こぐれ日録 KOGURE Diary 2004.11-12



405.11/29〜12/2


11/29(月)

3回生は就職活動準備。自己分析、他己分析のあと、時事問題。円高ドル安の基本が、なかなか理解できない学生たち。うちの文化政策学部は経済学者がいっぱいなのに、ベーシックな経済や金融についての基礎知識の伝達はどうなっているのか。こういうのをTAシステムで丁寧にやって欲しいものだ。あるいは、教えても、教えても、この学生たちの方がまるで馬耳東風なのか。

4回生はゼミ写真撮影の日だったので、16名があつまる。公園での子どもたちの遊び研究をしている学生は実際にずっと公園で観察していて(最近は寒くて大変だと言う)、そのなかで就職も決まったのだから、卒業研究と就職活動がこうして両方成立するいい例になるなあと彼女の原稿を読む。もう一人、不動産関係に決まった学生が遅れてきて、最後まであきらめないで残りの学生もやってくれるだろうと祈る。英語しか文献のない学生と一緒に彼女が分からないフレーズを考える。久しぶりに英語を読んだ。

新2回生の選択のために、以下のシラバスを入稿する。このあたりで基礎的な言語能力を何とか向上させないといけない。あとは、新しく担当になった2つの共通科目を考えること。

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【文化のまちづくり氈i小暮宣雄) 2005前期】

テーマ:アーツマネジメントへの準備体操a(親密なるアーツへ)
獲得目標:アーツマネジメントの実践や研究にあたってどうしても必要になる考え方を一緒に学ぶ。抽象的なこと(ex.公共圏)と具体的なこと(ex.18世紀ロンドンのコーヒーハウス)を結び合わせる訓練をする。

【内容】

第1回 イントロダクション(文化政策って何?アーツマネジメントって何?)
第2回 子どもたちの未来は明るいだろうか?
第3回 公共圏ということを分かりやすく学ぼう
第4回 公共圏と親密圏を対比していこう

第5〜7回 「オンリー・ワン」と言われながら自分を見失っていないだろうか。ほんとうに大切な個性やアイデンティティについて、具体的に議論してみよう

第8〜11回 自分が好きなアーツプレースを選んでレポートを書いてみよう

第12〜14回 関西女性と希望のアーティストファイルvol.5(タフ5)などアーツ事業にも参加してみよう

授業以外:アーツ(音楽/演劇/ダンス/美術工芸デザイン/映画映像など)鑑賞の機会を作るようにするので、参加すること。

文献
教科書 土井隆義『「個性」を煽られる子どもたち〜親密圏の変容を考える』岩波書店(480円)
参考書 今野勉『テレビの嘘を見破る』新潮社(700円)

【文化政策事例研究(小暮宣雄)2005後期】

テーマ:アーツマネジメントへの準備体操b(スローアーツに目覚めて)
獲得目標:スローなアーツ(音楽/演劇/ダンス/美術工芸デザイン/映画映像など)を追求する前提として、スローライフの考え方を具体的に学ぶ。

【内容】
第1回 「アーツマネジメントへの準備体操a(親密なるアーツへ)」のまとめとイントロダクション
第2回 スローライフとファーストライフの比較論
第3回 スローコミュニティ、スローカルチャー
第4回 スローアーツ、スローシアター
第5回 スローフード〜パーマカルチャーと食文化スタイルの諸相
第6回 スローレジャー、スローエネルギー
第7回 スローラブ&ボディ、スローリビング〜コレクティブ・ハウジングと親密圏
第8回 スローマネー&ビジネス〜地域通貨とコミュニティ・ビジネス起業論

第9〜12回 大学内外のアーツプロジェクトに参加する。ただし、時期などは未定なので、第1〜8回の座学の間にこの4回分が挟み込まれることになると予想される。タフ5の参加以外に各人の希望を聞きつつ、アーツマネジメントの実践的活動に対して、学生が徐々に慣れていけるよう努める。

第13回 スローアーツについてのまとめ(簡単な意見交換会)
なお、「文化のまちづくり氈i小暮宣雄)」を受講している方が望ましいが、受講していない人がいれば考慮する。

授業以外: インターネット利用が多くなる。

文献
教科書 真柴隆弘『スローライフな未来が見える』河出書房新社(1800円)
参考書 松村賢治『旧暦と暮らす〜スローライフの知恵ごよみ』ビジネス社(1600円)
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11/30(火)

眼が廻る忙しさに突入。
大阪成蹊大学は中間テスト(採点しなくちゃ)。
芸術学部のspaceBでの展示はかっこよくて、しばし、心和む。『境界面』大西伸明+吉岡俊直の作品。それにゲストが中村桂子で、骨の進化や胚の成長などが見られる。

16時に待ち合わせで、アリオン音楽財団の飯田一夫さんに国立国際美術館前で会い、『マルセル・デュシャンと20世紀美術』を見る。書きたいこといっぱいなのだが(デュシャンは姿からしてやっぱりかっこいいし、現代美術の本質的なワークをあまりに早くみんなやっちゃっていて、後半の自分も他の人も困っちゃうぐらいにすべて見えてしまった悲しさみたいなことを思った)、書き出すと止まらないのでパス。常設展は全部見られずに17時閉館となる。せめて、平日は、12時開館〜19時閉館ということにならないだろうか。金曜日は10時開館〜19時閉館であって、それは嬉しいが。

ヘップファイブで飯田さんと観覧車に乗り、そのあと台湾料理。若い人がすぐに死んでしまうという悲しい話や、岩手県久慈市のクラッシック音楽事業のこと、そして、ブラジルやパキスタンの音楽を日本に紹介することの大切さと苦労など、いろいろ聞く。わたしがインドで結婚式を挙げたことを言うと驚いていた。

帰り、採点しなくちゃと、いそぎ足で京阪京橋に行こうとすると、広場でブラス音。おお、フレイレフ・ジャンボリーの8名がやっている。偶然ですかと瀬戸さん。なんという嬉しい偶然。でも、はじめのセッションを聴き終わって、休みの間に帰る。休憩中に、スピーカーで女性ボーカルが歌い出していた。次のセッション、この環境のなかでどのように響くのか確かめたかったが。

12/1(水)

基礎ゼミ、図書館での展示実習。イラストが額に入れられていく。
都ホテル、就職懇談会。ケンタッキーフライドチキンにはじめて女子大生としてうちの学生が内定したこともあり、その担当責任者が来て面白い話を学生にしていただく。一つは、笑顔、もう一つは、写真。とくに履歴書に貼る写真は本当にそうだなあと思った(実際のイメージと違う写真ははじめから×なのだとか色々)。ドアを叩いて入ってくる間で決まってしまうのだ。

アートシアターdB。素敵なダンスサーカス28初日。
でも時間がないので、Ca・Balletの新しい試み(佐藤健大郎振付)への期待と、福岡まな実ダンスにおける誠実な孤独の衝撃をここに忘れずメモるのみにさせてください。「Piece of Modern」の3人の面白さが、ちょうと福岡と好対照で、関西ダンスのこれからがますます楽しみ。

12/2(木)

アートシアターdB。やはりダンスサーカス28二日目。今日は18時からの回に間に合う。
Ca・Balletは今日も楽しい(垣尾優振付)。ただ、昨夜のほうが鬼ごっこ遊びにシャープさと緩急のメリハリがあって、どちらかというと、昨夜のほうが好み。今日はミニマムな動きを丁寧につむぐ伊藤愛のダンスソロが一番響く(構成・演出:岡登志子)。パンをちぎってそのくずを置いていく垣尾のすぐ後ろで、その直線に従ってのみ移動する伊藤のミニマムながら激しい力の葛藤は、昨夜の福岡まな実とちょうど拮抗し合える関係にあり、両夜とも、すてきなサーカス三昧だった。内田大も白い巻紙を使ったソロを披露していた。

朝地元のラジオでちんどん@たちばな家が5人も出演。冒頭、関西女性と希望のアーティストファイル(タフ)という「イベント」をしたと学生がいう。さらにまた「イベント」の連打。ああ。すると「ピアニカ」と商品名(指しているのは実はメロディオンのはず)が(鍵盤ハーモニカという風に昔野村誠さんに直されたから、学生にも注意しているはずなのですが)。ノーアウト満塁のピンチ。

言うまでもなく、タフは騒がしいイベント(群集として操作されること)から自由になるために、リアルな親密圏(そして対抗的公共圏)を取り戻すアーツプロジェクトなのだが・・。
直前に、以下のようなシラバス(全学共通)を大学サイトにアップしていたんだ。
失望を繰り返しても絶望はしない、か。

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自分探しの旅c(小暮宣雄) 2005

テーマ:愛国イベントからの自由〜香山リカ『ぷちナショナリズム症候群』を通って
獲得目標:イベント化社会、スペクタクル国家のもと、テレビなどのマスコミ、興奮を演出するイベントはあなたをどのように操作しようとするのでしょう。自由な自分をつくる長閑な旅のヒントになれば、と願います。

【内容】
第1回 イントロダクション(読書の愉しみ〜滝沢直樹『20世紀少年』は読みましたか?)
第2回 お祭りやイベントはお好きですか?
第3回 あなたにとって日本はどんな国ですか?
第4回 日本国憲法第1〜8条に書かれていることを知っていますか?

第5〜6回 右翼、左翼って何でしょう?・・・マスコミとナショナリズム、ヨーロッパ極右と石原都政・・・

第7〜9回 心の奥のほうにいけますか?・・・心のメカニズム、エディプス・コンプレックスの崩壊、二世有名人のこと、イマジネールな分身・・・

第10〜12回 社会の深部を探りませんか?・・・日本総中流幻想の崩壊、階層分化の進展と『きみはペット』的コミュニケーションの可能性、YOSAKOIソーラン祭りの効用と危険・・・

第13回 自分のアイデンティティはどこから生まれるのでしょう?
教科書はいつも持参してください。そこからどんどん自由に飛んでいく授業になりますが、いつもこの小さな新書がこの授業の巣です。

授業以外:こぐれ日乗(http://kogure.exblog.jp/)は少し参考になるかも知れません。

文献
教科書 香山リカ『ぷちナショナリズム症候群』中央公論新社(680円)
参考書 滝沢直樹『20世紀少年』小学館 小川彌生『きみはペット』講談社 今野勉『テレビの嘘を見破る』新潮社(700円)

現代社会の課題(小暮宣雄)2005

テーマ:アーツの扉〜スローな芸術の畑で遊ぼう
獲得目標:芸術の扉を叩くために、いろいろなドアを用意しました。あなたは、どのドアのむこうに行きますか。

【内容】
第1回 イントロダクション(いま本当に観たいものはありますか?)
第2回 ライブ!といえば、音楽ですね。
第3回 音楽もいろいろあります。クラシックというのも実は西欧だけではないですよね。
第4回 音楽といえば、ダンスです。ダンスは観るものですか、するものですか?
第5回 次は、演劇です。ところで能狂言など伝統芸能は、演劇ですか舞踊ですか、それとも音楽でしょうか?
第6回 現代演劇を楽しむことに挑戦しましょう。小劇場のことも触れます。
第7回 このあたりで、ゲストを。予定しているのは、着物姿の詩人、上田假奈代さん。朗読の時間です。
第8回 文学というアーツ。特に絵本とマンガをテーマにしましょう。

第9〜12回 みなさんの関心でこれから先は色々考えます。メニューとしては、小津安二郎の映画のかずかず。そしてコミュニケーションを大切にする現代アートの変幻自在な姿。画廊に行ってレポートを書いてもらいたいなとも思っています。知っていましたか?画廊(ギャラリー)は無料ですし、作家やギャラリストともお話できるんですよ(お茶も出てくることもありますしね)。

第13回 スローなアーツへ(簡単な意見交換会、できればお茶会)
授業以外:こぐれ日記(http://www.arts-calendar.co.jp/KOGURE/Nikki.html)がレビューのための参考サイトとなります。テストは、芸術鑑賞レビューを予定しているので、実際にアーツ現場に行くことが課題になります。

文献
参考書 小暮宣雄『アーツマネジメントみち〜社会に未知、まちにダンス』晃洋書房(2000円)
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