむろとしろうじんじんさんに会う。3/21からのブレーカー(新世界での)ワークの話を聴いたりする。これから始まる新世界での商店でトークなどがある伊達伸明さんの歌留多も楽しみ。


KOGURE Diary/こぐれ日録》の扉へ戻る